【 借金の悩みを、どこにどう相談すべきか? 】
1.多重債務の悩みを、どこに相談すればよいか? 〜 弁護士? 司法書士? クレサラ団体? それとも私? 〜  (注:これは2002年に書いた古い記事を、時の変化にあわせて、2008年5月に加筆修正したものです)

 多重債務の悩みは、なかなか他人に相談できないものです。 また、借金の相談に的確に答えられる人も非常に少ないのが実情です。 一人で悩んでも現状を変えられるわけでもないし、誰か専門家に相談しなければならないのはわかっているのに、どこへ相談していいのかわからない…みんな困っています。

 本などには、「まず弁護士に相談を」 とか 「クレサラ専門の司法書士へ」とか、「XXクレサラ被害者の会へ」 などと、いろいろなことが書かれています。 実際の所、どこへ真っ先に相談するのがベストなのか、判断に迷う所ですよね。

 そこで今回は、思い切って、私の所に寄せられた数々の情報から、それぞれの長所や短所、問題点、上手な相談方法、などをまとめてみたいと思います。

(1)弁護士
  • やはり一番確実で、頼りになる。 総合的に見て最強。
  • 代理人として法廷に立てるので、債務者自身が仕事を休んで裁判所に行く必要もまずない。 また、代理人として代わりに交渉もできるので、債権者との折衝に悩む必要もない。本人はとっても楽。会社を休めないサラリーマンの人が債務整理をするときにはやっぱり弁護士が一番おすすめ。
  • 守秘義務があるので、第三者に知られずに済む。もちろん自己破産や個人再生の場合は官報に載るのでそこから知られる可能性があるが(しかし官報なんてまず誰も読んでいないと思うが・・・)、たとえば任意整理の場合、裁判所も基本的には使わないし官報にももちろん載らないし、債権者交渉は全て代理人たる弁護士が窓口になるので、本人のところには電話も郵便物も来なくなる。整理しているという事実を弁護士が他人に(家族にも)ベラベラ喋ることもまずない。
  • しかし、余りにも全て任せっきりになるので、自分が多重債務と戦っているという自覚が得られない場合が多い。この為か、後でまた多重債務を繰り返してしまう人も少なくない。
  • 中には(最近はめっきり少数になったが)、300万円の任意整理に対して70万請求された例や、高利のサラ金と10年も取引があるにもかかわらず、利息制限法引き直し交渉を全くやってもらえず、一方的に自己破産手続きをすすめられてしまった例、商工ローン(残高700万、年利39%、取引4年)を任意整理してもらったところ、利息制限法で戦ってくれず、結局700万の残高がそのまま残って、それに弁護士報酬70万と将来利息(和解金)あわせて800万を50万x16回払いで和解、公正証書まで作られてしまった例なども実際に聞いたことがある。  これは弁護士の得て不得手のみならず、他のいろいろな要素が絡み合ってこの様な結果になっている事が多い。(ex.遠方の弁護士に頼んだためコミュニケーションが取りにくかった、等)
  • したがって、弁護士さんにお願いする時は、地元の弁護士会や法テラスに問い合わせ、借金関係に強い弁護士を紹介してもらう事と、お願いする時に報酬や自分の希望(例:利息制限法で戦ってほしい等)を事前にきちっと確認しあう事が重要だと思う。
  • もうひとつ確実な手段は、やはり「人の紹介」だ。それも、ただ単に 「弁護士の知り合いがいるから紹介するよ」 という知人の親切を鵜呑みにせず、できることなら、債務整理の実績のある弁護士を紹介してもらったほうがいい。債務整理した本人から「俺は〇〇法律事務所の〇〇弁護士にお願いしたんだけど、あそこは親身になって話をきいてくれるし費用も分割にしてくれたし本当によかったよ」 などといったナマの話が聞ければ言うことなし。
  • お金がなくても弁護士に依頼することはできる。ヒントは「法律扶助」「人権」。たとえば、生活保護を受けている人は裁判をする権利もないのか?そんなはずはない。日本はそういう国ではない。ちゃんと、お金がない人でも裁判所を使ったり弁護士に依頼したりできるよう救済制度がある。民事では「法律扶助制度」がそれにあたる。たとえば、病気と離婚と失業が重なって無収入になり、しかも親の借金を背負わされ500万円の借金ができたとする。こういう人が、500万円の借金から逃れるには、やはり自己破産という制度を使うのが一番その人のために良いが、その破産費用も大部分を立て替えてくれる。窓口は以前は法律扶助協会だったが、2006年10月以降は全国各地に設置されている「法テラス」になった。(余談だが刑事事件でお金がないときに役立ってくれる国選弁護人もここで手配してくれる) 詳しくは法テラスのホームページ参照。 
  • 弁護士の相談料金は、30分5000円+消費税のところが多いが、弁護士報酬は自由化されていて、一律で決まっているわけではないので注意。 いっぽう、2004年あたりから次第に、初回相談無料のところも増えてきた。 都道府県の弁護士会によっては、会で無料相談の場を設けているところもあるので、まずは地元の弁護士会のホームページで確認してみよう。 また、役所の無料法律相談や、新聞広告に出ている弁護士事務所でも、無料相談を受けているところが増えつつある。
  • あまりおすすめできない弁護士もいる。その筆頭は、サラ金やヤミ金業者から紹介された弁護士。これは高齢で隠居しているようなタイプの弁護士から名前だけ借りて、提携している資格のない者が実務を行っている場合がある。(こういうのを非弁提携といい、弁護士法違反で刑罰の対象になる) またそうでなくても、債権者寄りで報酬も高めの場合が多い。 サラ金やヤミ金の担当者から、「個人的にこっそりと弁護士を紹介しますから、早く立ち直ってくださいね」 などとあたかも親切そうに勧められることがあるが(実際よくある)、要注意。  次におすすめできないのは、コミュニケーションの取れない弁護士だ。遠方過ぎて滅多に会えなかったり、忙し過ぎてほんの一瞬しか会ってくれない弁護士は、やはりどうしても不安になる。ちゃんと効果が上がるのだろうか、ミスリードされなやしないだろうか、と。 せっかく高いお金を払うのだから、当たり前だが、自分自身が「この先生なら安心して任せられる」と、会って確かめて納得しなければ良くないと思う。 ろくに会いもしないで不安を抱えたまま高いお金を払うようでは、たとえ結果的にうまくいったとしても、あなたは相変わらずお人好しで騙されやすい体質のままだ。
  • 尚、派手に広告を打っている弁護士事務所は、私個人的には、べつに構わないと思う。判断するうえで重要なのは、外側ではない。中身だ。
(2)司法書士
  • 最近は、クレサラ専門の頼りになる司法書士が多くなってきた。特に平成15年以降は、「認定司法書士」と呼ばれる、簡易裁判所レベルの事案に対し代理権を持てる司法書士が誕生し、現在では全国に1万人近くの認定司法書士がいる。これにより、多重債務の相談場所が飛躍的に増えた。 費用も弁護士と比べて比較的安い傾向がある。
    但し、認定司法書士が代理人になれるのは、簡裁レベル(簡易裁判所で扱うのは訴額140万円の民事事件)のみである。 それ以上の事案、たとえば地裁で申立てる商工ローンの過払い金返還訴訟や、自己破産、民事再生などは、司法書士は、書類の代書や口頭でのアドバイスにとどまることになり、債務者本人が直接裁判所へ出廷しなければならない。
  • しかし他面、債務整理とは全く縁のない司法書士も多い。大まかな目安は、「認定司法書士かどうか」だ。認定司法書士ではない、つまり簡裁代理権のない司法書士、つまり旧来の普通の司法書士は、法務局で扱う業務−不動産登記、会社登記など、がメインである。
  • 負債総額ウン百万円程度の任意整理や特定調停の代理人なら、弁護士でも認定司法書士でもさほど大きな違いはないと思われる。むしろ認定司法書士のほうが、債務整理に熱心で、親身になってくれて、そのうえ費用も割安な傾向がある、と、少なくとも私は身近でいろいろ見ていてそう感じる。
  • 個人再生手続きについては、各地域の裁判所によって運用の仕方がだいぶ違っており一概にいえないが、地域によっては、弁護士が申立てる場合は再生委員を立てる必要がなく、司法書士が申立てる(本人申立て扱い)場合は再生委員を立てる必要があり、そのため、再生委員を立てる分だけ裁判所費用が高くなり、せっかく司法書士費用は安いのに、トータルコストで比較すると、弁護士に依頼したほうが安かったなんていう話もあるので、できれば弁・司の両方に相談に行くなりして、比較検討してみたほうがいいと思う。
  • 自己破産は、高額な管財事件の場合は弁護士が入らなくてはまず出来ないと思ったほうがいいが、小額の同時廃止(例: クレジット・サラ金の多重債務による自己破産)の場合、司法書士に代書してもらって、申し立ては本人がやるという形をとりながらも、実質的には、裁判所へ本人が行く回数も、労力も、免責の確実性も、スピードも、弁護士に依頼した場合とそう変わらないことが多い(・・・と、やはり端から見ていて感じる。) 費用も比較的安いことが多い。
  • 資格制限上、弁護士にしかできないことと、司法書士でもできることとの違いを、よく認識したうえで、司法書士に依頼すると、たぶん良い結果が得られると思う。 これを、弁護士でも司法書士でもそんなに違わねーだろ、とにかく代わりにやってくれりゃいいんだよ、と、ろくに予備知識も得ないまま、他力本願で依頼すると、後でお互いに誤解が生じるかもしれない。(これはどこに相談に行っても同じことがいえる)
  • 多重債務に強い司法書士の探し方は、やはり司法書士会などに問い合わせて紹介してもらうのが一番、だと思う。(私のHPにもリンク貼ってあります。)  あとは人の紹介、信頼できる媒体での広告、など。
(3)クレサラ救済団体、民商、行政の相談窓口など諸団体
  • 程度にかなりバラツキがある。 例えば、弁護士さんや司法書士さんが運営している、クレサラ被害者の会などは、比較的かなり頼れる所が多い様に見受けられるが、それでも地域や支部によっては、いいかげんな対応をしている所も(少数だが。)ある。
  • 民商もそう。 全国に支部があり、会費はどこも同じで、サラ金や街金の多重債務、銀行ローンなどに対して、素晴らしい解決ノウハウを持っている支部もあるかと思えば、そういう活動を全くしていない支部もある。 もともと多重債務のためだけにある団体ではないので、借金相談に対するアドバイスの質は、地域や相談員の質によって天と地ほどの差がある。
  • 消費生活センターの相談も、広い意味で大変利用価値があるが、多重債務の解決方法に限定していえば、あまり期待しないほうがいいかもしれない(・・・と、私は個人的にそう感じる)。
  • 県や市などの行政でも、ここ1−2年、多重債務者救済に力を入れるところが増えてきた。(秋田県、奄美大島、宮崎県、島根県など) しかも、その中には、テレビや新聞でも頻繁に取り上げられるほど大変熱心でノウハウに長けた担当者がいるところもある。 彼らの役割は、個々の相談にとどまっていられないほど大きい。今後に期待したい。
(4)私みたいなコンサルタント
  • これはアヤシイところが多い。 (ひょっとしたら、この私もアヤシイかもしれませんよ。疑ってかかってください。尚私は、個人の多重債務者からの相談は「仕事」として受けておりません。月1回の無料相談会と、無料会員制の猫次郎塾メーリングリストでのみ相談を受けていますが、これは仕事ではなく、まあ言ってみれば、ささやかな社会貢献みたいな意味合いで、空いた時間に受けているのみです。)
  • 特に目立つのが、借り易いところを紹介してくれる所、他社借り換え一本化を促す所(実際には中小のサラ金やヤミ金を紹介して一時しのぎさせるだけで事態はむしろ悪化する)や、NPO法人で無料相談なのはいいが、ひととおり相談に乗って、「うん、自己破産がいいでしょうね。弁護士を紹介しましょう!」とか言って、何の具体的アドバイスもないまま、後は弁護士を紹介して終わりという所、その他、倒産処理の過程で骨の髄までしゃぶり尽くす整理屋、乗っ取り屋なども多いので、疑い出したらきりがない。
  • 著書を多数出している有名な先生でも、安心とは言い切れない。 非常に的確なアドバイスをしてくれる所もあるが、相談料がものすごく高かったり、仕事が雑だったり、ひとつの手法を信奉して(例:リスケジュール一筋、特定調停一筋など)、それに当てはまらないクライアントは切り捨てかミスリードしてしまうような業者もいるので、やはり実際に会って相談して、納得いくまで見極める必要がある。
  • 基本的には、個人の多重債務は、やはり弁護士か認定司法書士に相談するのが一番確実。 例外としては、弁護士や司法書士をつないでくれて、かつ、借金問題にとどまらず、家計の見直しや、人生設計の見直しまで親身になってくれる、橋渡し役、水先案内人役的な先生ならいいと思う。(一部のファイナンシャルプランナーや一部の行政書士にそういう先生がいる)  但し、彼らの能力は評価に値するが、弁護士法、司法書士法の絡みで、交渉代理人や訴訟代理人にはなれないので、そのへんの使い分け方はよく心得ておくこと。

 …… この様に書いてしまうと、100%安心して相談できる所はひとつもないじゃないか!! と言われてしまいそうですが、実際その通りだと思うべきです。 しかし、あなたの心がけひとつで、間違いのない相談相手探しをすることも十分可能です。

自分に合った腕の良い相談相手を見つけるコツ、変な相手に引っかからないコツは、以下の通りです。

<<確実な相談相手を見つける為の心得>>
  1. 情報源を沢山持て。(但し情報過多に溺れるな)
  2. 相談相手(専門家)を過信するな! すがるな! (信頼関係は大事だが、それとこれとは別)
  3. 相談相手(専門家)に何を頼みたいのか、報酬はいくらなのか、何をどこまでやってもらいたいのか、事前に納得行くまで話し合え。 納得行かなかったら相談だけにとどめて、契約はするな。
 何にせよ、当事者意識を強く持たなければいけません。 自分の人生、自分の借金は自分でオトシマエをつけるつもりで、真剣に情報収集しましょう。

 但し、そうはいっても、いつまでもウダウダと一人で悩んでいるのはもっと良くない事ですし、多重債務を何もせず現状放置していては、いずれ最悪の事態に発展してしまうので、なるべく早めにアクションを起こすべきです。 情報に振り回されてモタモタしている場合ではありません。

(メルマガ32号(2002年2月6日発行)より抜粋 → 2008年5月8日一部加筆修正) 
2. 弁護士費用(相談費用)をどうやって捻出するか?  (注:これは2002年に書いた古い記事です)
質問:
 「多重債務者です。10件、計500万借金があります。 毎月15万以上返済にあててますが、金利が高いので全く減りません。 このため、弁護士会の有料相談(30分5000円)に行く金もないほど金に困ってます。 どうしたらいいでしょうか? ちなみに月収30万、家賃8万、妻子持ちです。」

答え:
 まず、あなたが自覚しなければならない事は、
  • 毎月15万円もの利息を、もったいないと思わないのか?
  • その利息は、本当に払わなければならない利息なのか?
  • 月15万円の利息と、5千円の弁護士相談料、どっちがもったいないか?
  • 利息の支払いを、今すぐ止められ事とを知っているか?
  • 現状のままでは最悪の事態を招く事を自覚しているか?
 よく考えて下さい。 現状を放置しておいても、傷口はますます広がります。
 低利一本化しても返せる金額じゃありません。(低利でも利息は馬鹿にならない)

 最良の方法は、利息をまけてもらって、長期分割で返済させてもらう「任意整理」や、「特定調停」、あるいは法的に借金を8割ぐらい免除してもらう「個人再生手続き」、あるいは法的に全額免除してもらう「自己破産」 と、常識的に考えたらこれらの方法しかありません。

 しかし、あなたが一人で考えて、これらのうちどれを選ぶべきか、判断できますか? できないでしょう?
 だとしたら、一刻も早く、専門家に相談しなければ、取り返しのつかない事になります。

 しかし、優れた専門家に相談しようと思ったら、なかなか無料というわけにはいきません。
 ボランティアで無料相談をやっている所もありますが、一切無料で、懇切丁寧に、「的確な」アドバイスをしてくれるところは、残念ながらごく僅かです。
 (この「的確なアドバイス」というのが重要です。) 多くの無料相談は、「弁護士を紹介する」といって、弁護士へ丸投げして、終わりです。

 従って、的確なアドバイスを得ようと思ったら、ある程度の資金が要るのが普通です。 最低でも、弁護士委任なら着手金ぐらいは、本人訴訟や特定調停だったら裁判所印紙代と参考資料の書籍代と専門家への相談料ぐらいは欲しい所です。

 では、その資金をどうやって捻出するか?

 身内から借りて調達するのも構いませんが、私個人的には、一番のおすすめは、
 「今まで毎月15万も払っていた利息を、暫定的に、一切支払うのをやめる。」 これです。

 クレジットカードやサラ金の場合、利払いを1−2ヶ月止めても、せいぜい電話や文書での督促ぐらいしかないから、 それだけ我慢すれば何も問題ありません。
 思い切って、利払い(というか、返済そのもの。)を、暫定的に止めてしまうのです。

 これだけで、月末に15万円浮きます。 個人的には、これが一番おすすめの方法です。

 何も踏み倒すわけじゃなく、弁護士や裁判所を通じて、支払うべきものとそうでないものを、白黒はっきりさせてから返済再開しましょう、という趣旨ですから、何も恥じることはありません。

 しかし、支払いを止めている間には業者から督促の電話が来ます。 この督促電話がどうしてもイヤな場合は、止める方法がちゃんとありますので安心してください。その方法とは、

(1) 弁護士委任の場合: これは簡単。 弁護士さんに正式委任し、「受任通知」 を出してもらえば、すぐに取り立ては止まる。

(2) 自分で調停や訴訟をやる場合: これも簡単。 自分で簡易裁判所へ行って特定調停手続きをして(調停手続きは1日でできる)、家に帰ってから各業者に、手紙かFAXか電話で「調停を申し立てました」 と言えば、その日から調停終了までの数ヶ月間、暫定的に一銭も支払わずに、取り立てを来なくさせることができる。

 なぜなら、大蔵省通達・貸金業規制ガイドライン3-2-2(3)に、
「債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知、又は、調停、破産その他裁判手続きをとった事の通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求することをしてはならない」 と明言されているので、例えばあなたが業者に、「特定調停を申立てました。事件番号(受領書番号)はXXXXX番です」 といった時から、業者はあなたに直接督促行為をしちゃいけなくなるからです。 もしやったら、所轄官庁(関東財務局など)から、業務停止などの厳しいペナルティをくらうのです。

 因みに、弁護士介入通知を業者に送ってもらうには、それなりの着手金を弁護士さんに支払わなくてはならないのは言うまでもありません。(負債総額の2%ぐらい。負債500万なら、着手金は最低10万はいるでしょう。) しかし、この着手金も含め、分割払いに応じてくれる親切な弁護士さんもいますし、あなたの生活状況などによっては、法律扶助制度という、弁護士費用を国が負担してくれる制度もありますので、案ずるよりも、まずは直接当たってみましょう。

 特定調停を自分でやる場合の費用は、自分で全てやるなら、裁判所の印紙代だけで済むので、1件当たり700−800円ぐらい。 例えばサラ金10社なら7−8千円ぐらいです。 安さではこれがナンバーワンです。(確実性の意味でも、ちょっとしたコツを覚えれば、利息制限法引き直しと将来利息カットと長期分割返済がかなり高確率で達成できますのでおすすめです。) その気になれば、明日にでも申立てできるほど、手続きは簡略化されています。(決して簡単というわけではないが…。)

 自分で書類を書かず、司法書士さんに特定調停の申立書類作成を頼む場合は、サラ金1件あたり2−3万円位といったとろでしょうか。しかし10件もあれば多少は割安にしてくれることもあるので、これも自分で当たってみましょう。 中にはビックリするぐらい良心的な所もありますから。

 いずれにしても、多重債務は、多少相談料を割いてでも、専門家に相談するべきです

(2002年、メルマガ33号より抜粋)
3. 借金の相談方法について考える   (注:これは2004年に書いた比較的古い記事です)

[あちこち転々とする「相談難民」]

よく、「○○弁護士に相談したんですけど、納得いく回答を得られませんでした」とか、「○○司法書士に相談したところ、間違ったアドバイスを受けたようで、言われた通りに実行したのに上手くいきませんでした・・・」 といった、専門家への不満の声を聞くことがあります。

確かに、残念ながら、アドバイスの質がお粗末な専門家は存在するようです。
しかし、こうした方の話をよく聞いてみると、結局どこの専門家へ相談に行っても、せっかくもらったアドバイスの真意を何も理解しておらず、つまるところ、ご本人に問題があると言わざるを得ない場合も少なくありません。

たとえば、ある日、こんな相談を受けました。

「私は60歳、無職、失業中の身です。じつは、連帯保証人として背負ってしまった債務が2000万円あります。弁護士に相談したところ、「自己破産」か「そのまま放っておく」しかないと言われました。私は自己破産したくなかったので、放っておくことにしました。そしたら、ある日突然、私の預金口座が差し押さえられてしまいました。弁護士に放っておけばいいと言われたからそれを信じたのに。今は弁護士に不信感でいっぱいです。どうしたらいいでしょうか?」 と。

これに対して、私はちょっと気になったので、その弁護士さん(たまたま知り合いだった)に電話で聞いてみました。回答は次のとおりでした。(予想通りの回答でした)

「確かに自己破産か放置しかないと言った。でも、その理由もちゃんと説明しましたよ。法的にきちんと債務を無くしたいなら自己破産がベスト。他の方法としては、個人再生や任意整理もあるが、これらは多少の減免はあっても返すことには変わりないから無職の彼には現実的には無理。だから、自己破産がどうしても嫌なら、そのまま放置しておくしかないでしょう。放置の場合、もちろん取り立ては来るし、訴訟や強制執行などもある。時効か不良債権処理されるまでの数年間は、無傷で穏便に過ごすのは不可能だろう。でも、60歳無職の人にそこまで執拗に追いかけてくる債権者もそういない。仮に差押があったとしても、それは返済意欲を喚起するための一種の威圧行為のようなものであって、実際に差押で債権を回収できるとは相手も思っていないだろうし、実際、もし彼が差押をくらっても、取られるものは何もないはずだ。そういう意味では、自己破産がどうしても嫌なら、放置という手も悪くはない。そう説明したはず。」 と。

これなら私もよーくわかります。
ちなみにこの60歳の方は、独身で身寄りもなく、これといった資産もありません。
万一死亡したときも、負債が誰かに相続される心配もないようでした。
そうなると、自己破産以外の手段としては、(さほどオススメできるものでもありませんが、どうしてもというのなら、)返さずそのまま放置というのもいいでしょう。
弁護士さんのアドバイスは、さすがに的を得ていると思います。

で、さらに気になったので、その相談者の方に直接会って聞いてみました。
その結果、差押されたものの、実害はゼロに等しかった(預金残高は1万円位しか残っていなかった)ことを認め、また、弁護士から上記のような説明を聞いていたけど忘れていたことも認めました。

この方は、私と会って話している最中もメモをとる気配は全くなく、少し込み入った専門的な話になると、よく話が飲み込めていないまま「はい、はい」と調子よく頷いているのが少々気になりました。 本当にわかっているのかな・・・? と。

後日、この方は別の司法書士事務所へ相談に行ったそうです。
そしてそこでも、先の弁護士から間違ったアドバイスを受けたことへの不満をもらし、同じような質問をして帰ったそうです。
悪気はないのでしょうが、少々呆れました。

実は、このようなケースは少なくありません。

うちの事務所に相談にお見えになる経営者の方の中でも、ちゃんとメモをとって、わからないことを聞き逃さずに質問してくれる人はごくわずかです。
皆さん、ちゃんと理解できているのでしょうか?

私が多重債務の解決方法で苦しんでいた頃は、債務整理専用のノートを一冊作って、裁判所へ行く時や弁護士に相談するときは、いつも肌身離さずそれを持ち歩き、こまめにメモをとっていました。それは私が自分の記憶力・理解力に自信がなかったからです。
今でも時々、そのノートを開いて過去を振り返ることがあります。すると、当時の専門家からの助言の「真意」が見えてきて、ハッとさせられることがあります。時間をかけて反復学習しないと見えてこないことも沢山あるのです。

◆[良い相談方法とは?]

このように、専門家に対して不満をもらしている人の中には、自分自身の姿勢に問題ある人も少なくありません。
では、一体どうしたらその姿勢が改善され、専門家から良質のアドバイスを引き出せるのでしょうか? 以下、思いつくかぎり書いてみましょう。

(1)メモを取る。疑問点をそのままにしておかない

 前述のとおりです。メモは重要です。
自己破産と免責、個人再生と任意整理と特定調停、支払督促と訴訟、債務名義と動産差押、貸倒と時効、債権回収と債権処理、競売と任売、代位弁済と債権譲渡など、似たような紛らわしい用語や、一語間違えば意味が全く違ってくる用語などが沢山あります。それらをいっぺんに憶えるのは常人の頭では不可能です。
メモを取ると、反復学習ができます。その場で理解できなくても、家に帰ってその言葉をネットや辞書などで調べてみたらスルスル理解できる場合もあります。
相談に行くのもタダではありません。有料相談はもちろんですが、無料相談だって、交通費や時間など見えないコストがかかっているはず。専門家に相談できる機会はそう多くありません。メモをとったほうが断然あなたのために得です。

(2)良い相談相手を選別する

基本的な選び方は、法律相談や裁判関係の相談や各種トラブルなら弁護士へ。
不動産・会社登記など法務局関連の相談や簡易裁判所扱いの個人の債務整理等は司法書士へ。
税務、会計、資金繰りなどの相談は税理士へ。
役所への許認可申請や各種届出などは行政書士へ。
生命保険や個人の資産運用などはファイナンシャルプランナーへ。
経営相談(社員教育、販売促進、資金繰り、倒産回避など)は経営コンサルへ。
・・・といった選別のしかたで良いと思います。

さらに厳選したければ、弁護士なら地元都道府県の「弁護士会」を当たるといいでしょう。
(遠方の弁護士を広告等で見つけて相談するのは、私はあまりおすすめできません。直接「会って」細かく打合せできたほうがいいので、近いほうがいいでしょう)
司法書士も同様に地元の「司法書士会」へ。
税理士なら「税理士会」へ。

もうひとつの選別のしかたは、その先生の「実績」や「考え方」や「評判」を調べることです。
著書があればその本を読む。ホームページがあればそれを隅々まで読む。掲示板があれば読者のコメントを読む。講演やセミナーや無料相談会があればそれを見に行く。知人から紹介を受けられるならその知人の評判を聞く。有料スポット相談があればそれを受けてみる。(1回きりのスポットと割り切れば安いもんでしょう) そこまでやれば、その先生の人物像や能力などが実感できるはずです。

宣伝広告を鵜呑みにして、会ったこともないのに高いお金を払って契約してはいけません。
必ず「会いましょう」。

(3)すべてを話す

本気で借金を整理したいなら、本気で倒産危機から脱したいのなら、都合の良い部分だけを話すだけではダメ。必ず、関係なさそうなことでも、全て話すほうがいいいでしょう。

たとえばこんな人がいました。
3000万円の銀行からの借金があって、収入は月収30万ほどにまで落ち込んでいて、このままでは返済不能。自己破産しかないかのように見えました。
しかし、よ〜く聞いてみたら、昨年に銀行から借りたときにまとめて完済し終えたクレジット・サラ金・商工ローンが総額1500万円以上もあり、しかもこれが過去10年以上も取引が続いていたので、これを利息制限法引き直しして過払い金返還請求訴訟すれば、うまくいけば1000万円前後も戻ってくる可能性がありました。
ご本人は「すでに完済したものだから関係ない」と思い込んで話さなかったのですが、これを専門家に話すと話さないでは大違いです。
結局、この方には弁護士を紹介し、過払い金返還請求を依頼して、結果、1000万円位の過払い金を取り戻すことに成功しました。そしてそのお金の大半を銀行の返済にあてて借金を減らし、残りの数百万を事業のテコ入れ資金にあてて再起を図り、それが成功して見事にV字回復することができました。

どれが大事でどれが大事でないかは、ご本人では判断できないと思いますので、まずは前後関係を「すべて話すこと」。これが重要です。


(4)自分がどうなりたいか?を正確に伝える

よく「自己破産だけはしたくない!」という人がいますが、理由をよく聞いてみると、就職に影響するから嫌だとか、会社をクビになるから嫌だからとか、現実的にあまり起こり得ない(万一起こっても対抗手段はある)ような小さなことだったりします。
このような方に、「自己破産しても職を失うことはないですよ」と説明すると、たちまち自己破産のほうに気持ちが傾いたりすることが多々あります。

大事なのは、生半可な知識で「自己破産は嫌だ」「競売は嫌だ」などと言うのではなく、もっと基本的な自分の希望(「借金苦から逃れたい」「家族を楽にさせたい」「住むところだけは確保したい」「今の仕事を続けたい」「XXは犠牲にしてもいいから○○だけは守りたい」、など)を伝えることです。

場合によっては、自己破産して家は競売になっても、現在の仕事をそのまま続けて、家も身内に安く買い戻してもらって従来通り住み続けられるという場合もありますから。

(メルマガ 2004年 第92号より抜粋)
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