【事業者向けヒント】
■■■ 不渡りしを出しても経営再建できる ■■■

 世間一般の認識では、不渡り=倒産と思われています。

 確かに不渡りを半年以内に2回起こすと、銀行取引停止というペナルティーだけでなく、債権者が一斉に回収につめかけてきたり、仕入先から信用してもらえなくなったり、どこからも資金調達(借金)できなくなったりして、事実上、事業継続はきわめて困難になります。 このため、フツーの経営者は、手形2回不渡りを出した時点で、その会社を整理してオシマイにしてしまいます。 弱気な経営者は夜逃げや自殺などを考えてしまう場合もあります。

 しかし、世の中には手形2回不渡りを出しても、そのまま事業継続しようとするタフな(?)経営者がいます。 一体そんなことが可能なのでしょうか?

 答えはイエスです。 少なくともノーではありません。

 その根拠は、

  1. 手形不渡りになっても、会社登記まで抹消されるわけではない
  2. 銀行取引停止といっても、あくまで「当座預金口座」が消えるだけであって、「普通預金口座」のほうはそのまま残せる
  3. 手形を全く使用しない仕入れや資金繰りは十分可能

だからです。

 あとはその経営者の腕と努力と気の持ち方次第で、会社存続は可能なのです。

 私は専門家ではないので、自分の経験と過去に見てきた実例でしかお話しできないのですが、そんな例は結構あります。

 たとえば、私の知人である工務店Aさん(東京都)の場合。

 彼は業績不振が続いて資金繰りに行き詰まり、とうとう商工ローンやマチ金に手形を振り出して高利の借金をしてしまいました。 そしてあっという間に負債が膨れ上がり、とうとう不渡りを立て続けに2回出してしまいました。 しかし彼はそこで逃げ出したりせず、すぐに債権者(貸金業者だけでなく取引先全部)に不渡りになったことを報告し、これから迷惑をかけますと平謝りに謝り、その上で債権カットや分割払いを粘り強く頼み込みました。 もちろんあちこちから罵声を浴び、取り立ても止みませんでしたが、それでも彼はへこたれず、一貫して低姿勢で謝り、少しずつ返すから勘弁して欲しいと頼み込みました。 同時に、不渡りになっても仕事を継続させてくれそうな取引先に、片っ端から 「不渡りになったが、私は大丈夫だ。仕事を継続させてほしい」 と頼み込みました。

 そしてその結果、取引先の買掛金は一部免除、一部分割払い、一部出世払い(?)になり、銀行融資は長期分割払いに組み直すことで交渉成立、商工ローンもかなり減額してもらった上に長期分割払いに応じてもらい、マチ金も小額で和解成立。 また今後の仕事についても、粘り強く情熱的に交渉したおかげで、いくつかの取引先から支援表明を取り付けることに成功しました。 現在は売上こそ以前の3分の1以下に減りましたが、それでも家族5人の生活費と借金返済費用ぐらいは十分稼いでいけるくらいに復帰しています。

 ここに至るまでに、不渡り発生日から2年近くかかったそうです。 しかしこの間、彼は一切の法的債務整理をしていません。 調停も弁護士による任意整理も何もしていません。 また銀行に担保に入れていた不動産も差し押さえられていません。 すべて自力で問題解決しています。

 彼は現在60歳以上になりますが、すごい精神力と行動力ですね。 日本は一度失敗したら再起困難といわれていますが、まだまだ捨てたものではありませんね。

 手形不渡りになったぐらいで自殺や夜逃げを考える必要はありません。 まだまだ再起は可能です。


(2001年春発行のメルマガより抜粋)
■■■ 債権回収の極意 ■■■

「売掛金が焦げ付いた」
「貸した金が返ってこない」
こういったことが原因で、借金生活に転落していった方も多いでしょう。
今回は、いつもと逆の立場で、債権をどうやって回収するかに焦点を絞ってみます。
普段借金で悩んでいる人も、たまには貸している側の立場にたって考えてみましょう。

●債権回収方法1 <こまめに電話をかけて催促する>

→ これは即効性ナンバーワンです。 毎日電話すると、相手は「こいつはうっとおしいから、早く払って静かにさせよう」という気になりますよね。 貸金業者を例にあげると、銀行やクレジット会社はあまり電話かけませんが、武富士やアコムのような消費者金融業界は、延滞者に毎日電話をかけます。 延滞した翌日から、ほぼ毎日です。 毎日電話を受ける側はたまったものではありませんよね。 これこそがサラ金業者の狙いであり、銀行よりも高い回収率を上げている原動力になっているのです。 債務者本人だけでなく、職場や自宅、実家などの電話番号も知っておくと効果倍増です。

●債権回収方法2 <督促状を郵送する>

→ 文書だけだと効き目が弱いので、電話と平行してやるといいでしょう。 相手の職場や実家など、相手が嫌がりそうな場所に郵送すると効果倍増です。

●債権回収方法3 <内容証明・電報>

→ 内容証明は普通の人にはそれなりに強いインパクトがあるので、効き目があります。 しかし、実はこれ、法的な拘束力は(実質的に)何も無いに等しいので、踏み倒し常習犯にはあまり効き目がありません。 ちなみに内容証明1通出すのに、郵送料が1300円ぐらいかかるので、コストも馬鹿になりませんね。(配達証明なら400円ぐらいで済みますけど。)
電報は古典的な方法ですが、古典的なだけに新鮮味があり、受けたほうはビックリします。 なかなか効き目があります。

●債権回収方法4 <訪問>

→ こまめに訪問するのも良い方法です。 但し、あまり長居しないようにしたほうがいいでしょう。 というのは、営業妨害とか何とか言われて110番通報されてしまうこともありますし、もっと怖いのは、あまり長居しすぎたり頻繁に訪問しすぎると、世間話や身の上話を聞く羽目になり、債務者に情が移ってしまうからです。 情が移ると、良いか悪いかは別にして、無理に回収しようとする気持ちが失せてしまいますので、債権回収という目的を達成しずらくなります。

●債権回収方法5 <法的手続き − 裁判所の支払督促>

→ これも、何も知らない人に対してはかなり効き目があります。なにしろ裁判所から 「被告○○は○○万円を支払え」 と通知が来るのですから、普通の人はまずビビります。 しかし、知っている人には怖くもなんともありません。 被告(債務者)が裁判所からの書類に同封されている答弁書の用紙に、「金が無いから月々○○円の分割返済による和解を求む」とでも書いて返信すれば、裁判所は原告(債権者)に 「被告は○○円の分割を望んでいるが、どうか?」 と和解を強くすすめてきます。 そして小額分割で和解になってしまうケースが多数を占めています。 あるいは、両者とも譲らない場合は、当然のごとく、裁判が長引きますので、判決が出るまでの間は、一円も回収できません。 時間が恐ろしくかかります。 したがって、債権回収方法としては、脅しとしてはそれなりの効果がありますが、即効性はあまりありません。

●債権回収方法6 <公正証書>

→ これは便利です。 公証人役場で公正証書を作ってもらうと、そこに書かれているとおりに支払いをしなかった場合、裁判所の判決なしでいきなり強制執行できますから。 しかし、公正証書を作るには、債務者の実印つき委任状や印鑑証明が要りますので、回収困難になった後でこれらを求めるのは困難でしょうから、事前に取っておく必要が ありますね。 しかし、金銭の貸し借りならともかく、商売の取引で公正証書を取るというのはなかなかできないものです。 買い手の機嫌を損ねたくありませんから。 したがって、あまり現実的な方法ではないように思います。

●債権回収方法7 <強制執行>

→ 強制執行は誰でも勝手に出来るものではありません。 債権者の手で勝手にやったら、それはドロボウになってしまいます。 動産差押えも、不動産差押えも、裁判所の執行官じゃないとできません。 それも、公正証書や裁判の判決のとおりに支払わなかった場合のみ、債務名義という、強制執行許可書のようなものが出来上がって、やっと強制執行の資格が得られるのです。 その後にも、長くて面倒な手続きが沢山あります。 予納金もかかります。 相手が遠方に住んでいる人だったら、その地域の地方裁判所まで出向いて、そこで手続きしなければなりません。 しかも、そうして気の遠くなるような手続きをしても、差し押さえたものが換金性のあるものかどうかわかりませんし、預金や給与差押えにしても、実際に押さえてみないといくら取れるかわかりません。 空振りで終わってしまうこともザラです。 だから、これも回収不能の場合の最後の手段にしかならないでしょう。 (私は以前、商売で売掛金回収不能になった時に、その売掛先に訴訟を起こし、強制執行を試みましたが、あまりにも手続きが面倒なので途中でやめたことがあります。 そんな暇があったら、前向きに新しい商売に精を出したほうがいいという気になってしまいます)

 ちなみに、回収率の高い消費者金融業者は、電話や訪問による督促がほとんどで、強制執行なんてほとんどしません。

●債権回収方法8 <究極の回収方法!?>

→ これは私の持論ですが、何をやっても債権回収できそうにない場合、いっそのこと 「債権放棄」 してしまって、以後、その相手と気持ちよくお付き合いを再開してしまうのがベストではないかと思います。 (あるいは完全な債権放棄ではなく、無期限に猶予するというのもいいでしょう。)

 なぜなら、このようなケースの場合、まず間違いなく、他の複数の債権者からも追いかけられているので、そんな中で、気持ちよく債権放棄してくれるような債権者が現われたら、まるで神様のように感謝されることでしょう。 「この人にだけはいつか恩返ししよう」 という気になるはずです。

 そうやって、相手がピンチのときに良い人間関係を築きあげて、後で完全に生き返ったら、そのときにはじめて回収するのです。やんわりと、人間的に。

 回収までに長い年月がかかると思いますが、元を取れるばかりか、思わぬ副産物が得られるかもしれませんよ。 世知辛い世の中だからこそ、これは価値ある選択だと思います。

 余談ですが、漫画「サラリーマン金太郎」の中で、主人公の金太郎が、パチンコ屋で見知らぬ薄汚い婆さんに「若いの、1000円貸してくれんかの」と頼まれて、金太郎が 「1000円じゃ勝てないだろ。1万円貸してやるから思い切ってやってみろ」 といって、見ず知らずの婆さんに、笑顔で1万円貸してやるシーンがあります。 以後、その婆さんと金太郎はすっかり仲良しになるのですが、実は彼女は日本の実業界を影で牛耳るものすごい資産家で、後で金太郎の勤める会社が経営危機に瀕したときに、ポンと200億円もの大金を投資してやり、倒産の危機から救ってしまいます。 マンガチックですが、なかなか良い話だと思いませんか?

(メールマガジン25号 2002年 より抜粋)
■■■ 経営再建の基本 (その1) ■■■

 現在わが国では、赤字決算の企業が全体の6割−7割を占ると言われています。
しかもこの数字は、税務署に申告されている数字にすぎません。
多くの会社は中小零細企業で、銀行の融資などを必要としている手前、実態よりも見栄えの良い数字で申告していると思われますので、実際はもっと悲惨な内情にであると思われます。

 この不況下で黒字を出すのは大変です。
ゼロから起業するのも大変なことですが、既存の事業が赤字体質化していくのを黒字体質に転換するのも非常に大変なことです。 その意味では日産自動車のカルロス・ゴーン社長は本当にスゴイですね。

 さて、今回からしばらくの間、経営者向けのヒントを連載します。

 今回はまず、その第一弾として、経営再建のために社長さんがやらねばならない基本中の基本を書きます。
 資金繰りに悩み、倒産の恐怖と戦っている社長さんは、心して読んでください。
 そして、今すぐに実行に移してください。 とっても簡単なことですから。 

<その1> 本業に専念すべし

 「何だ、そんなことか」 と馬鹿にしてはいけません。
 これが実行できないばっかりに自分の会社を倒産させてしまった社長さんがどれだけ多いことか。

 日々資金繰りに追われていると、本業がおろそかになりがちです。 これがあなたの会社の足を引っ張る最大の原因になっているはずです。 おそらく全国何百万社ある中小企業の半数以上が、これを改善するだけで経営体質が大きく変わるはず。

 しかしこれ、言うは易く行うは難しです。
 それでは、具体的にどうすれば、社長さんが本業に専念できるようになるのか、以下、ヒントを続けます。

<その2> 初心に還れ、本来やるべきことをやれ

 これも1と同じです。
どの社長さんにも、必ず良い時代があったはず。 また、設立当初の夢や、長年培ってきた経験による 「これをやれば成功する」 という構想が、多かれ少なかれあるはず。 それを実行に移せば良いのです。 シンプルですね。

 しかしそれが、日々の資金繰りに頭の中を支配されて、実行できずにいる。 実行しさえすれば成功できるとわかっているのなら、もっと強い意志を持って、多少の犠牲は覚悟で、それを実行に移さなければなりません。

<その3> 資金繰りに悩むな

 これが最重要ポイントですね。 多くの社長さんは、この資金繰りに朝から晩まで頭の中を支配されているばかりに、本来やるべきこともできずに機能停止状態に陥っています。まるで金融奴隷のような状態ですが、これでは金融業者へもいつかは返済できなくなりますので、全く悪循環です。 誰のためにもなりません。

 これを防ぐには、自ら鉄の意志を持って、「資金繰りに悩むのはもうやめよう!」 と決意するしかありません。 一時的に支払いや返済をやめれば、短期的には債権者に迷惑をかけますが、踏み倒すつもりでなく、経営再建のための返済ストップであることを説得すれば、金融機関や仕入先もある程度理解してくれますし、長期的にみて、債権者に迷惑をかけない最善の方法であるともいえます。

 (具体的にどうやって支払いを止めるかは、私のHPのあちこちにヒントが散りばめられています。 また会員制のページを見ればもっと詳しく載っています。)

<その4> ひとりで悩むな

 まず味方につけるべきは、家族です。次に社員。次に取引先。
 家族と社員には、混乱を招かない言い方を考慮しながら、なるべく正直に実情を伝えたほうがいいでしょう。 (見栄を張っちゃいけません。) そのうえで、自分がどうすれば経営再建できるか、何が弊害になっているかを、なるべく具体的に説明すべきでしょう。 もちろんこれは痛手を伴いますが、家族の団結力を生む意味でも、社員のやる気を確認する意味でも、非常に意味のあることです。

 経営者は孤独な存在といいますが、孤独に悩むのは良いことではありません。
 自分ひとりの会社だと思わず、関係者には力を貸してもらうつもりで、本当のことを話しましょう。

<その5> 他人に振り回されるな、迷走するな

 複数の経営コンサルタントや弁護士などに無節操に経営相談をしまくり、振り回され、迷走している経営者も数多くいます。 まったく、相談料の無駄としか言いようがありませんね。 こういう人は経営コンサルタント業界から見れば良いカモですが、本人のためにはなりません。 我々はこういった社長さんたちを 「コンサル難民」 と呼んでいます。

 一体、誰の会社なんですか? あなたの会社でしょう? 生かすも殺すも、あなた次第なんですよ。 肝に銘じてください。 迷走していないで、ちゃんと舵取りしてください。
 冷静に考えれば、自分が何をすべきかわかるはずです。 もし冷静になれないというのなら、冷静に自分を見つめ直せるまで休憩してください。

 以上、いたってシンプルで当たり前のことばかり書きました。
 しかし、これがなかなか実行できないんですよね。
 何度も言いますが、実行さえすれば必ず再建できる重要ポイントばかりですので、あれこれ迷わず、実行してください。 その行動力が企業再建のカギです。

(メルマガ34号 2002年 より抜粋)
■■■ 債務整理後または倒産後の資金調達 (その1、公的金融機関の融資) ■■■

 多くの事業者の方が、国民生活金融公庫や国の信用保証協会の保証つき制度融資を利用していると思います。

 これら公的融資を受けるときの審査は、意外に思われるかもしれませんが、過去にサラ金や商工ローンの債務整理(調停や任意整理など)をした過去があっても、それ自体が融資否決の原因にはなりません。つまり、俗にいうブラックリストに載っているような人でも、融資が得られる可能性があります。

 現に私は、過去に不渡り1回、クレ・サラ金の特定調停多数、商工ローン訴訟で原告席にも被告席にも何度も立ちましたので、間違いなくCICやJICなどの個人信用情報はブラックなのですが、それでも国の信用保証協会の制度融資は2回ほど審査パスし、国金の無担保融資の審査にもパスしました。また、私が今までに相談に乗ってきた人たちにも、このような人は沢山います。倒産して事実上ブラックになった人でも、その後新たな会社を興して、そこで事業資金を無事調達できた人を大勢見てきました。 その気になれば、いちど倒産しても再チャレンジのチャンスはあるというわけですね。

 しかし、勘違いしないで頂きたいのは、公的金融機関の審査基準は、あくまでも「総合判断」で決められるということです。信用情報ブラックでも、それをカバーして余りあるだけの「綿密な事業計画」あるいは「業績」あるいは「熱意」などがあれば、融資OKとなる可能性がグンと高まりますが、信用情報ブラックで、業績も下降気味で、目新しい事  業計画もなく、経営者の熱意も計画性も計数感覚も感じられないようでは、どこへ申し込んでも落とされます。

 ここで私が言いたいのは、高利のクレジット・サラ金・商工ローンなどを整理しても、事業さえ生きていれば、その後の運転資金調達には、まだ道が残っているということです。 むしろ、積極的に高利の借金を債務整理してから健全な公的融資を受けたほうが、そのお金が「生きた金」として、良い方向に使われるはずです。

 逆に、信用を維持するために、高利の借金をズルズルと現状維持したまま公的融資を受けてしまったら、きっとその大事なお金は、高利の利息支払にあてられ、本来使うべきはずの事業資金に生かすことができず、「死に金」として消えていくでしょう。

(メルマガ 2003年2月号より抜粋)
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