事業再生を成功させる秘訣(小企業・自営業)
事業再生を成功させる秘訣 (小企業〜自営業向け)
(吉田猫次郎のメルマガから抜粋した記事を加筆修正。)
■(新連載)事業再生を成功させる秘訣 (その1)■

<「あなたが一番苦労したこと」は、すごい武器になる!>
<あなたのコンプレックスや挫折は、すごい武器になる!>

たとえばこんな人が実在します。

★カリスマ進学塾経営者のAさん。

Aさんは幼い頃からロクに遊ばせてもらえず受験勉強ばかりさせられ、どうにか一流高校→一流国立大学をストレートで卒業したものの、特にこれといった特技も夢もありませんでした。友達も少なく、無気力で消極的な学生生活を送っていました。卒業後、とりあえず国家公務員になってみましたが長続きせず、すぐに辞めてしまい、いい歳してから大いなる挫折感を味わうことになりました。

あるとき、彼は考えました。

「僕が今までの人生で一番打ち込んだものは何だったんだろう?」
「僕が今までで一番苦労したことは?」
「僕の特技や持ち味は?」

彼の出した答えは、極めてイージーかもしれませんが、「受験勉強」でした。
振り返ってみると、受験勉強しているときが、最も熱くなれたのです。

そこで彼は、ためしに某大手予備校に転職することにしました。
予備校では、講師としてはイマイチ能力を発揮することができませんでしたが、意外にも「問題作り」や「傾向対策分析」の方面ですごい力を発揮し、たちまち周囲から一目置かれるようになりました。

その後、彼は、何冊かの参考書を執筆する機会に恵まれ、これがまた高い評価を呼び、知名度も上がり、数年後に思い切って独立。現在では大成功をおさめています。

★カリスマホストのBさん。

彼は幼少時に母子家庭に育ち、そのお母さんも水商売と心の病を抱えて心身ともに不安定でした。お母さんにとって唯一の心の支えは息子のBさんであり、Bさんもそれを幼い頃から自覚していたので、たとえお母さんがどんなに情緒不安定で理不尽な日があっても、ごく自然に、話をよく聞いてあげて、思いやりをもって接していました。

Bさんが16歳のとき、お母さんは再婚しました。そんな家庭環境にあったため、彼は人より早く自立したいと願い、17歳で高校中退して上京し、肉体労働で働き始めました。

しかし彼はもともと虚弱体質で、あまり肉体労働には向きません。いくつか職を転々をしましたが、どれも上手くいきませんでした。

彼は考えました。

「俺には何のとりえもないのか?」
「俺に向いた仕事はないのだろうか?」
「一生このまま根無し草なのだろうか?・・・」

20歳のある日、アルバイト仲間から「ホストやってみないか?」と誘われ、軽い気持ちでやってみることにしました。

ここで彼はその素質を開花させることになります。

彼は無意識ながら非常に「聞き上手」で、しかも、水商売をしているような多少クセのある女性でもすぐに心を開かせてしまう「何か」がありました。べつに容姿に恵まれているわけでもなければ、話し上手だったわけでもありません。ただただ、女性に対して突出して聞き上手で、和ませるのが上手だったのです。

彼は地味なタイプにもかかわらず、たちまちナンバーワンホストになりました。そうなると面白いもので、いろいろな出会いや転機が訪れ、人間的にも成長し、今ではナンバーワンホストの座をキープしながら大検を受けて某私立大学の夜間部に通い、ジムにも通って体力強化に努め、ますます充実した日々を送っています。将来が楽しみです。

★倒産経験のあるバイク屋Cさん。

Cさんは数年前に5千万円以上の借金を背負い、契約どおりの返済が不可能になり、手形の不渡りを2回出し、自己破産はしなかったものの、調停・訴訟・リスケジュール・代位弁済・自宅の売却などの手段を駆使して債務整理をした経験があります。

借金は現在も2千万ほど残っており、バイク屋を継続しながらどうにかマイペースで返済を続けています。

彼のすごいところは、自分の債務整理歴や不渡り経験などを一切隠さず、それどころかセールスポイントにしてしまっていることです。今でも時々裁判所や金融機関に呼ばれることがありますが、そんなときは店のシャッターに、

「お客様各位  本日は裁判所と金融機関から呼び出しをくらっておりますので、 臨時休業させて頂きます(苦笑)。 店主より」

などと張り紙して、周囲のウケを狙っています。

この作戦(?)が功を奏してか、彼の店は今、大繁盛です。 バイク屋の客層は比較的ビンボーな人が多く、数十万円のバイクを買うにもローンを組む人がほとんどで、中にはローンの返済に困っているお客さんも少なくありません。Cさんはそんな人の相談にも乗っています。近所で借金相談に来る人もいて、今ではちょっとした近所の名物おじさんです。

そんなこんなで、Cさんの店はいつも賑やかで、収益も順調に伸びています。

彼はよく言います。

「最も恥ずかしくて汚点だと思っていた借金、倒産危機、債務整理経験が、逆に今では最大のセールスポイントになっている」 と。

いかがでしょうか?

(2005年8月6日発行のメルマガより抜粋)
■■■事業再生を成功させる秘訣〜その2■■■

<「短期」「中期」「長期」と分けて事業計画を組み立てよ!>

「現在が苦しい」からといって、イコール「先行きの見通しが立たない」とは限りません。

いくら現在の経営状態が苦しく赤字垂れ流しであっても、それが1年先3年先5年先の繁栄への布石になるのなら、それはそれで立派な戦略です。(もちろん、そこまで資金が持つかどうかをシビアに計算しなければなりませんが・・・)

また、「現在とても調子が良い」からといって、それが中〜長期的に安定するとも限りません。業績好調な状態にあぐらをかいていると、そのうち足元をすくわれて、いつか破綻(はたん)してしまう場合もあります。

こんなことは誰でもわかりますよね?

しかし、わかっているつもりでも、実際には多くの中小零細経営者の方が「場当たり的」で、このことを本気で考えていないのではないかと思います。

事業というのは、現在の好調不調にかかわらず、必ず「短期」「中期」そして「長期」の3つに分けて、同じウェイトで事業計画を立てる必要があります。

これを「人生計画」と置き換えても構いません。

それがホップ、ステップ、ジャンプを狙うのか、それとも生涯安定路線を狙うのか、それとも道なき道を選ぶのかは、個々の判断次第で大いに結構ですが、いずれにしても、大雑把な設計を立てておいたほうが効率的で、危険も少なく、かつ楽しめると思います。

また、短期、中期、長期の事業計画は、それぞれ散漫にならず、関連あるものを発展させていくことを考えたほうがいいでしょう。

以下、良い例と悪い例をあげます。

[悪い例]

Aさん。本業は運送の下請け業。業績が下火で資金繰りがきついため、最近は夜に道路工事のアルバイトをし、勤務中も空いた時間を利用して健康食品のネットワークビジネスの仕事をして食いつないでいる。共同経営者の兄がいるが、兄も同じことをしている。寝る時間は1日4時間。必死になって働いているが、本業の先行き見通しは立たないままである。

道路工事のバイトも本業の発展にはつながらない時給目当てだけの仕事だし、健康食品のネットワークも一見良さそうだが本業とは無関係であるため、どっちつかずである。

このままでは2−3年先の展望も見えてこない。漠然と不安を抱えたまま、本業に力を入れるべきか副業に転じるべきか悩んでいる。

[良い例]

Bさん。本業は運送の下請け業。業績下火で資金繰りがきついのはAさんと同じである。共同経営者の兄がいるところもAさんとそっくりである。目先の生活費にも困窮してきたため、副業を余儀なくされている。

そこでまず考えた。

「今ここで踏ん張って本業をしっかりやれば、果たして3年先5年先には発展の見込みがあるのだろうか?」と。

Bさんの最大の弱点は、下請け依存率が高過ぎることだった。最近は仕事が減ってきているのに、特に営業努力もしないで人も設備も遊ばせていることが多かった。逆に言えば、人と設備をフル稼働させるだけの仕事を自力で掴むことができれば、たちまち安定すると思われた。しかし今は目先の資金繰りに振り回される毎日。身動きが取れない。

よく考えた結果、Bさんは次のような計画を立てた。

<短期計画> 
ここ1年は、目先の資金確保のために、従来の下請けの仕事の合間に、寝る時間を惜しんで副業に励む。但しこれは1年ポッキリの期間限定である。副業の内容も、本業の発展(営業力強化や人脈作り等)に役立つものを選ぶべく、知人の紹介で地元の中堅クラスの食品問屋の営業(それも夜間営業)をさせてもらおう。共同経営者の兄には、本業の経費節減や管理能力をアップしてもらうために、副業と修行を兼ねて、小さな自動車修理工場でアルバイトしてもらおう。運送業の要であるトラックの整備を、今迄はディーラーに任せっぱなしだった。これを反省し、今後は身内でやれることはやる。そのためにあえて小さな修理工場であらゆる整備を覚えてもらおう。ついでに副収入も稼いでもらう。但し1年ぽっきりだ。また、この1年は、出費を最小限に抑えて、業績低下してもギリギリ回していける体質作りをするために、債務の整理も同時進行して行う。債務整理と本業と副業の同時進行は体力的にも精神的にもキツイが、とにかく1年だけの辛抱だと思って頑張ろう。

<中期計画>
2年目は副業をきっぱり辞めて、本業に専念する。本業の内訳は、下請けの仕事は従来どおりやるが、あまりアテにせず、空いた時間をフル稼働すべく、自分は営業に専念する。食品問屋のアルバイトで得た営業力と人脈を活用し、夜の水商売業者をターゲットにした食材の小口宅配ルートを確立する。大手がやらない時間に、大手がやりたがらない仕事を、狭いエリアに絞り込んで効率よく拾い集めるのだ。客単価は安くてもいい。最初はあまり儲からなくてもいい。とにかく得意先の数を増やせるだけ増やして、喜ばれるいい仕事をする。タネをまくのだ。いい仕事の秘訣はお客さんが教えてくれる。お客さんが最大の師であり、教科書なのだ。こうして、たとえ収益率が低くてもフル稼働を心がけ、得意先との密着を心がけ、次なるビジネスチャンスを窺うのだ。債務整理が一息つき、これに兄の設備管理能力が加われば、月々の出費はかなり減る。これならたとえ業績が横ばいのままでもギリギリの生活はできるし、事業継続もできる。本業がフル稼働していれば貧乏生活のままでも精神安定剤代わりになる。種撒きにも訓練にもなる。無駄なものは一つも無い。これを2-3年続けてみよう。

<長期計画>
前項の<中期>でうまく軌道に乗ったら、次はここで掴んだ固定客の要望に「すべて」応えるべく、運送業を中心とした総合サービス業へと発展させる。「運送」と「営業」と「御用聞き」の3本を柱にして、物販業者などともタイアップして、送料収入のみならず手数料収入も稼げるようにする。これで3本柱のうち1本が赤字採算になっても残り2本で食っていけるし、アメーバのようにいろいろな発展性が見込めて楽しくなる。

いかがでしょうか?

AさんBさんともに、実際にあった事例をもとに多少脚色を加えたものです。

わかりやすくするために作文っぽく書きましたが、上記の短期・中期・長期の構想に、可能なかぎり具体的な数字(収益目標、必要経費など)と、考えうるマイナス要因などを書き加えていけば、政府系金融機関へ融資申請するときに出す事業計画書としても、立派に通用します。

(2005年8月22日発行のメルマガより抜粋)
■事業再生を成功させる秘訣〜その3■

<「一本化」よりも「多重化」のほうがいい!!>
<堅実さがアダになる>

さて今回は、「ピンチに瀕している企業」というよりも、「健全経営している企業のための危機管理」という意味合いで書いていきたいと思います。

事業を営んでいる経営者にとって、今や「メインバンク一本」という考えは時代遅れです。危機管理という観点で見ても、メインバンクのみの付き合いというのは、あまりにも危険です。

「メインにしている地方銀行が破綻して、つなぎ融資が受けられなくなってしまった。しかも残債務は整理回収機構(RCC)に債権譲渡され、早期の返済を厳しく迫られている。手形帳や小切手帳も発行してもらえない。これでは大きな受注が入ったときに資金不足で受けられないし、慣習化している手形取引もできない。大ピンチだ・・・」

堅実に経営していたのに、メインバンクが破綻したばかりに全ての歯車が狂ってしまった。このようなケースは全国的にいくらでもあります。

こんな場合の対処法としては「他の金融機関に借り換える」ことがまず思い浮かびますが、担保価値が著しく下落していたり、業績に陰りが見え始めていたりすると、借り換えも容易ではありません。当座開設(手形や小切手を発行してもらうこと)も断られてしまうことがあります。いくら本業が黒字収支を保っていても、担保価値不足やRCCへの債権譲渡などが生じると、企業としての信用度はどうしても下がってしまうのです。ましてや借り換え先の銀行にとっては「はじめての融資先」に他なりませんから、実績を積まないと融資枠も思うように上がらないでしょう。

このように、いくら本人が堅実にやっているつもりでも、堅実がアダになってしまう場合もありますから、堅実すぎるのも考え物ですね。特に運転資金や設備資金や手形などで銀行とベッタリな関係を保たざるを得ない業種の方は要注意です。(建築業、製造業、問屋など)

「リスク分散」の意味でも、銀行とのつきあいは要領よく使い分けたほうがいいでしょう。

メインバンク一本をやめて、要領よく「浮気」「かけもち」(?)をするようになると、リスク分散効果の他にも、いろいろ思いがけないメリットがあります。

銀行は変な横並び意識のようなものが強くて、複数の銀行とつきあっていると、「他行も融資しているんだから、ウチも融資しても大丈夫だろう」と、むしろ信用度が高まる傾向があります。また、横並びの中で優位に立ちたいと思うのも銀行の銀行らしいところと言えましょうか、複数の銀行とかけもちをしながら一定期間実績をつむと、銀行のほうから、「うちで一本化しますから、うちをメインバンクにしませんか?」とか「金利を他行より引き下げますから、うちでもうちょっと借りませんか?」とか「うちは他行と違って保証人は要りません。担保だけで結構です」とかいろいろ有利な条件を出してくれるようになります。

もちろん、業績がある程度安定していなければこんな話は来ませんが、私が言いたいのは、冒頭で書いたとおり、「健全経営している企業のための危機管理」という意味でも、また企業経営というサバイバルな世界において少しでも優位な条件に立つためにも、銀行が相手にしてくれているうちに、メインバンクの分散化を図ったほうが何かとトクですよと言いたいのです。

高金利の多重債務は絶対に良くありませんが、堅調に推移しつつある事業者が複数の銀行からかけもちして借りる「多重」は、むしろオススメです。

何事も一概には言えませんね。

(2005年秋発行のメルマガより抜粋) 
■(連載再開)事業再生の秘訣〜その4■

『一生懸命やるな!頭使え!』

 人間の身体に例えれば、従業員の役目はちょうど「手足」のようなものであり、経営者の役目は「頭」のようなものです。 

 従業員が「頭」の指示に従って「手足」のように働くのは当たり前ですよね。手足のように働かなければ、その従業員は怠けていることになります。

 それと同じように、経営者が「頭」として機能していなければ、それは、その経営者が怠けていることにほかなりません。

 それぞれ役割分担があるわけです。

 経営者の皆さん、一生懸命働いているフリをして、実は「頭」が怠けているということはありませんか? もし「頭」が怠けていたら、たとえいくら不眠不休で働いていても、事業は長く続きませんよ。あなたも周りの人も、皆、貧乏暇なしのままですよ。

 頭を冷やしましょう。

 どんなモノでも、冷やすためには、「休む・止まる」が伴います。

いいんです。従業員を手足として使いながらも、経営者のあなたは休んでください。休んだ上で、頭を最大限に使うのが、あなたの役目です。これを怠って手足のような作業ばかりしている経営者は、ある意味、怠け者です。

(2006年1月30日発行のメルマガより抜粋)
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