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株式会社NEKO-KENは「中小企業・零細企業の倒産を防ぐ為のコンサルタント会社」です。

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中小企業再生のヒント集
倒産を防ぐ方法その2 〜 末期症状の応急処置編
HEADLINE

1.銀行への返済ができなくなったらどうなるか?

 銀行はサラ金などと比べると、随分のんびりしています。信金あたりだと地域密着色が強いので延滞当日の夕方から頻繁に電話がかかってくることがありますが、メガバンクあたりだと延滞してもしばらく電話も何もこないことがザラにあります。

 また、最終処理の仕方も、信用保証協会つきなら代位弁済で8割以上は処理完了、不動産担保つきなら担保を競売するか任売させるかで大半は完了、残った残債はサービサーに債権譲渡して完了、また無担保プロパーのビジネスローンも民間保証会社に代位弁済してもらうかあるいはサービサーに債権譲渡して完了・・・と、少なくとも銀行に債権があるうちは、比較的あっさりしているというか、必要以上に手を汚さないというか、そんな傾向があります。

 もう少し掘り下げて書いてみましょう。 あまり細かくは書きませんが、以下、応急処置を考えるうえで必要なキーワードだけ解説します。

  • 催告書、督促状、内容証明
     − 延滞が始まって1週間ぐらいすると届き始める。普通郵便や配達記録で送られてくることが多い。内容はつまるところ、「早く遅れている分を返して下さい。さもないと、そのうち一括請求になりますよ」 というようなものである。 尚、利息に加えて延滞金が少し発生するのが普通である。
     銀行の場合、返済が遅れて最初の1ヶ月ぐらいは、たいてい、電話か担当者の訪問か催告書か督促状といった手段でチクチクとやられることが多い。 それ以上のこと(一括請求や競売、債権譲渡など)は滅多にない。
     但し、銀行との間の信用は、それなりに失う。債務者区分がワンランク下がることはほぼ確実。(例:「正常先」から「要注意先」へ)
     延滞が進むと、銀行は決算書の提示をしきりに求めてくる。これはひとえに、債務者区分をどうするか決めるためでもある。延滞に加えて決算書の内容も悪いと、債務者区分が「破綻懸念先」に下がり、銀行としても一括請求→早めの処理をせざるを得ない場合もある。

  • 期限の利益の喪失〜一括請求
     − 暇な時に契約書を熟読してみるといい。契約書の後ろのほうに、「期限の利益の喪失」についての条項があり、そこには「〇ヶ月分以上の延滞があったときや、差押、不渡、競売、民事再生、等の処分を受けた場合は、期限の利益を喪失するものとする」 というような文言が書かれているはずだ。
     「期限の利益の喪失」とは、わかりやすく直訳すると、「分割払いのメリットを喪失しますよ」、すなわち、「いますぐ全額返してもらいますよ!!」という意味である。一括請求である。
     期限の利益を喪失すると、そこから先は、「利息」は発生しない。そのかわり、「遅延損害金」が年14%位の割合で発生する。
     いったん期限の利益を喪失すると、元の条件に戻すことは不可能である。
     期限の利益を喪失するまでのタイミングは、はっきり言って、明確に決まっていない。契約書にはそれらしいことが書かれているが、実際には銀行は損得勘定や金融庁のマニュアルなどとニラメッコして、柔軟に決めている。たとえば、保証協会や保証会社つきの銀行借入金の場合、延滞後3〜5ヵ月後に期限の利益喪失、その1−2ヵ月後に代位弁済されることが多い。不動産担保つきプロパーの場合は、3〜6ヵ月後に期限の利益喪失、その後まったりと任売や競売の話が始まることが多い。
     裏を返せば、期限の利益を喪失する前ならば、多少延滞しながらでも、延滞を埋めて正常に戻したり、リスケ交渉したりすることが可能なのである。

  • 代位弁済
     − 保証協会や保証会社つきの借入では、数ヶ月延滞して「期限の利益を喪失」して一括請求された後、銀行はまたしばらく一括請求通知の内容証明郵便を送って自力回収を試みる。そして、そこまでやっても回収が見込めなければ、保証会社あるいは保証協会に「代位弁済」の申請をする。代位弁済の手続きには1−2ヶ月かかることが多いようだ。その間、債務者のあなた側にとっては、「嵐の前の静けさ」のような日々が訪れる。
     保証会社が銀行に保証する割合は「全額保証」のことが多いが、信用保証協会の場合、平成19年10月以降に契約したものは「80%のみ保証」である。(責任共有制度。但し例外あり) 80%保証の場合、代位弁済されても残りの20%は銀行がリスクを負う。つまり代位弁済後も銀行から請求がくる。
     全額保証の場合は、銀行は保証協会または保証会社に全額代位弁済(肩代わり)してもらうので、全額回収で終わる。リスクは実質的にゼロである。これであなたとその銀行との縁は切れ、以後の新らしい債権者は保証協会または保証会社となる。
     保証協会または保証会社は「保険会社」ではないので、肩代わりしてハイ終わりというわけにはいかない。あなたの保証人代わりとして機能したわけだから、「うちが保証した分を返せ」と請求する権利がある。これを民法上の「求償権」という。求償権に基づき、保証した分を請求してくるのだ。一括で。遅延損害金を14%ほどつけて。
     この後は、信用保証協会か民間の保証会社かによって大きく傾向が違ってくる。信用保証協会なら元金免除の話し合いにはまず応じてもらえないが、長期の分割払いならかなり柔軟に相談に乗ってくれるのが普通である。 しかし民間の保証会社の場合は、銀行直系の保証会社ならその後担保があれば競売か任売→債権譲渡という流れが多く、銀行と業務提携しているノンバンクが保証業務を担っている場合はそのノンバンクからカードローンやリースと同じような請求(頻繁な電話→法的手続き)となることが多い。

  • 競売、任意売却
    − 不動産を担保に入れている場合、多少延滞が続いても銀行は比較的ノンビリしていることが多いが、それもケースバイケースである。
     まず、あなたの担保不動産の「実勢価格」を査定してもらうといい。(注: 固定資産税の評価額ではなく、時価。実際に売ったらいくらになるかを不動産屋に査定してもらうこと。)
     そして、担保不動産の時価と、担保つきで借りている当該の借入金の残債とを比べて、どちらが大きいか比較してみるといい。これが後々の判断に大きく影響する。
     一般的な傾向としては、「残債よりも担保価値のほうが大きい」場合、銀行としては、競売にかければ全額回収できるわけなので、かなり強気に迫ってくる。競売に至るまでのスピードも比較的早い。(早い場合で延滞後3〜6ヶ月くらい) 競売を避けたければ任意売却にも応じてくれるだろうが、その場合も、のらりくらりと任売のフリをしているだけでは許されない。
     逆に、担保価値よりも残債のほうが多くて、これといった資力のある保証人もいないような場合は、銀行としては、強引に競売にかけても残債が大きく残ることは確実で、その残債も回収できない可能性が高いので、銀行としてはあまり好ましくない展開となる。こういう場合、銀行はしきりに正常返済(リスケを含む、期限の利益喪失にならない程度の返済)を求めてくることが多い。 また、正常返済がやっぱりダメで期限の利益喪失した後も、すぐに競売しようとはせず、任意売却で少しでも高い金額で売るのを気長に待ってくれる傾向が強い。(但しあくまで「傾向」にすぎないので過信は禁物)

     * 競売・任意売却については、別項「不動産を守るために」をお読み下さい。

  • 債権譲渡
    − 無担保で保証会社や保証協会もついていないの場合は、「期限の利益喪失」の後、しばらく形式ばった請求が来続けて、その数ヵ月後に、法務大臣認可の民間の債権回収会社(通称「サービサー」)に債権譲渡されることが多い。
     債権譲渡とサービサーについては、このページのずっと下のほうに書いたのでそちら参照。


  • 法的手続き
    − 銀行が「法的手続きします」 と言うのは、具体的には、裁判所での競売申し立てか、貸金請求訴訟か、大抵の場合どちらかである。担保でない財産(預金や売掛金など)の差押手続きはあまりない。
     というか、担保つきの場合は競売申立に至ることは当然多いが、無担保の場合や競売後の残債請求の場合は、最近の銀行は、わざわざ法的手続きなどせず、さっさと代位弁済か債権譲渡をして終わらせることのほうが多い。
     尚、政府系金融機関の場合はちょっと異なる。公庫の無担保ローンなどは、延滞3ヶ月程度で訴訟を起こしてくることも少なくない。

  • 預金ロック
    −これは注意が必要である。裁判所で申立てる「差押」とは意味が全く違う。「差押」の場合は裁判の確定判決か公正証書か調停調書がないと申立てることすらできないが(←これは当たり前の知識だが意外と知られていない)、預金を「拘束(ロック)」するのは裁判所の差押と違うから、ハッキリ言って銀行のやりたい放題なのである。
     もちろん、A銀行が他行であるB銀行の預金までロックすることはできない。そこまではないと安心していいのだが、A銀行で借入があって、その借入が延滞しているような場合、同じA銀行に預けてある普通預金や定期預金などは、引き出せなくなる可能性がある。(基本契約書に「延滞があった場合は預金と相殺する」という文言があったりすることも多いので要確認のこと)
     これ以上は書かないが、賢明な方なら、延滞せざるをえなくなりつつある時にどうすべきか、もうおわかりだろう。
・・・ とまあ、傾向としてはざっとこんな感じです。

 尚、この項は「応急処置」に焦点を絞って書いていますので、もっと根本的な「経営再建策」を考えるには別の項をお読み下さい。



2. 手形不渡りを防ぐ方法

 手形期日当日までにカネが用意できなくても、不渡りを防ぐ方法は沢山あります。
 そのうち時間を見つけてきっちり書き直したいと思いますが、過去にあちこちで書いた記録が残っていますので、まずはそちらを読んでみて下さい。  


3. 商工ローンとの戦い方

 「商工ローンは怖い。」
 これはまあ、事実には違いありませんが、やみくもに恐れる必要は全くありません。

 私(吉田)が商工ローンに苦しんだ10年ぐらい前と現在とでは、法律も業界動向も戦い方も、何もかもが違ってきています。一言でいえば、非常に戦いやすくなりました。

 商工ローンというといかにも厄介な相手そうですが、では商工ローンの一体どこが厄介なのか、次のように整理して考えてみれば、おのずと対策が見えてきます。 複雑な問題は単純化することから始めましょう。
  
商工ローンの何が厄介なのか? どうすればそれを解決できるのか?
1. 毎月の利息が高いから厄介なのだ! → 利息を安くすればいい。(弁護士介入、調停、借り換えなど)
2. 連帯保証人を取られているから厄介なのだ! → 連帯保証人を守ればいい。あるいは連帯保証人にも一緒に戦ってもらえばいい。または連帯保証人には何があっても動じない(動かない)でもらえばいい。 (弁護士介入、調停、訴訟、借り換えなど)
3. 取立てがキツそうだから厄介なのだ! → 心配無用。貸金業法21条や金融庁事務ガイドラインで取立て行為の規制が明文化されており、「怒鳴る」「大勢で押しかける」「プライバシーをあからさまにする」「早朝深夜の取立て」「第三者への請求」などは固く禁じられている。
4. 手形を担保代わりに取られているから厄介なのだ! → 商工ローンの場合、ヤミ金と違って、その約束手形には期日が明記されているはず。期日到来までは回されないから、それまでにやれることは沢山ある。冷静に冷静に。
 また、イザ期日が近付いても、手形を回させない方法もある。(弁護士介入、特定調停前の事前措置、訴訟の仮処分など)
5. 自宅に根抵当権仮登記が設定されているから厄介なのだ! → それは何番抵当か? 抵当権は按分ではなく、1番から順に優先して取り分があるので、もし商工ローンの根抵当が2番や3番以下だったら、取り分がないかもしれない。取り分がなければ、強引に競売してくる可能性も少ない。まずは「己を知る」こと。自宅の実勢価格はいくらか?1番抵当の残債務を知ること。
6. サラリーマンの連帯保証人がいて、しかも公正証書を取られているから厄介なのだ! → これはさすがに大変。公正証書は強制執行承諾文つきのことがほとんどなので(要熟読)、放置しておくと保証人の給料が差し押さえられて職場に居づらくなってしまう。商工ローンと戦う上での最大のウィークポイントといっていい。
 但し、そのサラリーマンの連帯保証人さんがフリーターや派遣社員、あるいは転職後の状態なら、実質的に給与差押で実害を被る可能性は低い。転職先は自分から言わない限りは意外と知られにくいことが多い。
 また、給料を差し押さえられても、押さえられるのは全額ではなく手取りの1/4程度だし、会社もそれを理由にクビにすることはできない(労働基準法)。 よって、これに開き直れる図太い人なら、短期決戦の戦略の一環のつもりでさほど気にしなくてもいい。
7. 毎日の督促の電話がわずらわしい。精神的にも限界 → ご本人への取立てを暫定的に完全に来なくさせる方法は、実は何通りもある。(弁護士介入、特定調停、訴訟など)  これらを申立てれば、ウソのように電話一本来なくなる。


 まあ、長くなりましたが、商工ローン対策で一番無難な良い方法は、「弁護士を立てること」 です。

 弁護士は全国に2万人以上います。刑事事件に長けた弁護士もいれば、民事の借金問題に長けた弁護士もいますが、残念なことに、弁護士は「自分は〇〇専門です!」と謳うことができません。 「先生の得意分野は何ですか?」と訊いても、偏った専門分野をあげることができないのです。弁護士は民事も刑事もできなければいけないのです。 そのへんは理解してあげる必要があります。 

 しかし現実問題として、商工ローンと戦ううえでのノウハウはやや独特なものがありますので、どの弁護士にお願いしても同じ結果が得られるとは限りません。ハッキリ言って、かなり当たり外れがあります。

 そんな中で、私の独断と偏見でキッパリ言わせてもらえば、最も信頼できるのが、
「日栄・商工ファンド対策全国弁護団」 に関わっている弁護士です。 
同弁護団は、ホームページも開設しています。そこに連絡先も明記されています。 
ここではリンクは貼りませんが、必要な方はYahooやGoogleなどでネット検索してみて下さい。すぐ見つかると思います。


 それから、何らか事情で弁護士を立てられない方は、以下の中から別の方法を考えてみて下さい。↓ 
  • 年利25〜29.2%で(昔は40.004%の時代もあった)、かれこれ3〜5年以上は借りたり返したりを繰り返している。 
     → 利息制限法引き直しで元金がかなり減る可能性があるので、それを実現すべく、法律的に争う。または法律的に交渉する。(簡易裁判所の特定調停が最も安上がりで難しい知識も要らずおすすめ)

  • 年利29.2%前後かそれ以上で、かれこれ10年前後かそれ以上は借り続けている。
     → 利息制限法に引き直せば、残債務は「ゼロ」どころか、「過払い」が発生している可能性があるので、本当は無理してでも弁護士を探すのが良い。が、どうしても弁護士を立てられないなら、自分で本を買って勉強して、本人訴訟で、「不当利得(過払い金)返還請求訴訟」 を裁判所に申立てる。

  • 取引年数が2−3年以内と短い
    → 元金を減らすことはあまりできないが、これから発生する将来利息の減免を狙って、特定調停するのがオススメ。

  • 取引年数が1−2年と非常に短く、利率も15%前後と割と低め
    → 同上。

  • 利率は少しでも減ればいい。とにかく穏便に済ませたい
    → 直接話し合っても、年利15%位までなら下げることが可能。

  • 手形貸付の商工ローンから借りていて、不渡りを何としても避けたい
    → 次の手形期日より遅くとも1週間以上前に、特定調停か訴訟を申立てる。取引年数が4−5年以内なら特定調停がおすすめ。「調停前の事前措置」という手続きで、手形が回ってくるのを防ぐことができる。(但し強引に回されても罰則がないので、もし回されたら当日午後3時ギリギリまで自分自身の言葉で粘り強く取り下げの交渉をすること!) また取引年数が5−6年以上で債務ゼロ&過払いが発生していそうなら、調停よりも訴訟を申立てて、訴訟中に手形が回されないように仮処分の申請をしておくのがおすすめ。

 こういうふうに、商工ローンだけでも実に数多くの対処方法があるのです。


4. ヤミ金との戦い方

  別項 「ヤミ金と戦うためのヒント」をご参照下さい。


5. 個人名義でキャッシングしたサラ金、クレジットカード

  別項 「多重債務解決のためのヒント」 を参照下さい。



6. リース料の支払が滞っている

 リース会社の債権回収は、銀行やカード会社のそれと比べて、ややスピードが早く、割り切りも早く、システマチックなのが特徴といえば特徴です。

 大幅に遅れたときの傾向は、どちらかといえばクレジットカード会社のやり方に似ています。が、大幅に遅れる前、リースの物品が引き上げられる前の段階では、リース会社特有の傾向と対策があります。

 それを説明する前に、まず、「あなたがそのリース物件をどうしたいのか?」 、方針を決めてもらう必要があります。 それによっても、大きく対策が変わってきます。こんなふうに。 

  • 「仕事で欠かさず使っている大事な機械、車両、備品だから、何としても失いたくない!」 という場合。
    → 無難にリース料を払い続けましょう。多少の延滞程度なら引き上げられません。せいぜい延滞期間を1ヶ月以内にとどめて、遅れながらでも払っていきましょう。

  • 「仕事で欠かさず使っているけど、失っても代替品で済ますことができるから、最悪の場合はリース会社に引き上げられても構わない!」 という場合。
    → 他の債務との兼ね合いを見て、総合的に考えましょう。 たとえば、銀行や公庫は大幅に延滞しているのにリースだけ正常に支払うのは、ちょっとちぐはぐではありませんか。

  • 「リースで購入したのにほとんど使っていない物だから、どうぞ、存分に持って行ってほしい!」 という場合。
    → 同上。 ・・・ですが、より積極的に整理すべきでしょう。


 リース会社は、銀行のような「話し合いによるリスケジュール」にはなかなか応じてくれない傾向があります。「待って下さい」と言ってもなかなか待ってくれません。事務的に、機械的に応対されがちです。(但し2010年3月頃から「お上」の通達により、幾らか柔軟になってきている)
 しかし、それを逆手にとれば、いろいろと対策を講じることもできます。

 参考までに、「リースの支払を遅れるとどうなるか?」 、比較的よくありがちなパターンを紹介します。
 
  • 1日延滞 − 銀行引き落とし不能。翌日あたりに「ご入金がありませんでしたが、どうしましたか?」と電話がかかってくる。数週間後の再引き落とし、あるいは振込みをで支払えば無問題。

  • 2−3週間延滞 − だんだん電話とお手紙(催告書)が増えてくる。

  • 1ヶ月以上延滞 − 2ヶ月連続で引き落とし不能。電話とお手紙(督促状)がだんだん厳しくなってくる。「法的手続き」や「リース物件引き上げ」の話もバンバン出てくる。

  • 2ヶ月前後 − 早いところではリース物件引き上げに入ってくる。そして残債の請求をされる。もちろん一括請求の内容証明で。(遅いところでは延滞後3〜6ヶ月でこのアクションに入る)

  • 3ヶ月前後 − 早いところでは裁判所で訴訟を申立ててくる。(遅いところでは4〜12ヵ月後)

 ざっとこんな感じです。

 それぞれの段階で、対処のしようがあります。

 たとえば、物件を引き上げられる前で、あなたに「払う意思」があるなら、とにかく多少遅れながらでも、延滞分がこれ以上増えないように払えばいいのです。(こういうのを私は「のらりくらり作戦」などと呼んでいます)

 また、物件を引き上げられて、一括請求されて、訴訟一歩手前の状態ならば、いっそのこと潔く訴訟されて、裁判所から来た訴状を一字一句読んで、それに合わせて答弁書を書いて返信し、その答弁書では潔く「事実を認め」たうえで、「だけど経営不振で資金が全くないので、毎月〇〇円ずつの分割払い、将来利息なしで和解を求めます」 と書き、指定された期日に裁判所の法廷に行って、その旨を話し合えばいいのです。 この手の裁判では、事実に争いの余地がなく和解交渉に至った場合、法廷の別室で和解の話し合いの席が設けられることが非常に多いのです。

 あるいは、和解で払う金さえも全く無いような場合は、裁判所にも出廷しないで、何もせず、潔く「負けを認める」という選択肢もあります。 この場合、判決後に差押の一度や二度はたぶんあるでしょうが、差し押さえされても取られる物がないほどビンボーな状態なら、べつにジタバタしなくても、実質的には何も取られません(生活必需品は差し押さえられません)。こういう方法を私は「負けるが勝ち」作戦などと呼んだり呼ばなかったりしていますが、失う物のあまりない人なら、自己責任においてこの方法を選択するのもアリかもしれません。
 (但し、第三者のサラリーマンの連帯保証人などをつけている場合は、その保証人さんが給与差押されてしまうので、この方法は慎みましょう。 また、この方法を取る場合、返せないあなたのほうが悪いのですから、リース会社から差押など法的に認められたしかるべきペナルティを受けても、被害者意識丸出しで逆恨みするのはやめましょう。)


7. 債権譲渡された!

 ピンチはチャンスです。大ピンチは大チャンスです。
 (小ピンチは小チャンスです・・・)

 仮に、金融機関への返済が遅れて数ヶ月以上が経過したある日、 「内容証明郵便」が来て、そこに「債権譲渡通知」と書かれていたとします。そこには「弊社、〇〇債権回収株式会社が〇〇銀行から債権を譲り受けました。」「直ちに全額お支払下さい。」「直ちに支払わないと年14%の遅延損害金が加算され、訴訟、差押に至る事もあります。」なとど書かれています。
 この手の知識のない普通の人が、こんな郵便を受け取ったら、きっと腰をぬかしてパニックに陥ることでしょう。

 でも、債権譲渡は大チャンスなのです。 物事は額面どおりに受け止めないことです。

 特に、「返済能力がない!」「金額が大き過ぎる!」「もう処分できるものは何もない!」と逆境が重なれば重なるほど、大大大チャンスと言い切ってもいいでしょう。
 
 理由は、「不良債権処理」 です。

 金融機関は、それが優良な債権ならわざわざ債権譲渡なんてしません。自力ではもはや回収不能な「不良な債権」だから、「処理」の一手段として、債権譲渡したのです。 文字通り、「不良」な「債権」の「処理」です。

 また一方、不良債権を買った側も、回収不能な不良債権を定価で買い取るようなバカはいません。(不良品を定価で買うバカがいないのと同じ理屈です。) 必ず値踏みして、「このくらいなら回収できそうだから、簿価の〇%以下なら買い取ってもいいか・・・」 と損得勘定を考えます。 たいていの場合、それは二束三文です。

 二束三文で債権が譲渡された。その譲渡先があなたにとっての新しい債権者である。・・・ もうおわかりですね? そうです。大幅な値引き交渉ができるのです。 自己破産も民事再生もせずに。 バナナの叩き売りで「もっとおまけしてよ〜」と言うのと同じように。

 具体的な交渉術はここでは省略しますが、とにかく、債権譲渡通知の内容証明が来ても、全く慌てることはありません。今日明日で結論をつけるべき問題ではありません。催促の電話がかかってきても、「すぐには結論が出せません。少し考えさせてください」 とキッパリ言って下さい。 そこで「それじゃ困ります。すぐに結論を出して下さい!」 とたたみかけられたら、「じゃあ何月何日までに正式な回答を出さなければならないのですか?」と聞き返して下さい。 ふつうは、この手の交渉は、2−3ヶ月以上かけてじっくり行なわれます。 腰をすえて取り掛かりましょう。

* ここも是非お読み下さい。→ 「不良債権とサービサー・超入門」 (2005年4月メルマガ記事より) 


8. 「夜逃げ」で逃げ切る方法

 実は、「完璧な夜逃げ」を試みようとすれば、できます。

 やり方はそんなに難しくありません。
住民票から足がつくことが多いので、まず住民票を移さないこと。
郵便の転送からも足がつきやすいので、転送も夜逃げ先にはしないこと。
念のために2回ぐらい引っ越すこと。
慣れた運送会社を使うこと。
(気の利いた運送会社だと、屈強なスタッフを動員して、ユニホームを着させないで私服姿で、トラックもわざわざレンタカーを使って、あたかも屈強な友人たちが引越しを手伝ってくれているかのように装って、そのうえトラックも作業中はナンバープレートを布やガムテープで隠し、どこか中継地点を決めて2台のトラックででリレーして、夜中だと目立つのであえて白昼堂々とやって、極めてスマートに作業してくれるところがあったりします。まあ、これは「トリビア」にも書くのがはばかられるような裏知識ですが・・・)

 しかし、そこまでやって何になるのでしょうか?

 夜逃げは、メリットよりもデメリットのほうがはるかに多いものです。

 住民票が移せないからお子さんの学校や健康保険の諸手続きが面倒になる。郵便物の受け取りが大変面倒くさい。夜逃げ専門の運送会社を使うと大変コストもかかる。しかも、そこまでやっても、確実に逃げ切れるという保証はないから精神的にいつも不安を抱える。いつまでそんな生活が続くかわからないから、ずっと陽の当たる世界で堂々と仕事できない。堂々と仕事できないから、いつまでたっても収入は低い、と・・・。 

 借金の消滅時効は「5年」です。 5年間逃げ切れば、借金から逃れられると思われています。 しかし、それも間違っています。 私がもし債権者の立場で、あなたに貸したカネを本気で意地でも回収しようと思ったら、あなたが逃げている5年の間に、まず裁判を起こします。 簡単です。簡易裁判所の支払督促という手続きなら自分で安い費用で申立てできます。支払督促を申立ててあなたから2週間以内に異議申し立てがなければ、その支払督促の請求内容は、裁判の確定判決と同様の強制力で決まります。これだけで、時効を10年に延ばせます。差押も自由自在です。

 時効で逃げ切ろうとするのがいかに無意味か、おわかり頂けたでしょうか?

 夜逃げするぐらいなら、教科書どおりに弁護士を立てて自己破産したほうがはるかにマシです。 自己破産すれば、非常に早く、逃げも隠れもしないでゼロから再出発ができるのです。 夜逃げだと半永久的に「ゼロ」にはなりません。いつまでも「マイナス」を引きずったままです。

 もし、これを読んでいる読者の皆さんの中に「現在夜逃げ中」の方がいらっしゃったら(実際、時々います)、今からでも遅くありません。軌道修正して下さい。 

(* またまた裏話めいてしまいますが、夜逃げから戻った後の債権者交渉は、これはこれで超減額のノウハウがあります。詳しくは書きませんが、債権者側に立ったつもりで、「不良」「債権」「処理」の仕組みについて今一度よく勉強すれば、賢明な方なら答えが見えてくるでしょう。)


<最後に>

  • かなりきわどい事まで書きましたが、こんなのまだまだ序の口です。
    ここに書けないこと (=知識だけでは収まりきらないノウハウや、文章化すると誤解を招き易いので書けないこと等・・・) も、現実には沢山あるものです。

  • 他所の情報系サイトなどでは、私がこれまで書いたこれらの情報(しかも更新前の古い情報)を、切り売りして、1情報ウン万円で無断で販売している悪徳業者がかなりいます。しかもタチが悪いことに、彼らはその情報を転売につぐ転売をして、末端の転売先ではその情報のソースが私のこのサイトから来ていることすらわからず無自覚で悪徳商法をしているケースさえあります。(私は発見したその都度、警告書を送って、相手の素性を調べつくして、しかるべき処置をしています。) 
     そんな事情もあって、あえてギリギリのきわどい裏ワザめいたことまで、無料でオープンに公開することにした次第です。 人の書いたものを勝手に切り売りしている悪徳有料情報サイトを蹴散らすために!!

  • この世界は日進月歩です。くれぐれも書かれている情報だけを鵜呑みにしないで下さい。「情報収集」だけで問題解決できるほど甘くはありません。情報収集はステップ2か3の前半部分に過ぎません。ここを読んで「そうだったのか!」「よーし、やってやるぞ!」という気になった方は、次のステップとして、専門家に相談してみて下さい。100人いれば100通りかそれ以上の解決方法に細分化されますので、マニュアル的な型にはまった発想は禁物です。

  • あなたが緊急事態だと思っていることの多くは、客観的にみたら、緊急事態ではありません。
    深呼吸して、よく食事と睡眠をとって、冷静にがんばって下さい。


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