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株式会社NEKO-KENは「中小企業・零細企業の倒産を防ぐ為のコンサルタント会社」です。

TEL. (03)5342-9488

〒164-0011 東京都中野区中央5-39-13

中小企業再生のヒント集
【 例題集 】どんな末期症状でも、解決方法は3つ以上ある!
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【例題1】
借金が100億円あります。収入は25万円です。死ぬしかないでしょうか?

借入先は、私がまだ大きな会社を経営していたときに借りていたA銀行40億円、
B銀行30億円、C銀行20億円、公庫3億円、リース3億円、ほか遅延損害金も入れると、請求されている金額の合計は120億円以上にのぼります・・・。



【ヒント】 法的に合理的に解決することを望むか? それとも不合理でまわりくどくてもいいから納得いく方法を気の済むまで探りたいか? 選ぶのはあなた次第。

【回答例】  べつに死ななくても、最低3通り以上の解決方法がありますよ。以下。

 @ はやっぱり「自己破産」ですね。最も正しい選択かと思います。自己破産すれば、100億以上の借金がほぼゼロになるでしょう。弁護士費用も分割など相談に乗ってくれると思います。現在のお仕事にも影響をきたしません。デメリットはごく僅か、メリットは計り知れないほど大きいでしょう。
 でも、自己破産ばかりが全てではありません。確実性や合理性を求めないなら、次に述べるABの方法もあります。

 A は「しばらく何もしないこと」です。放置です。Do Nothing(何もしないことを、する)という能動的な意味合いでの放置です。
 狙いは、「不良債権」として金融機関が「処理」してくれるのを気長に待つことです。とことん不良になるのです。不良になればなるほど、処理の金額は二束三文になっていきます。業界用語で「ポンカス債権」(全く回収せきそうにない、カスのような債権)になっていきいます。
 相手が民間金融機関なら、おそらく1年以内にどこかへ債権譲渡するでしょう。そうなったら放置をやめて、一気に勝負です。(債権譲渡がひとつのスタートラインです!) 債権譲渡を受けた相手(例:〇〇債権回収株式会社)があなたの新たな債権者ですので、そこと話し合って減額交渉するのです。
 たとえばA銀行の40億円なら、30万円くらいを一括で払いますから残債の39億9900万円以上を免除してくださいと交渉するのです。徹底的な値引き交渉です。
 勘違いしないでほしいのは、これは「法律的な争い」ではありません。法律的にはあなたは全く勝ち目はありません。この方法でいくなら、法律的に争ってはいけません。「争い」ではなく、「交渉」であると心得ましょう。
 ちょうど、オバチャンが商店街でネギやダイコンを値切るのと同じような感覚で、「お金がないからまけてください!」でいいのです。
 そして、交渉がうまくいかなかったら再度放置です。気長に構えるのです。
 尚、Cのような政府系金融機関は不良債権といえどもなかなか債権譲渡も免除もしてくれません。そのかわり、超長期の分割払いには応じてくれる傾向があります。
 事実、これらの方法を駆使して、3年くらいかけて100億以上の借金を総額300万円ほどの和解金でゼロにしてしまった人を知っています。また類似のケースで10億円以上の借金を少額で片付けた人なら何人も知っています。
 もちろんこの方法は不確定要素が多く、時間もかかり、自分の言葉で直接交渉しなければならないというデメリットがあるので、過度な期待は禁物です。それ相応の精神的苦痛が伴います。
 でも、自己破産しないで済むことは確かですし、勉強にもなります。

B 3つめの選択肢は、「一生かけて返す」 です。
 個人的にはあまりおすすめできませんが、それで気が済むなら、気の済むまでずっと返済を続けて下さい。あなたの自由です。
 おそらく、月収25万円程度では、一生かけても5000万円も返済できないでしょう。100億円の0.5%も返済できないことになります。焼け石に水もいいところです。でも、それで気が済むなら、どうぞやって下さい。 
(債権者側の多くは、きっと嫌がるでしょう。中途半端な返済をされるとかえって仕事が増えてしまいますから、債権者側としては自己破産でもしてもらったほうがスッキリするでしょうね・・・)

このように、一生かけても絶対返しきれないような借金を抱えた人でも、最低3通り以上は解決方法があるのです。



【例題2】
借金のフルコースを抱えています。

仕事は住宅リフォーム業(有限会社)です。年商4000万円。業績やや下降傾向。粗利で4割以上取れて、減収傾向とはいえ仕事はまだまだ取れるので、何とか会社を続けたいのですが、借金が重くて、金策で仕事になりません。銀行への返済を守る為に、個人名義で消費者金融にも手を出してしまいました。どうすればいいでしょうか?
 
借入先は次のとおりです。もう自力でマトモに返せる状態ではありません。死にたいほど苦しいです。自己資金で毎月返済可能な金額は30万円程度です。

 ●A銀行       無担保 保証人つき    残2500万円 月返済23万円
 ●国民生活金融公庫  無担保 保証人つき    残800万円 月返済14万円
 ●消費者金融7社 10年ほど前から 利息28%前後 計500万円 月返済20万円
 ●合計                       3800万円 月返済57万円



【ヒント】

 カギを握っているのは「利息28%」です。これはグレーゾーン金利です。 また、「金策で仕事になりません」という部分も大ヒントです。 全部じゃなく、一部分だけを法律家の先生の力を借りて、残りは法律に頼らず、経営改善的なやり方で直していくのです。

 【回答例】

 まず、消費者金融7社。これは弁護士か認定司法書士に代理人になってもらって「任意整理」をしてもらうことをおすすめします。弁護士や認定司法書士の任意整理は、グレーゾーン金利を利息制限法に引き直して計算してくれ、引き直した金額に減額交渉してくれます。

 早い話、利率が高ければ高いほど、年数が長ければ長いほど、引き直しの効果は大きくなり、借金がゼロに近付いていきます。28%で10年も借りていれば、債務ゼロどころか「過払い金」が戻ってくる可能性も高いはずです。よって、ここでは特定調停など自力でやる手続きよりも、法律家の代理人を立てて手際よくやってもらうほうが損得勘定の上でもトクです。(時間も奪われないので、返済を停止させながら、うるさい取り立ても来ないで、本業に専念できます。)
 これで消費者金融500万円は限りなくゼロに近くなるでしょう。

 残りはA銀行と国金ですね。両社あわせて毎月の返済は37万円になっていますね。自力で返せる金額30万円よりも7万円ほど予算オーバーですね。

 大丈夫です。これらは「リスケジュール」の交渉を自分でやってみましょう。交渉の目安は、「半年間か1年間のみ元金返済猶予。利息のみの支払い」になるといいですね。
 これが実現できれば、さしあたって半年か1年間は、毎月のトータルの返済額が、10万円以下になる可能性もあります。

 交渉が難航してそこまで実現できなかったとしても大丈夫です。月30万円まで返せるのなら、あと一歩ではありませんか。銀行と公庫にその旨を正直に話して相談すれば、必ず予算内に収まるようになるはずです。(借り換えという形で処理してくれる場合もあります)

 ここまでいけば、もう自転車操業で忙しくする必要はありません。今まで資金繰りに割いていた時間を、全て本業に専念することができます。そうです。それを機に、本業のテコ入れを本気でやるのです。営業のテコ入れ。社内組織のテコ入れ。財務体質のテコ入れ。
 相談文の中にも「金策で仕事になりません。」とありましたよね?逆にいえば、金策さえなければ仕事になるはず。

 こうやって悪循環体質から脱出し、本業で地道に「いい仕事」を続けていれば、1年後、リスケジュールが終わった頃には、正常返済が再開できるようになっていると思います。

 また、この先業績が回復していけば、また銀行や公庫から追加融資を受けることもじゅうぶん可能です。

 この手の相談は非常に多いです。皆さん「約定どおりの返済か?それとも自己破産か?」と両極端な二者択一しか考えられずパニックに陥って相談に来られます。ですが、上記のとおり、ぜんぜん自己破産なんか必要ありません。重症でも何でもありません。むしろ軽いほうです。
 がんばってください。




【例題3】
業績は年商1億円で横ばい。利益率も横ばい、営業利益率8%とそこそこ黒字体質でもあるのですが、売掛金回収が一部焦げ付いてしまい、銀行への返済が困難になってきました。契約では月100万円ずつの返済をしなければならず、今までは滞りなくできていましたが、現在返済可能な金額は月30万円がやっとです。あと1年ほどはこういう状態が続きそうです。(新しい取引先の需要が伸びているので1年後は何とか回復できる見通しです) 銀行に約束どおり返済できなければ、もう倒産しかないでしょうか?



 【ヒント】

 「横ばい」で「黒字」で、「1年後の見通し」も見えているのですね。これが大きなヒントです。倒産の必要はありません。

 【回答例】

 まずなによりも先に、銀行に相談に行くこと。銀行を敵だと思ってはいけません。「窮鳥懐に入れば猟師も殺さず」ですよ。特にあなたのような黒字会社の場合は。

 おそらく銀行の答えは、「1年間リスケジュールに応じる」か「追加融資・借り換えなど」のどちらかでしょう。どちらを選んでも構わないと思います。

 ただ、追加融資や借り換えの場合、第三者の連帯保証人や追加担保などを求められたら、きっちり断わったほうが良いと思います。その場合はリスケを選んだほうがいいでしょうね。

 尚、昨今の不景気の世の中では、売掛金が回収不能になることが増えるいっぽうですので、リスク管理、与信管理にはくれぐれも細心の注意を払ってください。回収してはじめて商売が成り立つのです。売り先が大企業でも安心してはいけません。信用調査会社の信用情報はもちろんのこと、現場の空気も察知できるようにしましょう。そんな与信管理の面でも、銀行はいろいろ相談に乗ってくれます。敵だと思わずに、大いに利用させてもらいましょう。
 




【例題4】
リスケジュールを銀行にお願いしました。
しかし断わられてしまいました。
何かコツがあるのでしょうか?



 【ヒント】

  相手はサラリーマンです。組織です。

 【回答例】

  口頭でお願いするだけで不十分なら、「お手紙」も出すことです。なぜなら、窓口の銀行マンはサラリーマン。独断では決定できません。必ず上司や支店長や本店に「稟議書(りんぎしょ)」を回して、あなたの置かれている状況やリスケの依頼があったことなどを書いて、許可を求めないといけないからです。

 銀行側としては、一度契約した借金返済の約束ですから、理由もよくわからないうちに客から「リスケジュールしてください!」と求められても、「ハイそうですか、わかりました」と安易に応じるわけにはいきません。リスケが必要な客観的理由を訊く必要があります。そこで役に立つのが、あなた自身の言葉で書いた「お手紙」というわけです。

  難しい言葉を並べ立てなくても構いません。書式も特に決まりはありません。あなたの言葉で書いて下さい。
 ただ、書くには3つの要点があります。

 @現状説明−不景気で売上が予想以上に落ちた、などなど、現在置かれている状況を明確で。

 A今後の改善計画−経費を削減して売上が減っても利益を出せる体質作りにします、などなど、自分なりに考えた生き残り戦略を。

 Bリスケの具体的なお願い内容 − 月30万ずつの返済を10万円にしたいとか、1年間だけでいいから元金返済猶予、利息のみの支払いにさせてほしいとか。

 尚、お手紙の件名には、「リスケジュールのお願い」とは書かないほうがいいと思います。なぜなら、あなたがリスケジュールが最良の策だと思い込んでいても、実はセーフティーネットや緊急融資や借り換えなど、あなたにもっと向いている方法を銀行のほうから提案してくれる可能性がまだ残っているからです。

 うかつに「リスケジュール」という言葉を使うと、銀行側としても債務者区分をワンランク下げざるを得なくなる場合が出てきます。あなたがもしそこまでいかない軽症なら、最初からリスケと決め込まず、もっと謙虚に、「返済条件緩和のお願い」とか「今後の返済方法についてのご相談」などといった件名にして、銀行さんにベストな解決方法を相談するくらいの姿勢で臨んだほうが良い結果が得られると思います。



【例題5】
県の信用保証協会つきで、A銀行から2000万円借りています。業績悪化と、他の借金(商工ローン、リース、個人名義のカードなど)の負担も重いため、この2000万円の返済が3ヶ月分ほど遅れています。
先日、A銀行から「これ以上遅れたら、保証協会に代位弁済してもらう手続きを取ります!」と言われました。代位弁済になると、保証協会の請求は一括請求で、遅延損害金も14%ほどつくと言われたので、とっても不安です。やっぱり自己破産したほうがいいでしょうか?



 【ヒント】

 保証協会対策にばかり気をとられていてはいけません。もっと全体を見渡しましょう。

 【回答例】

 保証協会つきの銀行借入の返済を数ヶ月間滞ると、代位弁済になります。

 保証協会とは、我々が事業資金を借りる時の「保証人代わり」になってくれる公的機関です。あなたが銀行へ返済できなくなったときに、あなたに代わって保証協会が保証人として代わりに銀行へ返済してくれる。これが代位弁済です。

 代位弁済されると、銀行は保証協会から返してもらえますのでリスクはありません。

 いっぽう、保証協会は保証人代わりとしてあなたの代わりに銀行に返したあげた分を「返せ」と言ってきます。これを「求償権」に基づく請求といいます。保証協会は保険会社ではありませんので、立て替えた分をそのまま負担してはくれないのです。必ず請求が来ます。

 保証協会の請求は、基本的には無利息です。その代わり、遅延損害金というのが年14.6%以内の範囲で加算されます。請求内容証明か配達記録できます。一括請求です。

 一括請求で、14.6%の損害金が加算され、内容証明郵便で来ますので、無知な人がこれを見たらきっと腰を抜かすでしょうね。

 でも、慌てないで下さい。信用保証協会は政府系の特殊法人ですので、ヤクザみたいな恫喝はしてきません。また、文面は仰々しく書かれていますが、実際に交渉してみると、長期分割払いなどにも柔軟に応じてくれるのが普通です。

 また、14.6%の損害金も、その場では免除交渉などできませんが、少しずつでも返していけば、それは元金として充当されていきますので、最後に元金が相当減ってきた頃になってから改めて損害金の免除交渉をすれば、それはそれで柔軟に聞いてくれることが多いものです。くれぐれも額面どおりにとらえずぎて早まらないで下さい。

 ちなみに、私が今まで聞いた中で、代位弁済後の分割払いで一番金額の少なかった人は、残債8000万円に対して毎月3000円ずつ(暫定的に1年おきに条件見直し)で払っている人がいます。


 尚、本当のことをいえば、代位弁済されないほうが良いに決まっています。御相談の内容をよく読んでみると、銀行への返済を後回しにして、リースや商工ローンやカードの返済を優先しているように見受けられます。これはあまり得策とはいえません。

 本当は、保証協会や銀行への返済を滞りなくこなして、より高利な商工ローンやカードやリースのほうをドラスティックに整理すべきです。

 今からでも軌道修正できますので、できることなら、代位弁済にならないよう最大限努力して、そのかわり、高利の借入をなるべく早く整理してみて下さい。




【例題6】 (この例題は長文です。じっくり腰を据えて読んで下さい。)

下の財務諸表を見て下さい。
この会社は一見すると「黒字」で、利益率も業界としては高く、借入金もさほど多くなく、「債務超過」でもありません。銀行の評価も高いようで、融資を断わられたことは一度もありません。でもなぜか、いつも資金繰りで苦んでいます。

ある日、社長さんが専門家に相談したところ、「あなたの会社はいつ潰れてもおかしくない!」 と言われました。なぜでしょうか?
社長さんもうっすらとは自覚しているようですが、悲しいかな、決算書が読めないので原因がわかりません。原因がわからないので打開策もわかりません。

同社の直近のB/S, P/Lは次の通りです。


<B/S> (よーく読んでください)
現預金100万
受取手形400万
売掛金1500万
棚卸資産2200万
その他800万
(★流動資産計5000万

------------

設備備品1000万
土地建物2000万
(★固定資産計3000万



------------
(★資産計8000万
支払手形1200万
買掛金800万
未払金700万
短期借入金2500万
(★流動負債計5200万)

---------
長期借入金 1700万
(★固定負債計1700万)

(★負債 計6900万
------------------
資本金   1000万
利益剰余金  100万
(★資本計  1100万
-------------
(★負債・資本計8000万
 * 便宜上、「純資産」のことを「資本」と表記しました。


<P/L> (よーく読んでください)
売上高             6000万
売上原価            4000万
★売上総利益(粗利)    2000万(33.3%)

販売費・一般管理費     1500万
(役員報酬200、給与500、福利厚生100、法定福利費100、減価償0、ほか600)
---------------
★営業利益               500万
支払利息            400万
★経常利益               100万
税金                40万
★税引後当期純利益          60万


【ヒント】

 @決算書の読み方の基本的な問題です。それも、よくある決算書入門をいくら読んでもわからない、より実践的な問題です。実際、このような財務内容は零細企業に非常によくあります。明日はわが身!

 A読み方のコツは、まず細部にこだわらず大きな括りから見ること。次に、細部における異常値を拾い出すこと。

 B本当は3期分の比較をすべきなのですが、ここでは省略しましょう。


【回答例】

★ まず分析から。

 @ 細部は後回しにして、まずは大局的なところから見ること。
 A まず、BSの上のほうを拾い出してみましょう。
現預金100万
受取手形400万
売掛金1500万
棚卸資産2200万
その他800万
(★流動資産計5000万)
・・・・・以下略
支払手形1200万
買掛金800万
未払金700万
短期借入金2500万
(★流動負債計5200万)

・・・・・以下略
 流動資産5000万:流動負債5200万=流動比率96%。悪い。
これだけで、資金繰りが相当忙しいことが瞬時にわかります。
流動比率は、できれば150%以上を目指したいですね。

 B 次に自己資本比率を見てみましょう。
<B/S>
・・・・・省略
(★負債 計6900万

------------------
資本金   1000万
利益剰余金  100万
(★資本計  1100万
-------------
(★負債・資本計8000万
  自己資本1100万:総資本8000万=自己資本比率13.75%。
零細企業にしては平均的かもしれませんが、決して良くはないですね。
ちなみに上場企業では自己資本比率50〜70%以上もザラです。
自己資本比率が13.75%しかないということは、逆にいえば負債の比率が86.25%も占めているということにほかならないので、苦しいに決まっています。(資本には返済義務がないが、負債には返済義務があるので)
  また、後述しますが、この数字を額面どおりにとらえてはいけません。特に中小零細の決算書は監査法人が入っておらずイイカゲンそのものなので、資産の部を時価ベースに換算すると、自己資本比率13.75%がたちまち0%未満(=債務超過)に転落することも十分考えられます。

 C 固定資産も見てみましょう。


設備備品1000万
土地建物2000万
(★固定資産計3000万

長期借入金 1700万
(★固定負債計1700万)
------------------
資本金   1000万
利益剰余金  100万
(★自己資本計 1100万
  固定資産が3000万に対して、長期借入金1700万+自己資本1100万=2900万円ですね。
言い換えれば、3000万の固定資産を調達するのに2900万の自己資本&長期借入金でまかなっているので、差額のあと100万は短期借入金などの流動負債でまかなっている計算になります(これを固定長期適合率といいます)。
  固定資産のようなすぐに現金化できない資産を、一部とはいえ、流動負債のような短期間に支払わなければならない資金でまかなっているというのは、資金繰り悪化に直結します。(固定資産は必ず自己資本と長期借入金だけで買うこと!) 

 D 次にP/L(損益)を上から順に見てみましょう。
売上高             6000万
売上原価            4000万
★売上総利益(粗利)            2000万
 売上高6000万円に対し、売上総利益(粗利)は2000万。つまり粗利率は33.3%になります。これは高いとも低いとも一概にいえません。(しかし後述するように、別のサイドから見ると利益構造にいくつかの疑問が残る・・・)

 E 販売費および一般管理費について。
★売上総利益(粗利)    2000万(33.3%)

販売費・一般管理費     1500万
役員報酬200、給与500、福利厚生100、法定福利費100減価償0、ほか600)
  販売費および一般管理費1500万円のうち、人件費が900万を占めています(役員報酬200+給与500+福利厚生100+法定福利費100。ここまでを人件費として数える)。 これは粗利2000万円と比較すれば粗利の半分以下で済ませているので一見良さそうです。 が、よく見てください。役員報酬200万円というのは常識的にみてちょっと少な過ぎませんか?役員報酬を人並みに取ると赤字に転落してしまうから苦肉の策でこうしているのでしょうか?
  また、法定福利費(=社会保険)も少し少ないように見受けられますね。

 F 同じく販売費一般管理費の中で、減価償却費がゼロになっています。減価償却は任意償却なので粉飾とは言い難いかもしれませんが、実態を反映していないので、いわば黒字に見せかけるための合法的な粉飾といえるでしょう。設備備品が1000万円もあるのですから、普通は減価償却費がゼロということはありえないでしょうね。

 G 営業利益500万円は本当か?
売上高             6000万
★売上総利益(粗利)         2000万
販売費・一般管理費     1500万
役員報酬200、給与500、福利厚生100、法定福利費100、減価償0、ほか600)
★営業利益               500万
  額面どおりにとらえれば、売上高6000万円に対して営業利益率500万円は「8.3%」となるので大変良いです。 が、上記DEで述べたように、減価償却と役員報酬をしっかり計上していたら、営業利益はもっと低い、あるいはプラスどころかマイナス(赤字)になることも考えられますね。 よって、本業で利益を出す体質は「弱い」といわざるを得ないでしょう。

 H 支払利息の異常 
短期借入金 2500万
長期借入金 1700万
 に対して、
★営業利益               500万
支払利息            400万
  と、支払利息が400万円もかかっています。これは異常な数字です。短期借入金2500万+長期借入金1700万=有利子負債合計4200万円に対し、年間400万円もの利息を払っているということは、平均9.5%の利率で借入している計算になるではありませんか!?  ここには借入金の詳細は書いていませんが、想像できることは、高利から借入があるか、それとも手形割引を日常的に、しかも高い割引率でやっているということでしょうね(割引料も支払利息の項に入る)。 いずれにしても、かなり悪い条件で資金調達しなければならない状況にあることが容易に推測できます。実態は火の車か?

 I 総資本回転率
B/S ・・・ 負債・資本の部 合計 8000万
P/L・・・     売上高       6000万
 BSとPLにまたがって両者をながめてみると、総資本8000万円も使いながら、たった6000万円の売上げしか上がっていない、効率の悪い商売をしていることがわかります。(総資産回転率100%以下・・・)

 J 次に細かいところを見てみましょう。
現預金100万
受取手形400万
売掛金1500万
(計 2000万

支払手形1200万
買掛金800万
未払金700万
短期借入金2500万
(計 5200万
 当座資産(現預金100、受取手形400、売掛金1500。つまりすぐに現金化できる資産)が2000万に対して、すぐに支払わねばならない負債(流動負債)が5200万あります。これを「当座比率」といい、資金繰りを分析するうえで流動比率よりもシビアな見方です。当座比率は100%以上が望ましいですが、同社は38%しかありません。資金繰りが火の車なのが、よりハッキリわかってきましたね。

 K 現金および同等物(現預金と、せいぜい受取手形まで)にいたっては、あわせて500万しかなく、月商(年商6000万÷12=月商500万)の1か月分相当しかありません。これでは不測の事態に対処できません。

 L にもかかわらず、支払手形は1200万円もあります。これではいつ不渡りを出してもおかしくありません! きっと毎月、胃の痛くなる思いをして手形の決済に追われていることでしょう。
  この社長さんがもし不渡り=倒産だと思っていたら(一般的にはそう思うのが普通なのですが)、まさしくこの会社は、「いつ倒産してもおかしくない!」 「突然死の恐れあり!!」

 M 債務超過の疑いもあります。
現預金100万
受取手形400万
売掛金1500万
棚卸資産2200万
その他800万

(★流動資産計5000万
------------
設備備品1000万
土地建物2000万

(★固定資産計3000万
------------
(★資産計8000万


(★負債 計6900万
  売掛金は本当にこんなにあるのか?焦げ付きが混じっていないか?在庫の価値は本当にこんなにあるのか?不良在庫がまぎれていないか?固定資産の価値は本当にこんなにあるのか?・・・
  これらの資産価値を、時価に換算したら、果たして総額8000万円もあるのでしょうか?
  もし時価に換算して総額6900万円に満たないようなら、実質「債務超過」ということになります。

 N 以上のことから、同社は実質的には、倒産の3要素である 「資金繰り難」 「実質赤字体質」 「実質債務超過」 の全てを満たしている、非常に危険な状態であるといえそうです。

 O さらに細かいところも突っ込むと、売上債権(受取手形400+売掛金1500)と在庫(2200)をあわせると、なんと4100万にもなります。 年商6000万円の会社ですから、実に月商の8か月分以上(!)もの売掛金と在庫を抱えているわけです。一体なぜ、こんなに抱えなければならないのでしょうか?よほど弱気の商売をしているのか?よほどどんぶり勘定なのか?それとも粉飾か?

 P この状況で、もし 「ウチは黒字で、債務超過もないから大丈夫!」 なんていう社長さんがいたら、間違いなく社長失格です。バカ社長です。雇われている社員もかわいそうです。
  地図の読めない登山家は遭難します。ルートの選定もできません。いつも運任せ、他人任せ、成り行き任せです。醍醐味を味わうこともできないでしょう。・・・ そんなことなら、他の人に社長を代わってもらったほうがいいでしょう。


★ 次に改善方法。

 A.  真っ先に改善すべき点は、資金繰りにかかわる部分、つまり「流動資産」「流動負債」ですね。

 B.  特に、当座比率をできるだけ早期のうちに100%近くになるように目標設定しましょう。突然死を防ぐためにも。

 C. 手段は選んでいられません。銀行から追加融資を受けてでも、現金同等物を増やす必要があります。

 D. もちろん、換金できる資産はできるだけ換金しましょう。土地建物も、在庫も、売掛も・・・。
 コツとしては、決算書の「資産の部」の「下のほう」をスリムにし、「上のほう」を厚くするよう努力すると、おのずと流動比率・当座比率が上がり、資金繰りに強くなります。

 E. 総資産8000万円も多過ぎです。将来増収増益が見込めるならこのままでも構わないかもしれませんが、横ばいか減収傾向なら、バランス的には総資産6000万円以下に縮小しなければなりません。

 F. 売掛金・受取手形・棚卸資産の合計も、正常値(せめて年商の半分前後か?)に下げられるよう努力しましょう。また、このなかに水増しした資産が含まれているなら、次期決算で膿みを出し切ってしまいましょう。

 G. 突然死を防ぐために、支払手形の扱い額を半分以下に減らす努力をしましょう。それがどうしてもできなければ、代わりに、現預金または同等物をせめて月商の2か月分以上に増やしてください。どっちもできませんでは通用しません。そのための手段は、借入でも資産処分でもどちらでも構いません。

 H. 短期借入金をできるだけ長期に借り換えましょう。もしくは借り換え以外の手段(リスケ等)で長期化しても構いません。これは今すぐでなくても構いません。上記A〜Gを実現するために追加融資を受ける必要があるなら、それを終えてから心置きなく借り換えまたはリスケジュール等するという順番でも構わないと思います。

 I. 支払利息(or割引料)がアンバランスに高いので、これも半減できるよう何らかの努力をしましょう。借り換えができるならそれでもよし、あるいはそれ以外の緊急措置(高利ノンバンクのみ特定調停や弁護士介入など)でもよし。

 J. 減価償却と社長の役員報酬を正常な範囲で計上したうえでも営業利益が取れるよう、今一度、事業の部門別の見直しをして下さい。赤字垂れ流しの事業はないか?仕入原価は適正か?販管費の見えない無駄はないか?(よくあるのが生命保険や賃料での無駄遣い)


 ・・・とまあ、ざっくり言えば、このような回答となります。

 しかし、これらはあくまで1期分のB/SとP/Lだけを判断材料にした回答にすぎませんので、より的確な再建方法を見出すには、3期分の決算書を比較精査したり、決算書に載っていない部分を社長さんから聴き取ったり、現場を見たりする必要があります。

 この1期分の財務諸表を見た限りでは、自己破産のような法的清算や、営業譲渡のような外科手術的な手法は、現段階では必要ないと思います。 それよりも大事なのは、社長さんに「実態」を「数字で」把握してもらって、1個1個の問題点を「少しずつ」「まんべんなく」「明確に」「改善すべく」「舵取り」しようとする姿勢です。 これを一言でいうと「リストラクチャリング」です。 ウルトラCや魔法を求めてはいけません。地道な改善を求めるのです。
 リストラ型の再建を緻密にきちんと実行すれば、突然死も破産も防げるのです。

 とはいえ、普通の自営業クラスの社長さんは、この例題で書いたことの半分も理解できないのが現実でしょう。(全国あちこちで講演して、それはハッキリ断言できます。おそらく従業員20人未満の社長さんのおよそ9割以上が決算書を読めません!)  わたしはこの例題をほんの1−2時間ほどでサラッと書きましたが、結構難易度の高いことも書いていますので、無理もありません。

 なので、実態をより正確に把握し、リストラ的な策だけで再建を図り、破産などせずに済むよう、ひとりで悩まずに、いちど専門家に相談してみてください(我がNEKO-KENでも大歓迎です)。 みんな最初はわからないのですから、恥ずかしがる必要はありません。



【例題7】
三日後に手形の決済が迫っています。
不渡りを防ぎたいのですが、資金が足りません・・・



 【ヒント】

  あなたが不渡りを出してトクする人は誰もいません。みんな損します。よって、誰も不渡りを望んでいません。

 【回答例】

  何年か前にブログのほうの記事で、「不渡りを防ぐ方法」を書きましたので、そちらをお読み下さい。

 (1) http://nekoken1.blog108.fc2.com/blog-entry-345.html 
 (2)つづき http://nekoken1.blog108.fc2.com/blog-entry-346.html

 たとえカネがなくても、知恵と勇気と行動力さえあれば、不渡りは99%防げます。たとえ昼過ぎに銀行に手形が回ってきても、残りの数時間で対処することは可能です。



【例題8】
 国民生活金融公庫とX銀行、Y銀行、Zリースの連帯保証人になっています。
残債は国金が1000万円。X銀行が1500万円。Y銀行が1500万円。Zリースが500万円。計4500万円。
 先日、主債務者が自己破産して、私のところにX、Y、Zから一括請求の内容証明がきました。私は自営業で(個人事業でラーメン屋を経営)、住宅ローンがあと2000万円も残っており、とても4500万円もの保証債務なんて払えません。本業のラーメン屋は無借金でどうにか上手くいっていますが、住宅ローン+生活費+αで精一杯、余裕はあまりありません。 かといって自己破産もしたくありません。

もう首をくくるしかないでしょうか?

 【ヒント】

 要するに、あなたは個人事業主で、住宅ローンを抱えてる他に、連帯保証人として背負ってしまった債務が4500万円あるのですね。 これは一見難しそうですが、ウルトラC的な唯一の解決方法があります。
 法律相談、経営相談、財務資金繰り系の相談など、相談先に迷うところでしょうが、このケースの場合、法律の専門家に相談すれば、おそらく一発で解決します。
 (前項の「はじめの一歩」で、いろいろタイプの異なる専門家に相談しましょう」と言ったのはそのためです。ご本人にはこれが法律相談寄りなのかそれとも経営相談寄りなのかわかりませんからね・・・)


 【答え】

 「小規模個人再生」です。通称「個人再生手続き」。民事再生法の個人版ですね。平成13年にできたばかりの比較的新しい制度です。
 この制度を使えば、おそらくあなたの場合、住宅ローンと家は現状維持のまま、4500万円の保証債務を500万円以下に減らせると思います。しかもそれは、3年間の分割払いにできます。クレジットカードやマイカーローンをしばらく組めなくなるというデメリットもありますが、4500万円を全額払わなくて済むという計り知れないメリットを考えれば、もう迷うことはありませんね?

 個人再生手続きは地方裁判所で申し立てますので、基本的には弁護士でないと受任できません。あるいは司法書士でもできますが、司法書士の場合は別途、裁判所で再生委員というのを立てなくてはならなりませんので、費用の点ではどちらもそう変わらないと思います。 

 個人再生手続きは、「住宅ローンを債務の総額が5000万円以下の人」で、かつ「安定収入のある」「個人」でなければ使えません。条件が限られています。 弁護士や認定司法書士など「法律」の専門家なら当然知っていますが、「経営」や「会計」の専門家はこの制度をあまり知りません。よってこの手の問題で悩んだら、最低一度は弁護士に相談しましょう。




【例題9】
 貸ビル業です。15年前に2億円で買ったビルで、まだ借金が1億円ほど残っていますが、地価暴落や過疎化による賃収減のため、売却しても3000万円にしかなりません。毎月の賃料収入は30万円にまで落ちています。毎月の返済額は170万円です。足りない分は貯金を切り崩したり保険を解約したりして補っていますが、これでは返済できなくなるのも時間の問題です。売却しても借金だけが7000万円以上残るし、もう八方塞がりです。どうしたらいいでしょうか?ちなみに借入先はB銀行のプロパーです。連帯保証人は父(年金生活、資産なし、同居)です。



 【ヒント】

 @貸ビルは「業」なのですね?「業」だとしたら、ビルを守りたいという気持ちはひとまず置いて、構造的に儲けが取れるようにしないといけませんね。赤字体質なら今すぐ直さないといけませんよね。「業」なのですから。
 Aプロパーという言葉にも注目。プロパーとはここでは、民間のB銀行が公的な保証協会などをつけずに自社リスクで貸し付けたものという意味です。
 B「しがみつくと離れていく。突き放すと戻ってくる。」

 【回答例】

 まず、任意売却しましょう。
 競売でもかまいませんが、どちらかといえば任意売却のほうが良いと思います。

 このまま約定どおり返そうとしても無理でしょう?貸しビル「業」として見た場合も、明らかに破綻しています。構造的に破綻しているのにこのままズルズル続けるのは、誰のためにもなりません。みんなに迷惑です。一刻も早く整理しましょう。

 ビルの価値が3000万円に暴落したのは誰のせいですか?あなたのせいではありませんよね?世の中の流れでそうなったんですよね?だとしたら、その下落分を、あなたが個人として命を張ってまで一生背負わなくたっていいじゃありませんか?合理的に解決できる方法がいくつかあるのですから、それらを利用しましょうよ。

 手順としては、まず真っ先にやるべきことは、B銀行への返済をやめることです。
 返済をやめると、B銀行からいろいろ言われますが、あまり気にしないようにしましょう。手放すと覚悟を決めたのですから。
(どうしても不安が拭い切れないようでは、この方法はおすすめできません。その場合は別の方法、たとえば自己破産などをお勧めします。)

 次に、返済STOPして暫くしたら、銀行にしっかり意思表示してください。厳しい現状をありのままに話したうえで、「もうこのビルを失っても構いません!これ以上返せません!」と。

 するとだんだん、銀行のほうから、契約不履行のペナルティとして「競売」の話がでてきます。
 が、競売には手続きの手間と高い費用と時間がかかりますから、銀行のホンネとしては、大幅に担保割れした3000万円の価値しかないビルにムキになって競売するようなことは本当はしたくありません。かといってこのま塩漬けにするわけにもいかないので、競売を匂わせながらも、「任意売却」を勧めてくることが多いものです。競売よりはまだ少しはマシ、と。

 もちろん、あなたのほうから任意売却の話をしても構いません。

 この間、返済は完全にSTOPしましょう。中途半端に返済を続けても、なかなか任意売却や競売の交渉には乗ってくれませんから。

 任意売却に方針が決まったら、買い手を見つける作業に入るわけですが、時間をかけて納得いくまでじっくり探して下さい。値段は勝手に決めることはできません。相場というものがありますし、銀行が納得してくれる金額でないと、担保外しにも応じてくれなくなります。逆にいえば、たとえば銀行が納得する理に適った相場どおりの金額が3000万円であれば、たとえ残債の1億円に満たなくても、銀行は売却時に抵当権を外してくれます。

 売却後は7000万円前後の借金だけが残るでしょう。しかしこれは、銀行から見れば「無担保債権」であり、しかも回収の見込みが極めて低い「不良債権」と映ります。民間銀行の不良債権は、お上の指導に基づき、「処理」の方向へ向かいます。いいですか?「回収」ではなく「処理」ですよ!!そして、その処理のしかたの多くは、「サービサーへの債権譲渡」です。

 サービサーに無担保の不良債権(=業界用語でポンカス債権という)債権譲渡されるとき、その譲渡金額は二束三文なのが普通です。ポンカスであればあるほど大安売りで売られます。一概にいえませんが、どうしようもない無職無収入のポンカスの場合、7000万円が1万円以下で売られることもあります。また逆に、債務者が公務員や資産家などで回収の余地がある場合は、7000万円が500万円以上で売られることもあるようです。

 あとは話し合いです。そのうち債権譲渡通知が内容証明で来ると思いますので(例によって7000万円と遅延損害金を一括で払えと書いてありますが、額面どおりに受け取らないように)、通知人のサービサー会社の概要をネット検索などで調べて、イザ減額交渉です。

 なにぶん交渉ごとですので100%大丈夫と保証はできませんが、この方法で、7000万円程度の残債務を200−300万円一括払いで和解(残り6700万円以上は免除)に至ったケースは、私が見聞きしただけでも相当数にのぼります。

 話は前後しますが、任意売却でビルを売る先は、銀行さえOKしてくれれば、親戚などでも大丈夫な場合もあります。少し頭をひねれば、協力者さえいれば、売却しても他人に取られずそのビルを使い続けることも可能な場合があります。これについては別項「不動産を守るために」をお読み下さい。

 長々と書きましたが、これとは全く違った解決方法もあります。それは弁護士さんに「自己破産」の手続きをお願いすることです。どちらを選ぶかはあなたが自由に決めてください。




【例題10】
 息子が大学に進学したがっているのですが、親の私が倒産寸前なので、諦めさせようと思います。高校も中退してもらおおうと思います・・・。



 【ヒント、というか答え】

 ふざけるな! 親には親の人生があり、子には子の人生がある。親が経済的に苦しい中で子供が進学を求めているなら、子供自身に自分の道を切り開いてもらえばいいじゃないですか!

 学費の面では何の心配もない。「奨学金」と「学費免除制度」と「福祉系の貸付」を使えばどこへでも行けます。大事なのは、こういうときに情報収集して調べようとする姿勢です。 塾で公式や英文法を覚えるよりも、苦難を乗り切るサバイバル能力を養うほうがはるかに良い教育になるでしょう? 貧乏は子供をたくましく育てるチャンスです。そんなときに、親子代々で「負の連鎖」に落ち込んではいけません。逆です。親が苦しいからこそ、子供には頑張って自分の道を切り開いてほしいものです。



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