戦いの幕開け
X月X日。
現在、6件の違法マチ金(10日で1−3割)からの借入残高が、計700万円にまで膨れ上がっている。 これらすべて手形貸付。 預けている手形には期日が書かれていない。つまり、いつでも銀行に回せる。手形のほかに、白紙の委任状や印鑑証明も預けている。利息は10日で1−3割。年利に換算すると360%〜1080%ということになる。
こんなにひどい契約で借りるなんて、本当になんて私はバカだったんだろう。
確かに切羽詰まってしかたなく借りてしまったんだが、一体「何に」切羽詰まっていたのだろう?当座を守るため?商工ローンの取り立てが怖いから?取引先に迷惑かけたくないから?
いろいろ理由はつけられるが、今はっきり言えることは、私はあまりにも無防備・無知だったということだ。違法の金融業者のことを非難する以前に、まず借りた私が悪い。このあたりをはっきりと認識しておかないといけない。そのうえで、私が生き残る方法を考えなくてはならない。
(いろいろな多重債務経験者に相談したが、「借りた私が悪い」という気持ちが、借金解決の上で非常に重要なキーポイントになる。 このことは別の項で説明する。)
マチ金の次の金利返済日は2日後に迫っている。私は、この数日間のうちに一気に情報収集して練った対策をすぐに実行に移すために、いろいろな準備に入っていた。
まず利息計算。各社別に、今までの借入日、回数、各回の融資金額、返済日、返済金額を表にまとめ、その実質金利や借入総額・返済総額をはじいてみた。すると、6社中3社は借入元金100−150万に対して、わずか数ヶ月のうちにすでに130−200万も返済していることがはっきりした。ほぼ10日に1回の頻度で利息(1−3割)を返済しに行っていたのだから当然といえば当然である。つまり、これらの会社は既にじゅうぶん元が取れている上に、わずか数ヶ月のうちに30万−50万の利息を取っているわけだ。一方、法定金利に再計算してみると、これらの借入に対する利息はせいぜい3万−12万。つまり、各社27万〜38万もの金額を、法定金利よりも多く払い過ぎていたのである(法定金利の計算方法は地元の商工会が主催する弁護士無料相談会でじっくり教わった)。確かに相手は違法業者なので、法定金利云々を主張しても相手にしてもらえないだろうが、我々の心づもりとして、数字的にはっきりと認識しておく必要があった。
残りの3社についても、取引は浅いが、元金の半分くらいは返していた。さすがに過払いで借金チャラというわけにはいかないが、交渉しだいでは、ある程度減額できるかもしれない。
次に、6社各社の許認可登録について調べてみた。東京都庁の貸金業課(だったかな? )へ行けば、都知事登録してある貸金業者の登録内容(登録番号・登記上住所・代表者住所など)について閲覧できるのである。調べてみていろいろなことがわかった。ちゃんと業者登録してあるのは6社中4社だけで、残りの2社は無免許だった。 また登録してある4社も、設立して1-2年しかたっていない。コンピューターの画面でしか閲覧することができないので、私はそれを細かくメモした。
次に、その登録に書かれている会社の登記簿謄本を、それぞれの区の法務局に取りに行った。 しかし、会社として登記されているのは、6社中1社しかなかった。 都知事登録の上では株式会社や有限会社の商号がついているのに、だ。 つまり、都知事登録の内容自体がデタラメだったのである。 (よくそれで都が許可したもんだ・・・)
翌日は、これらの調査資料をまとめて、霞ヶ関の簡易裁判所へ足を運んだ。 まずは裁判所がどんなところか、自分の目で見てみたかったのである。
ここへ行って、裁判所に対するイメージがガラリと変わった。 一般人が個別相談できるコーナーがあり(法律相談ではなく、裁判手続きに関する相談だが)、主婦やサラリーマンなど沢山の「普通の人」が相談に来ていた。 私が想像していたよりも、ずっと簡単に手続きできるところだった。 たとえば調停の場合、法律の専門知識がなくてもじゅうぶん1人でできることがわかった。 費用も安い。 私の場合、仮にマチ金6件全部申し立てても、総額1万円にも満たないという。 また、調停や訴訟を起こしたその日から、貸金業者は取り立てを一切してはいけないらしい。 このことは私を大きく安心させた。
弁護士を使わず自分で申し立てる最低限の条件としては、自分の債務状況(件数、金額、利率、取引期間など)、および自分の資産、収入、希望の返済方法をきちんと説明できる資料を用意すること。 あとは相手の登記簿謄本や契約書などを可能な範囲で用意しておくこと。 それだけだ。
ただ、違法マチ金業者の場合、訴訟や調停を申し立てても、まず絶対に出てこないだろうと言われた。 出てこなくてもそれなりの効果はあるらしいが・・・。
私はその日は説明をきいて、申請用紙をもらうだけにとどまった。
申し立てするかどうかは今後の成り行きによるが、これでいつでも申し立てできるだけの準備は整った。
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