【借金を減らす具体的方法いろいろ(基本編)】

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方法1.稼いで返す
これができれば何もいう事はない。ただ、中には借金返済の為に無理に無理を重ね身体をボロボロにしたり、風俗業や犯罪スレスレの仕事に手を染めたりする人がいるが、ほどほどに。 心がけとしては大変立派な事だが、生き方としては不器用ともいえる。あなたの不器用な生き方の為に、家庭や仕事や健康を犠牲にしたり、親しい人に迷惑をかけたりしていてはバカみたい。
気持ちを切り替えてみよう。自分は貸金業者のために働いているのか? 貸金業者の暴利のために無理な返済をしていないか?(返すのは合法的な範囲だけで十分) 利息が高いところや取引機関が長い所に対しては借金を値切る事はできないか?
真面目な人ほど借金返済の為に借金を重ね、多重債務に陥る傾向がある。そんな人は、少しだけずる賢くなった方がいいと思う。頭を使おう。
方法2. 調停で減額する
「特定調停」という制度がある。これは2000年2月からスタートしたもので、返済に行き詰まった債務者が、事業の再建や生活の立て直しを図るために返済方法などを債権者と話し合う手続き。 特定調停は従来の民事調停と違い、多重債務者を破産させないで再起させるための意味合いが強く、また調停する相手も「商工ローンだけ」とか「サラ金だけ」とかいうように、自分で選ぶことができる。
実際、特定調停を申し立てる人のほとんどは、サラ金や商工ローン相手に 「高い利息を利息制限法の15−18%以内にまけてくれ」とか、「元金も過去に遡って、取引開始から今までに利息制限法以上に払いすぎた金額を全部計算して、その合計過払い金利を元金から引いてくれ」とか、「今後の返済方法についても、将来利息0〜数%にして、長期分割にしてくれ」 というようなものがほとんど。 そしてほとんどの場合、利息制限法内に組み直され、長期分割返済にも応じてもらえている。
具体的には、商工ローンやサラ金から長期間借り続けているような人だと、利息制限法と実際の金利との差が大きいため、5年も借りていれば利息制限法再計算で債務が半分以下(あるいはゼロに近い額)に激減するケースが多数。
調停の手続きは自分でも簡単にできる。 費用も自分でやれば、サラ金5−6社相手で印紙代と切手代あわせて総額1万円以下で収まる。(弁護士に調停を頼んだ場合、債権者1件あたり2−3万 x 件数分、つまりトータル15−30万ぐらいかかる。 私は自分でやることをおすすめします)
裁判所というとなんか恐いイメージがあるが、調停を行う「簡易裁判所」は意外なほど居心地がよく、リラックスして話し合いできる。 調停の話し合いは狭い部屋で調停委員を介して進めらる。調停で決まった内容は裁判の判決と同等の効力がある。
調停は破産と違って「借金を踏み倒す」手続きではない。相手に損させずに、ちゃんと元金も利息も払って、無理のないペースで返していくための手続き。 ですから何も卑屈になることはない。 堂々と話し合うべき。 (但しあまり喧嘩腰になったり強気になったりするのは良くない。 丁寧にお願いするつもりで臨んだほうが無難)
「特定調停で商工ローンの債務がゼロになった」
「特定調停でサラ金が半減した」
「特定調停で返済方法が大幅に楽になった」
・・・という人は大勢います。 多重債務で悩んでいる人はまずこれを検討してみてください。
方法3.任意整理
調停や裁判に頼らず、弁護士に頼んで債権者と直接利息カットや返済方法組み直しなどを交渉してもらうことを任意整理といいます。弁護士に委任していますから当然うるさい取り立ても止む。 利息制限法も認められる。 減額効果という点では特定調停とほぼ同じくらいだが、任意整理の方がはるかにスピーディに話し合いに決着がつくというメリットがある。
方法4.債権者とサシで減額交渉
これはかなり根性が要る。 特にサラ金や商工ローン相手の場合は、多くの試行錯誤や、うるさい取立てを覚悟しなければなりません。 しかしこれは、お金には代えられない数多くのものを得ることができる。 半年も業者とやりあっていると、交渉力や知恵が身につくだけでなく、人間としてかなりたくましくなっていく。この場合、一人で戦うのではなく、仲間をつくって情報交換しあったり、2名以上で交渉に当たれば効果は倍増。
方法5.民事再生法(個人再生法)
民事再生法は昨年からスタートしたが、これの個人版みたいなものが今年4月からスタート。これは破産のような「清算型」手続きとは違い、債務者を「再建」させるための手続き。
簡単にいうと、個人再生法は、
既存債務の一部を支払い、残りは債務免除する
残った債務は、再生計画中の収入の範囲で原則3年以内で支払う
再生計画中の商売や、生活に不可欠な資産(住宅など)を残せるようにする
といった目的がある。
対象者は、小規模事業者やサラリーマンなど。 無担保の借金が総額3000万円を超えてないこと(担保つき債務は3000万円以上あってもかまわない)。継続的・安定的収入が見込めること。 破産寸前の人(破産の恐れがあることが認められないと適用されない。 ただ単に「返済が苦しい」というだけではダメ)
これをうまく利用すれば、自宅を差し押さえられずに、借金を大幅に棒引きできるわけですが、手続きが厳格で難しいことや(綿密な再生計画案や予納金、収入、資産、債権者一覧などを提出)、ある程度の収入がないと認められないこと、余納金の額が比較的高いことなどを考えると、利用できる人は少ないように思います。 申立てにもかなりの手間を要し、再生委員などもマンツーマンで選任されますから、調停のように簡単にはいきません。 「とりあえずやってみよう」なんて軽い気持ちでやると、結果的に大損になりかねません。 また破産と同じように官報に載りますから(調停は載らない)、その点も考慮する必要がある。 再生決定後の返済先や支払いにも様々な制約を受け、「この債権者だけは裁判所に黙っておいて、こっそり返していこう」なんていうのも通用しない。
いずれにしても、これから始まる制度ですから、慌てて申立てしないで、しばらく様子を見てからにしたほうがよさそう。
方法6.破産
弁護士やクレサラ相談機関に多重債務の相談をすると、多くの場合「自己破産」をすすめられますrrr。なぜでしょうか?
「多重債務を強引に断ち切るには破産が一番確実で早い」 「破産して全てリセットしたほうが、より早く再起できる」などといった考え方によるものです(ダラダラと交渉が長引くよりも、サッサと破産してしまったほうが弁護士さんとしても効率よく仕事しやすいという側面もあります)。
私も破産そのものには否定的ではない。 破産は法律でちゃんと認められた制度ですから、今後収入の目処がまったく立たない人や、致し方ない事情で借金が増えてしまって、早く借金苦から開放されたいと思う人などは、大いに利用すべきと思う。 破産したからといってあまり極度に卑屈になる必要はない。 破産によって被るペナルティーも意外なほど少ないもの。
しかし、ある程度収入のある人や、資産を持っている人、高利の借金を何年も抱えている人などは、慌てて破産しないほうがよいと思う。 高利の借金なら利息制限法で元金を大幅に減らせますし(うまくいけばゼロになったり、払い過ぎた利息を取り戻せることもあるので)、また不動産担保の銀行の借金なら担保を取られて実質チャラになることも多いからです(また、不動産競売にはとても時間がかかりますから、その間ゆっくり住み続けることができる)。
調停にしても裁判にしても強制執行にしても、手続きにはとても時間がかかりる。 その間は、しつこい取り立ては来ませんし、あわてて返済を再開する必要もないので、この法的手続きをやっている期間をフルに利用して、じっくりと自分の生活や仕事を立て直せば、うまくいけば仕事も急ピッチで回復し、返済能力が回復するかもしれない。そして返済をもとどおりに再開すれば、競売を取り下げてくれることも十分可能です。 実際そういうケースは多数あります。 強制執行や法的手続きを恐れず、じっくり向き合おう。 破産はその後で考えても遅くない(最終的にはアナタの判断しだい・・・)。
方法7. 夜逃げ
これは最悪の選択。かえって高くつ。労力も半端じゃない。 一生気持ちが安らがない。家族にも不安を与える。 絶対やめましょう。
借金取りというのは犬みたいなもので、逃げれば逃げるほど執拗に追いかけてくる。逆に開き直るとおとなしくなる。 借金そのものは犯罪でも何でもないので、逃げたりせず、ちゃんと堂々と話し合いましょう。
方法8.踏み倒し・放置・開き直り
世の中には何億円、何十億円もの借金を抱えていても、破産もせずに堂々と開き直っている人が結構います。 道義的にみれば最低の行為だと思いますが、真面目に悩んでいる多重債務者から見れば、少し見習うべき点があると思う。
どうして何億円もの負債を抱えても平気でいられるのだろう?
こういう人種は、マイペースで、ルーズで、人目を一切気にせず、執着心がなく、何かを失うことをあまり恐れません。
これをこのままマネしたのではただのアウトローで終わってしまいますが、このうち良い部分(人目を気にしない、物に執着しない、マイペース)だけを見習ってみるのはどうでしょうか?
「借りたものは約束どおりに何が何でも返さなければならない」という既成概念を、少しだけ変えてみて下さい。
利息=相手の儲けです。 高利=ボロ儲けです。
貸金業者のボロ儲けのために、あなたが無茶な金策に走り回ったり、夜の商売に手を出したりする必要があるのですか?
方法9. 借り換え
これは慎重を要します。一歩間違えば、取り返しのつかないほど多重債務が膨れ上がります。 多くの人がこれで失敗しています。 他所から借りて、それをまるごと返済に充てても、また貸金業者から執拗な勧誘(増枠しました、利息を下げます、等…)が来るので、よほど意志の強い人でなければ、またすぐに借金が増えてしまいます。
* もし運良く多重債務のアナタにどこかの銀行が低金利でお金を貸してくれたとしても、それをそのまま高利の返済にあてないでください。利息制限法で圧縮してから返済し、残りは生活立て直しのために大事に使うとか、いちど完済した高利の借金はカードにハサミを入れて返却し解約するとか、徹底した断ち切りが必要です。 あなたは既に重度な借金依存体質なのですから。(メールマガジン 2001年第9号から抜粋)

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