【住宅ローン、競売、不良債権処理…】

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まず、ハンドルネーム・陽水さん(30代・男性)からの投稿を紹介。
(本人承諾済み)
陽水さんは元・信用金庫の社員でありながら、お父様が莫大な借金をつくり、自宅を競売にかけられたことのある方ですが、その後見事に立ち直りました。いろいろ応用のきく実例ですので、まずは陽水さんからのメールをお読みください。
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はじめまして。なんとなく検索してたらあなたのホームページにつながりました。
このホームページをみてあなたはすごい、神様のように思いました。
独学で勉強されてここまでやられるとは、本当に頭が下がります。

実は私の父も事業で失敗?というよりも主に株でやられて、12億円程の負債を作り、
株を処分、自宅等の不動産も競売にかけられ、最終的に5億円程の負債が残りました。
債権者は銀行だけでした。
知り合いの紹介で弁護士に相談したのですが(競売になる前)、
お決まりの一言、破産しなさい、でした。

破産はいいけど破産するのに6〜700万円もかかるのです。金がなくてどうしよう
もないのに、そんな金が用意できるわけがありません。

私は大学卒業後、信金5年、不動産業8年の勤務経験があり、多少の知識があったので、
破産なんかしなくていい、銀行なんて競売にかけて残った借金は償却して終わりだから
と思い、案の定その通りになりました。
競売後は多少の督促があった程度で、その後は賃貸住宅で普通に生活しています。
銀行なんてそんなものです。
ただ、私も自宅が競売になったときは多少感情的になり、落札者に対して執行異議1回、
執行抗告2回、特別抗告1回と、いやがらせをしましたけどね。

(中略) 猫次郎さんの意にそわないことかもしれませんが、銀行は意外と回収については
甘いところがあるので、本当に無いソデはふれないひとは(債権者が銀行だけの方)
破産もせずにやり直せることもあるよということを報告させていただき、失礼いたします。

陽水
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どうでしょうか?

以下、なるべく専門用語を使わずに、わかりやすく解説します。
陽水さんのようなケース(=競売されたら残債務は事実上チャラ)は、実は決して珍しくない。それどころか、全国そこらじゅうにいると言っても過言ではないほど。
銀行は、住宅ローン返済を延滞している顧客に対して、「競売で安く処分されても、借金は残って、あなたにとってメリットは一つもありませんよ」とプレッシャーをかけて返済を求めて来るが、これはあくまでも銀行マンの回収トークに過ぎない。
実際には、競売で家を処分された人は、これといった資産がなくなるわけでだから、残った借金はすべて無担保と化すので、銀行にしてみれば「強制執行しますよ」といった脅しが通用しなくなる。つまり、借り手の気持ち次第、やり方次第で、債権放棄(悪い言い方をすれば踏み倒し)に至らせることも可能になる。(もちろん払い続けても構いませんが…)
銀行側としても、担保を競売にかけるというのは債権回収の最終手段ともいえますから、ここまでやって残債が回収困難になったら、「この債権は競売までやって回収したが、残債回収は困難なので償却したい」と国税や金融庁に対して言い訳がたつ。不良債権処理がしやすくなる。
このようにして、残った不良債権は遅かれ早かれ償却、つまり帳簿から消して、あきらめてしまう。そのほうが税制上有利な場合も多々あるし、不良債権のない綺麗な決算ができるので、金融庁や株主や世間に対して健全経営に見せられる。
新聞に毎日書かれているように、不良債権を早急に処理することは、国の政策でもあり、金融庁からも厳しく指導されていますので、銀行はこれを守らなくてはなりません。 したがって、住宅ローンが返済できず競売にかかるほどの返済能力のない客は、たとえ損失覚悟でも、早く縁を切らなければならないという事。
言い方を変えれば、住宅ローンが払えないで競売されてしまったアナタは、国の方針に忠実に従って処理されたともいえる。テレビや新聞で小泉総理がよく口にしている「痛みをともなう構造改革」を実践しているともいえる。自信をもって。
バブル期に高い金額で買った家が、今では半分以下の「時価」に下がってしまった。よくある話。しかしバブル期に組んだ住宅ローンのお金(簿価)は、時価のように上がったり下がったりしません。したがって、買った不動産の時価が下がれば下がるほど、組んだローンは相対的に重くなる。みんなそれで苦しんでいる。なんとも不条理な話。
これに打ち勝つには、国の政策(不良債権処理・痛みをともなう構造改革)を、我々消費者側も個人レベルで積極的に進めていくしかない。今ならそのチャンスはいくらでもある。これを実行するのはテクニック的にはさほど難しくない。知識10%、知恵10%、行動力10%、そしてあなたの意識改革70%といった所。 知恵と知識を身につけていく過程で、自然に意識改革がなされていくので、まずは必要な知識と知恵を身につける事。情報はそこらじゅうに転がっている。例えば、新聞やインターネットで、「不良債権処理」「サービサー」「簿価」「時価」などといったキーワードでいろいろ調べてみてく。それだけでも具体的な道が見えてくる。
また、過去の既成概念(「借りた金は、無条件に、全て、何が何でも返す」という考え方)を変える事も必要。不良債権処理を国が奨励しているというのは、誤解を恐れず極端な言い方をすれば、「返せない借金は踏み倒してもよい」と、国が奨励しているようなもの。もちろんこれは極端な表現であり、鵜呑みにしてはいけないが、このような考え方が浸透する事は、大きな視点で見れば、国家レベルでも個人レベルでも、どちらにおいても経済の活性化につながるはず。だからこそ国が不良債権処理を押し進めているの。(メールマガジン 2002年第39号から抜粋)

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