【信販会社から過払い利息数十万円を取り戻した男の話】

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ウソのような本当の話。彼は私のごく親しい人なので、私もその一部始終を 見てきた。

彼(Kさん・東京在住・自営業)は10年以上前から、ある信販会社のカードのキャッシングを続けていた。 借入れ枠は50万円。年利28‐29%のリボ払い。これを10年以上続けていた。 妻子持ちで低収入だったので、生活費の不足分を埋める為に慢性的に借りて返してを 繰り返していた。(意外とよくある話)

しかし不景気が続き、昨年とうとう返済が滞ってしまった。 約2ヶ月間一銭も払えない日が続き、この間、毎日のように電話で催促を受け、その後一括請求の内容証明が来て、それでも払えないので、最後には法的手続きに入るとの通知が来た。 その後、電話催促はぱったりと止んだが、数週間後、東京簡易裁判所から支払い督促の通知が来た。文面には、「Kは○○信販会社に50万円支払え」という様な事が書いてあった。

普通、裁判所からこんな書面が特別送達で来たらビビりますよね? しかしKさんは多少機転のきく人だったので、すぐにその書面にオマケのように付いていた答弁書に、「一括で払う金 は無い。減額と分割払いを求める」 とだけ書いて、裁判所に郵送で返信した。 (これを異議申し立てという)

約1ヵ月後(この間も取立ては来ない)、こんどは裁判所から「呼び出し」があった。 Kさんは1人で裁判所へ行った。信販会社の訴えの内容は、「50万円全額すぐ に支払え」というものだっが、Kさんは、「どうしても払えというなら、まず過去10年分の借入返済の明細表を出してくれ。10年も借りてるんだ。もう十分モトは取れているだろ」というようなことを主張した。 すると信販会社側は「そんな昔の資料は無い」 と言い出した。株式上場している大手の信販会社がこれです。 Kさんはさらに、 「そちらが無いというならこちらに証拠があるから次回見せてやる」といい、この日は ここで裁判が終わった。

翌月(裁判はだいたい月1回のペースだったそうです)、Kさんは過去10年分の借入及び返済の明細書と(几帳面な人なので10年分捨てずに取っていたそうです)、自分で作ったという返済一覧表を持参して裁判所に行った。 しかしその時は、信販会社側は「調査中につき」ということで欠席。 自分から訴えてきて、都合の悪い展開になると欠席とは、な んと無責任な。 訴訟は単なるおどしだったのでしょうか!?

更に翌月。 この時Kさんはさらに一歩進み、自分で作ったという2種類の利息計算表を持参。 一つは実際の(年利28%ベースの)10年間の借入返済の一覧表、 もう一つは、それを利息制限法(50万の場合年利18%が上限)に再計算した場合のシミュレーション表。 その差は100万円以上あった(注:過去に100万近く借りていた時期もあったし、利息が30%以上の時期もあった)。 Kさんは裁判官に「利息制限法の金利を認めてください。 そして差額を現在相手から請求されている50万円から差し引いて、余りが出たらそれを返してください!」 と強く主張した。 信販会社側はこの時も「調査中につき欠席」。

しかし、 Kさんにこうも主張されたら、信販会社側としてもそのまま黙っている訳にはいかない。 次回、やっと信販会社側が法廷に出てきた。まず裁判官に「10年間の取引があったことを認めますか?」と聞かれ、信販会社はそれにしぶしぶ「認めます」と答えた。 次に、利息の話になった。 法廷の場ではほとんどの場合、利息制限法(10万以上100万未満の場合は年利 18%が上限)を前提に話を進めなければいけない。相手が主張している28%は通用しない。 したがって、信販会社側も、金利を18%に下げて (これでも法定の上限ギリギリ)、それを過去10年分に遡って、払いすぎた分を返さなければいけない。 信販会社側はこの一覧表をしぶしぶ提出。 結果、Kさんは今までの利息の払いすぎが認められた。
そして最終回。 その一覧表の細かい部分をひとつひとつチェックして、細かい間違いを修正され、最後に出た判決が、「○○信販会社はKに利息過払い金50万を支払え」とい うものだった。
Kさんは「50万円払え!」と訴えられたのに、逆に50万円取り戻すことに成功した。その差100万。 しかも弁護士を立てず、自分からも訴えを起こさず。 すべて受け身で。
翌月、Kさんの指定した口座に、信販会社から50万円の振込みがあった。 めでたしめでたし。

注 : これは全て実話ですが、人物特定を防ぎプライバシーを保護する為、金額や相手方の会社名などを多少いじくっています。(メールマガジン第2号より抜粋)

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