【経営再建の基本 (その1)】

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現在わが国では、赤字決算の企業が全体の6割−7割を占ると言われている。
しかもこの数字は、税務署に申告されている数字にすぎない。
多くの会社は中小零細企業で、銀行の融資などを必要としている手前、実態よりも見栄えの良い数字で申告していると思われるので、実際はもっと悲惨な内情にであると思う。

この不況下で黒字を出すのは大変。
ゼロから起業するのも大変な事だが、既存の事業が赤字体質化していくのを黒字体質に転換するのも非常に大変な事。 その意味では日産自動車のカルロス・ゴーン社長は本当にスゴイ。

さて、今回からしばらくの間、経営者向けのヒントを連載。

今回はまず、その第一弾として、経営再建のために社長さんがやらねばならない基本中の基本を書く。
資金繰りに悩み、倒産の恐怖と戦っている社長さんは、心して読んでください。
そして、今すぐに実行に移してください。 とっても簡単な事ですから。

<その1> 本業に専念すべし
「何だ、そんな事か」 と馬鹿にしてはいけない。
これが実行できないばっかりに自分の会社を倒産させてしまった社長さんがどれだけ多いことか。
日々資金繰りに追われていると、本業がおろそかになりがち。 これがあなたの会社の足を引っ張る最大の原因になっているはず。 おそらく全国何百万社ある中小企業の半数以上が、これを改善するだけで経営体質が大きく変わるはず。
しかしこれ、言うは易く行うは難しi。
それでは、具体的にどうすれば、社長さんが本業に専念できる様になるか、以下、ヒントを続ける。

<その2> 初心に還れ、本来やるべきことをやれ
これも1と同じです。
どの社長さんにも、必ず良い時代があったはず。 また、設立当初の夢や、長年培ってきた経験による 「これをやれば成功する」 という構想が、多かれ少なかれあるはず。 それを実行に移せば良い。 シンプルだ。
しかしそれが、日々の資金繰りに頭の中を支配されて、実行できずにいる。 実行しさえすれば成功できるとわかっているのなら、もっと強い意志を持って、多少の犠牲は覚悟で、それを実行に移さなければいけない。

<その3> 資金繰りに悩むな
これが最重要ポイント。 多くの社長さんは、この資金繰りに朝から晩まで頭の中を支配されているばかりに、本来やるべき事もできずに機能停止状態に陥っています。まるで金融奴隷のような状態ですが、これでは金融業者へもいつかは返済できなくなるので、全く悪循環。 誰の為にもならない。
これを防ぐには、自ら鉄の意志を持って、「資金繰りに悩むのはもうやめよう!」 と決意するしかない。 一時的に支払いや返済をやめれば、短期的には債権者に迷惑をかけるが、踏み倒すつもりでなく、経営再建のための返済ストップである事を説得すれば、金融機関や仕入先もある程度理解してくれるし、長期的にみて、債権者に迷惑をかけない最善の方法であるともいえる。
(具体的にどうやって支払いを止めるかは、私のHPのあちこちにヒントが散りばめられている。 また会員制のページを見ればもっと詳しく載ってる。)

<その4> ひとりで悩むな
まず味方につけるべきは、家族です。次に社員。次に取引先。
家族と社員には、混乱を招かない言い方を考慮しながら、なるべく正直に実情を伝えたほうがいいでしょう。 (見栄を張っちゃいけません。) そのうえで、自分がどうすれば経営再建できるか、何が弊害になっているかを、なるべく具体的に説明すべきでしょう。 もちろんこれは痛手を伴いますが、家族の団結力を生む意味でも、社員のやる気を確認する意味でも、非常に意味のあることです。
経営者は孤独な存在といいますが、孤独に悩むのは良いことではありません。
自分ひとりの会社だと思わず、関係者には力を貸してもらうつもりで、本当のことを話しましょう。

<その5> 他人に振り回されるな、迷走するな
複数の経営コンサルタントや弁護士などに無節操に経営相談をしまくり、振り回され、迷走している経営者も数多くいる。 まったく、相談料の無駄としか言い様がない。 こういう人は経営コンサルタント業界から見れば良いカモだが、本人の為にはならない。 我々はこういった社長さんたちを 「コンサル難民」 と呼んでいる。
一体、誰の会社なんですか? あなたの会社でしょう? 生かすも殺すも、あなた次第。 肝に銘じてください。 迷走していないで、ちゃんと舵取りしてください。
冷静に考えれば、自分が何をすべきかわかるはず。 もし冷静になれないなら、冷静に自分を見つめ直せるまで休憩してください。

以上、いたってシンプルで当たり前のことばかり書いた。
しかし、これがなかなか実行できないんです。
何度も言うが、実行さえすれば必ず再建できる重要ポイントばかりですので、あれこれ迷わず、実行してください。 その行動力が企業再建のカギ。(メルマガ34号より抜粋)

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