【「低利一本化」「即日融資」のうまい話には簡単に乗るな!】

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以前メールマガジンで、借り換えのいろいろな方法について紹介した所、大変多くの方から質問や相談がきた。 中には「実際に役所や銀行に行ってみたら、どうにかうまく借り出すことができた」という嬉しい報告もあったが、一番多かったのが「結局役所も銀行も何をやってもダメだった」とか、「○○というコンサルタントが融資斡旋しているが大丈夫でしょうか?」とか「どこか債務一本化してくれる業者を教えてください」とかいった切羽詰ったもの。 こういったメールは今でも毎日のように来ている。

私も借り換えを望むその気持ちは痛いほどよくわかる。 しかし何度も言っていますが、借り換えで現在の債務をそのまま返済にあてても、決していい事ではない。 一時的に楽にはなりますが、またすぐに債務が膨れ上がるのは目に見えている。 これは「借金依存症」という、一種の病気ともいえる。 あなたは借金に依存する体質が染み付いている。 それをどこかでバッサリと断ち切る必要がある。

一番いいのは、「借りて返す」という発想を捨てて、気持ちを切り替えて、「現在の借金を、一軒一軒話し合って減額交渉する」事。 現在の収入の範囲内で、無理のない返済方法に組みなおしてもらう。 利息もできるだけ安くまけてもらうの。 そのための話し合いの方法は、弁護士を通じて行うのが一番確実ですが(これを任意整理という)、他にも自分で比較的簡単・確実にできる「特定調停」という制度もあるし、また交渉力に自信があれば自分一人で業者と減額交渉する事もできる。

一番いけないのは、「債務一本化します」といううまい広告に目がくらんで、悪質業者に引っかかってしまう事。 これに引っかかってしまったら最後、骨の髄までしゃぶり尽くされるのでくれぐれも注意。

例えば、こんな広告には特に注意。
(1) 『債務一本化 − 低利10%、秘密厳守、独自の審査、500万円まで即OK、無担保無保証』
→ これは典型的なおとり広告。 低利10%、500万円まで即OKというのは完全なウソ、電話申し込み時点で「審査に通りました!」と言うが、実際に印鑑を持って契約に行ってみると、「あなたはやはり他社借入が多すぎるので貸せない。10日で3割、10万円なら何とか貸せるがどうか?」 などとひっくり返す。 もしくは、「うちでは貸せないが、よその業者を紹介するので、うちには紹介料をくれればいい」といって、他社を何社も回らせ(それもサラ金や悪質業者ばかり)、そのうえ紹介料として借入額の2−3割を取るといった業者。 こんなのに引っかかってしまったらもう終わり。 (それでも助かる方法はあるが、最初から手を出さないのが賢明)

(2) 『無料で多重債務の相談に乗ります。 また必要に応じて融資の斡旋や融資もします』
→ インターネットで時々見かける多重債務者救済相談のページ。 私と同業者みたいですが、中にはかなり悪質な所もあるので、気になる部分をひとつひとつ検証。

まず、無料相談。
これは何の問題もない。 しかし、無料と言っておいて実際には相談料を取ったとかいう場合もよくあるので注意が必要。 私も多重債務者の相談をやっているのでわかるが、多重債務相談は非常に手間と時間のかかる作業。 これを100%無料でやるには、相当な根気と、有り余った時間と、生活の余裕が必要。 あるいは手を抜いて、自分の知識の範囲内で答えるしかない。 質の高い回答をしようとしたら、資料や情報源を数多く持つ必要があるし、時間も取られるので、どうしても有料にせざるを得ないと思う。 しかし、相談で収入を得ると弁護士法に触れる可能性も出てきるから、そうならないよう、相談はあくまでもサービスの一つという位置付けにし、費用も運営上最低限必要な維持費程度にとどめなければいけないと思う。 (そういった意味で、私のところは有料の会費制とし、前もって費用を提示させて頂いている次第。 オプション費用など一切なしの明朗会計)

次に、融資斡旋や実際に融資を行うことについて。
融資には貸金業登録が必要。 登録業者でなければモグリといえる。
斡旋も同様に登録が必要。 斡旋料を取るかどうか確認して、取るなら登録業者かどうか確認する。 斡旋料を取らないなら、ただのボランティアなので違法にはならないと思うが、何か裏があることが多いので警戒する。 タダほど高いものはない。何か目的があるはず。 (後で法外な費用を取るとか、何か他の物を売りつけるとか、宗教の勧誘とか、ゆすりたかりとか、疑いだしたらキリがない)

また、ちょっと微妙な所では、たとえば公的機関から融資を受けやすくできる方法を教えるといったものがある。
この程度なら通常は問題ないが、もし成功報酬を取るような場合はちょっと問題がある。
実際、税理士や経営コンサルタントなどで、助成金や公的融資を受けやすく手配して、成功報酬をガッポリもらって稼いでいる所は結構ある。 これは時と場合によっては非常に利用価値があるので反対はできないが、注意してほしいのは、報酬がいくら(何割)なのか、前もってはっきりときいておくこと。 それ以外に費用がかかるかどうかも前もって確認しておくこと。 借入の際に名義の貸し借りなど、後々トラブルの原因になりそうなことは絶対しない事。

要は、うまい話には裏があると思って疑ってかかる事。 費用や条件等の事前確認をキッチリと行う事。 基本中の基本。
* 余談ですが、私は以前カネに目がくらんでいたある時期に、某ネットオークションで見かけた『経営者必見!確実に公的融資を引き出すノウハウ満載』 といった出品に飛びついた事がある。 1万円即決。 しかし、送られてきたのは、ペラペラのワープロ文書1枚と、公的金融機関の店頭に置いてあるパンフレットのコピーだった。 トホホ・・・

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