【年利29.2%以上は犯罪である!】

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「借りたものは返すのが当たり前。小学生でも知っていることでしょ!?」
「小学生でも借りたものは返しますよ!早く金を返してくださいよ!早く!!」

これは、ヤミ金が取立ての時によく使う文句。

しかし、当たり前の事だけで世の中が通用するわけがない。 このような脅し文句を使う人は、小学生レベルと言わざるをえない。 また、失礼ですが、このような脅し文句にいちいち脅えている皆さんも、まだまだ小学生レベルと言わざるを得ない。 借りたカネは「返す」もの。しかし、利息は「返す」ものではなく、「払う」もの。 これを混同しているうちは、まだまだ小学生レベルですよ。

気を悪くなさらないでください。私もつい数年前までは、小学生レベルの一人でした。 他の多くの皆さんも、きっとこの点については認識が甘いのではないでしょうか?
借りた金でも、返さなくて良い場合がある。
たとえ100万円借りて、一度も返していなくても、返さなくて良い場合がある。 一体どのような場合だろう?
たとえばヤミ金にあてはめて考えるなら、代表的なのは、出資法(年利29.2%)を超える高金利を取る目的で貸付が行なわれた場合。この場合、法的には返済義務がない。100万借りても、1円も返さなくても良い。なぜでしょう?

キーワードは、「不法原因給付」(ふほうげんいんきゅうふ)。
民法708条には、「不法ノ原因ノ為メ給付ヲ為シタル者ハ其給付シタルモノノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス」 とある。 これは平たく言えば、「犯罪の手助けになるようなお金は、返還しないでも良い!」 というような意味。

出資法の上限金利は年29.2%。(2000年6月以前は40.004%でした。) これは利息制限法の15%と違って、罰則が重く、刑罰の対象となる。 利息制限法は「民事」ですが、出資法は「刑事」。破るとタイホされてしまう。立派な犯罪。

この 「年利29.2%以上は出資法違反で犯罪であること」 は、警察の方も意外とあまり知らないようで、たとえば、10日で1割(年利に換算すると360%以上)の暴利を貪る闇金業者を相手に「出資法違反」で刑事告訴しても、なかなか告訴状を受理してもらえないのが現実です。多くの場合、警察へ行っても、「借りたのは貴方なんでしょ?」 「借りた金は返すのが当たり前じゃないですか」「警察は民事不介入なんですよ」などと言われ返されてしまう。 私も含め、このような経験のある方は多いでしょう。

まったくあきれた話。なにが民事不介入ですか!職務怠慢もいい所。 私の経験上、地方の警察署では残念ながらほとんどがこのような対応で、警視庁や闇金の多い所轄の警察署などへ出向いて、やっと告訴状を受理してもらえるといった有り様。

話を元に戻そう。
出資法違反の高金利は犯罪である。 警察に被害届を出すべし。
出資法を超える高金利で貸付を受けた場合、「不法原因給付」により、返済義務はない。
このような場合、借りた金を返さないアナタは悪くない。
これが真実です。 小学生と大人ぐらい違いますね!?

借りた金は返すのは、決して当たり前の事ではなく、時と場合によりけり。

これを読んで、人によっては、「借りたほうも高利を承知の上で借りたんだから同罪じゃないか!」と憤慨される方も多いと思う。ごく当然の感情だ。 しかし、多くの場合、高利貸しがダイレクトメールや新聞広告などで勧誘する際には、低金利を謳い文句に勧誘している。そして、いざ借主が申し込みをする段階になると、いろいろ難癖をつけて、法外な金利での契約を要求する。しかも実に巧妙なやり口で、断われないように仕向け、何が何でもムリヤリ借りさせる。これが高利貸しの常套手段。 この意味では、借りた人はまぎれもなく被害者。

また、百歩譲って、借りた人に落ち度があって、被害者と呼べないとしても、「貸す方も貸す方なら借りるほうも借りるほう」と決めつけて現状を放置するのは良くない。 それではいつまでたっても出資法違反の高利貸しは減らない。 しかるべき立場にいる方々が、毅然とした態度で、出資法違反の超暴利業者を撲滅させるべく、運動を起こさなければダメだと思う。でないと、わが国はいつまでたっても金融犯罪者の温床のまま。

警察も、弁護士も、司法書士も、クレサラ救済機関も、マスコミも、力のある方は皆、「出資法を超える高金利業者には、1円も返さないでいい」という頑なな姿勢で、被害者を救済すべきではなだろうか。残念ながら現在は、それを実践している人は、弁護士、司法書士、ボランティア団体などを含め、ごく一部しかない。警察にいたってはほとんど聞いた事がない。弁護士でさえも、「不法原因給付」で戦ってくれる先生はごく少数。 だから超高利の闇金融がこれほど異常繁殖する。 (闇金融の件数は現在、都内だけで6000件とも10,000件とも言われる!)

これを読んでいる皆さん、少しでも多くの人に、「借金は返さないでもいい場合がある」 ということを教えてあげてください。このことが広く知れ渡れば、ヤミ金融業者は儲けが少なくなり、自ずと消滅していくはず。 (メルマガ 2002年10月号より抜粋)

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