◆さて今回からは、少しずつ不動産関係の話題を増やしていきます。
誰にでも理解できるよう、できるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
まず、住宅ローンについて取り上げましょう。
いまだに多くの方が、
「住宅ローンの返済が遅れたら、すぐ競売になり」
「赤紙をペタペタ貼られ」
「家を失って」
「借金だけが残って、自己破産を余儀なくされる」
と思い込んでいます。
このため、何としても競売を避けようと、クレジットカードのキャッシングや消費者金融からの高金利の借入をしてまでも住宅ローンの返済期日を守ろうとし、その結果、多重債務状態に陥っています。
しかし、まずこの認識を改めないと、家を守りきることなど到底できません。
逆説めいた話ですが、あまり律儀になって能力以上の返済をキチッと続けようとすると、高利に手を出しやすくなり、かえって返済不能に陥りやすくなるものです。
逆に、少しマイペースになったほうが、無理な資金繰りに時間と労力を奪われず、仕事に専念でき、物事の本質を見据えることができますので、長い目で見て、借金完済が実現可能になり、大事な自宅を守り切ることができます。
◆住宅ローンの返済を少しでも遅れると、銀行はこう言ってきます。
(某大手都市銀行の督促状より抜粋)
「返済を遅れると、代位弁済になります。」
「代位弁済になると、14%の金利が適用されて、あわせて『一括返済』になります。」
「一括返済になると、自宅を任意で売却して頂いて、その売却代金で返済してもらう ことになります。もしくは裁判所で競売を申し立てることになります。」
「競売になりますと、ローンの残債よりも低価格で落札されるケースがほとんどです。
したがって債務額が多く残ってしまいます。また、申請して半年から1年程度時間が かかることもあります。」
上記の言葉には、たしかに嘘偽りはありません。
ローンの返済を滞ると、実際、このような流れで進められます。
◆しかし(ここからが大事!!)、上記の銀行の言葉には、
「ウラの意味」が隠されています。
たとえば、このような解釈をすることもできます。
・「低価格で落札されるケースがほとんどです」
→ 競売後の残債務は無担保債権なので、競売後は「競売しますよ」という取立て
文句は通用しない。はっきり言って、無担保債権 は借り手に開き直られたらオシマイ。(実際、競売で家を失った人はその後の返済が著しく困難になるし、気持ちの割り切りも早くなる傾向が強い。)
よって、本当は、競売で損するのは銀行のほうである。
・「競売は申請してから半年〜1年かかることもあります」
→ いつ、いくらで売れるかわからない。
もし売れても、回収までに長い年月と手間がかかる。
(注:競売申し立て手続きは時間も費用も大変かかる)
よって、銀行にとって競売は「できれば避けたい」回収手段である。
ムリヤリ競売を申し立てるのは、銀行にとって「損してでも切り捨てる(=略して「損切り」)に近い判断であるといえる。」
◆いかがでしょうか?
銀行も「損得勘定」で動いています。「感情」で動いていては銀行マンは勤まりません。
銀行はとっても「お堅い職場」です。でも、(特に民間銀行は)利益追求が優先されます。
よって、自行にとって不利益になる行為よりも、利益になる行為を選択します。当たり前ですね。
そしてまた、住宅ローンの延滞者に対してすぐに競売を申し立てることが、イコール銀行の利益にはならない場合も多々あります。
そのような場合、銀行は慎重に検討して、多少遅れながらでも毎月払ってくれる客や、大幅に遅れていても近い将来に遅れを取
り戻せる見込みのある客には、現状維持のほうが(競売よりも)「トクである」あるいは「不利益にならない」と判断し、競売しようとしないものです。
事実、私の事務所に相談に来る方で、住宅ローンの返済が遅れて半年以内に競売を申し立てられた人は皆無に近く、ほとんどの人は返済をストップしてから半年〜1年程度でやっと競売になるかならないかというところまで来ます。
中には返済を一切ストップしてから2年以上経過しても競売にならず、のらりくらりと任意売却の交渉を続けながら、自宅にフツーに住み続けている人もいます。
これは大きなヒントです。
もちろん例外はありますが、この仕組みを理解すると、いろいろな場面で応用がききます。
◆ですが、これは数あるヒントのほんの一つにすぎません。
「はたして、何が何でも競売を避けるべきなのか?」
「競売ってそんなに悲惨なのか?」
「あなたの自宅は、一生を台無しにしてまで守り続ける価値があるのか?」
「あなたの家の本当の価値(実勢価格)を、あなたは調べたことがあるか?」
「売却後の残債務は永久に残るのか?」
「不良債権処理って何だ?良いことなのか?悪いことなのか?」
・・・と、さらに頭を柔らかくして考えると、もっと明確に、解決の糸口が見えてきます。次号以降でこれを徐々に解説していきましょう。
(メルマガ 2004年11月17日 第84号より抜粋)
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