【100億円の借金よりも、1000万円の借金のほうが自殺しやすいという現実】
公式な統計を見たことがないのであくまでも私見ですが、借金の金額が10億、100億といったような超高額の方よりも、1000万とか1億と比較的小額の方のほうが、より深刻に悩んでおり、自殺率も高いように感じます。
我が猫次郎経営研究所は、おもに自営業や小企業の再生・倒産回避を目的として経営者の相談に乗っています。下は負債総額300万円の喫茶店の店主から、上は負債総額100億円近い小売チェーン店社長まで、実に多岐にわたりますが、その中で最も多いのは、負債総額3000万以上1億円未満、年商1億円前後、従業員数5名以下の自営業クラスの小企業経営者です。
ハッキリ傾向が分かれるのですが、負債総額10億円を超す「大物」は、深刻ではあっても、まずほとんど「死にたい」などと言いませんし、自殺未遂したという話も皆無です。 しかしこれが負債総額1億円を切る「自営業者クラス」になると、自殺未遂経験者や「死にたい」と漏らす人が急激に増えてきます。
今までに、自殺未遂の経験のある方と何人も接してきましたが、そのほとんどが、負債総額5000万円前後の自営業者か、負債総額数百万円レベルのサラリーマンや公務員や無職の方でした。
10億円以上の規模の社長さんたちは、たとえ倒産寸前状態であっても、意外とサバサバしているというか、腹がすわっているというか、全てを受け入れる姿勢が出来ていてジタバタしていないというか、そんな様子でした。
一体、この差は何でしょうか?
ひとつには、「返せる借金はツライ。 が、返せない借金は開き直れる」 というのがあると思います。 たとえば、100億の借金を抱えて経営破たんした場合、返せないのは誰にでもわかります。 しかし、これが300万の借金になると、たとえ経営が破たん状態になっても、自分も相手も「頑張れば返せるだろ!?」という気持ちが残り、無理してでも返そうとしてしまいます。これがプレッシャーになるわけです。
二つ目は、「大きな借金は有限責任。小さな借金は無限責任」 という点があげられると思います。 大組織の借金は、社長の個人責任というよりも、経営陣の責任という意識が強いものです。社長が連帯保証をしているケースも比較的少なくなります。 一方、個人事業や小企業の場合、経営者の個人責任という色合いが名実ともに強く、経営者個人がまず連帯保証しています。
三つ目は、「大きな会社は団体戦。小さな会社は個人戦」 という違いにあるのではないでしょうか。 大組織になればなるほど、重大な問題を個人で抱えることは許されず、役員会議や株主総会などで多くの関係者を集めて対策を講じます。このため、解決方法が導きやすく、個人の責任も分散化されやすいものです。 しかし、個人事業主レベルに近づくほど、重大な問題は経営者が一人で悩みを抱えがちで、また一人で悩むと解決方法も見つかりにくいので、経営者は独りで出口の見えない迷路を彷徨うことになります。 これは大変な差です。 一見すると大企業の社長のほうがプレッシャーが大きそうに見えますが、実際には零細のほうが(いったんピンチ状態に置かれると)重圧が大きいと言えるでしょう。
だとすれば、我が国の借金自殺者を激減させるためには、「自営業者を孤独から救い出すこと」 が最も重要な課題であると言えるでしょう。 具体的には、借金というタブー視されやすい話題を気軽に相談できる機関を増やることと、問題解決のための情報源を増やしてあげることが極めて重要であると思います。 自営業者は大企業の経営者と違い、ちゃんとした経営教育を受けていない場合が多く、情報も閉ざされがちで、比較的簡単な問題でも誤った方向に傾いてしまうことが多いですから。
我が国の経済的弱者救済制度は、意外とよく出来ています。上手に利用すれば、いかなる深刻な問題であっても必ず解決できるようになっています。 究極的には自己破産という「救済のための制度」があり、これによって救われますし、また自己破産までいかなくても、民事再生、個人再生、特定調停、任意整理、利息制限法引き直し訴訟、不良債権処理に伴うサービサー債権譲渡、リスケジュールなど、実にいろいろな手段があり、これらをうまく組み合わせることによって劇的に改善される可能性も十分あります。 それを知るか知らないかで、運命が分かれるといっても過言ではないでしょう。 それくらい、「知る」ということは大切なことなのです。 映画やドラマの悪いシーンを鵜呑みにするのはやめましょう。
このご時世です。最低限、社会教育として、「経済行為において、最悪の場合はどうなるか!?と」 ということだけでも知っておく必要があります。それだけで命が救われます。と 意外と皆さん知りませんね。知ってますか?学校や職場で教わりましたか?教わっていませんね?何だと思いますか?
経済行為における最悪の事態。それは、「破産」か「差し押さえ」でしょう。
しかし、破産も差し押さえも、イコール「悲惨」ではありません。 何も知らないのに思い込みだけで結び付けないでください。
ホームページや書籍上で何度も書いていますが、差し押さえされても赤紙は貼られません。根こそぎ取られることもありません。やられそうになったら、やらせておけばいいのです。
また、破産についても、破産状態になったら自ら自己破産すればよいのです。自己破産しても、最低限の預貯金や現金やちょっとした財産は残せます。借金がチャラになって、身軽になって再出発することは意外と良いことです。
想像力の欠如した人は破産した者を一方的に罵るかもしれませんが、気にせずマイペースで再起を目指せばよいのです。破産によって一度借金を踏み倒しても、あとで社会復帰して、納税や労働や社会奉仕などによって社会還元(罪滅ぼし?)すればよいのです。やり直しは何度でもききます。現在の破産制度はそういうふうに出来ています。
これが「最悪の事態」 です。
誤解を恐れずにいえば、経済行為はゲームのようなもの。ゲームオーバーはゲームオーバーにすぎません。命の終わりとは次元が違うのです。失敗はつきもの。失敗しても、何度でもやり直しましょうよ。
・・・と、このように 「最悪の場合でも決して最悪ではない」 ということを知識として知っておくことができれば、それだけでかなり自殺者は激減するはずです。 ついでに犯罪者やホームレスも激減するはずです。
(2005年6月3日)
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