【債権回収の極意】

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「売掛金が焦げ付いた」
「貸した金が返ってこない」
こういった事が原因で、借金生活に転落していった方も多いでしょう。
今回は、いつもと逆の立場で、債権をどうやって回収するかに焦点を絞ってみる。
普段借金で悩んでいる人も、たまには貸している側の立場にたって考えてみよう。

●債権回収方法1 <こまめに電話をかけて催促する>
→ これは即効性ナンバーワン。 毎日電話すると、相手は「こいつはうっとおしいから、早く払って静かにさせよう」という気になる。 貸金業者を例にあげると、銀行やクレジット会社はあまり電話かけないが、武富士やアコムのような消費者金融業界は、延滞者に毎日電話をかける。 延滞した翌日から、ほぼ毎日。 毎日電話を受ける側はたまったものではない。 これこそがサラ金業者の狙いであり、銀行よりも高い回収率を上げている原動力になっている。 債務者本人だけでなく、職場や自宅、実家などの電話番号も知っておくと効果倍増。

●債権回収方法2 <督促状を郵送する>
→ 文書だけだと効き目が弱いので、電話と平行してやるといい。 相手の職場や実家など、相手が嫌がりそうな場所に郵送すると効果倍増。

●債権回収方法3 <内容証明・電報>
→ 内容証明は普通の人にはそれなりに強いインパクトがあるので、効き目がある。 しかし、実はこれ、法的な拘束力は(実質的に)何も無いに等しいので、踏み倒し常習犯にはあまり効き目がない。 ちなみに内容証明1通出すのに、郵送料が1300円ぐらいかかるので、コストも馬鹿にならない。(配達証明なら400円ぐらいで済む。)
電報は古典的な方法だが、古典的なだけに新鮮味があり、受けたほうはビックリする。 なかなか効き目がある。

●債権回収方法4 <訪問>
→ こまめに訪問するのも良い方法。 但し、あまり長居しない様にした方がいい。 というのは、営業妨害とか何とか言われて110番通報されてしまう事もある、もっと怖いのは、あまり長居しすぎたり頻繁に訪問しすぎると、世間話や身の上話を聞く羽目になり、債務者に情が移ってしまう。 情が移ると、良いか悪いかは別にして、無理に回収しようとする気持ちが失せます、債権回収という目的を達成しずらくなる。

●債権回収方法5 <法的手続き − 裁判所の支払督促>
→ これも、何も知らない人に対してはかなり効き目がある。なにしろ裁判所から 「被告○○は○○万円を支払え」 と通知が来るのだから、普通の人はまずビビりる。 しかし、知っている人には怖くもなんともない。 被告(債務者)が裁判所からの書類に同封されている答弁書の用紙に、「金が無いから月々○○円の分割返済による和解を求む」とでも書いて返信すれば、裁判所は原告(債権者)に 「被告は○○円の分割を望んでいるが、どうか?」 と和解を強くすすめてくる。 そして小額分割で和解になってしまうケースが多数を占めている。 あるいは、両者とも譲らない場合は、当然のごとく、裁判が長引きくので、判決が出るまでの間は、一円も回収できない。 時間が恐ろしくかかる。 したがって、債権回収方法としては、脅しとしてはそれなりの効果があるが、即効性はない。

●債権回収方法6 <公正証書>
→ これは便利。 公証人役場で公正証書を作ってもらうと、そこに書かれているとおりに支払いをしなかった場合、裁判所の判決なしでいきなり強制執行できる。 しかし、公正証書を作るには、債務者の実印つき委任状や印鑑証明が要りますので、回収困難になった後でこれらを求めるのは困難でしょうから、事前に取っておく必要が ある。 しかし、金銭の貸し借りならともかく、商売の取引で公正証書を取るというのはなかなかできないも。 買い手の機嫌を損ねたくはない。 したがって、あまり現実的な方法ではないように思う。

●債権回収方法7 <強制執行>
→ 強制執行は誰でも勝手に出来るものでない。 債権者の手で勝手にやったら、それはドロボウになる。 動産差押えも、不動産差押えも、裁判所の執行官じゃないとできない。 それも、公正証書や裁判の判決のとおりに支払わなかった場合のみ、債務名義という、強制執行許可書の様なものが出来上がって、やっと強制執行の資格が得られる。 その後にも、長くて面倒な手続きが沢山ある。 予納金もかかる。 相手が遠方に住んでいる人だったら、その地域の地方裁判所まで出向いて、そこで手続きしなければいけない。 しかも、そうして気の遠くなるような手続きをしても、差し押さえたものが換金性のあるものかどうかわからないし、預金や給与差押えにしても、実際に押さえてみないといくら取れるかわからない。 空振りで終わってしまう事もザラ。 だから、これも回収不能の場合の最後の手段にしかならない。 (私は以前、商売で売掛金回収不能になった時に、その売掛先に訴訟を起こし、強制執行を試みたが、あまりにも手続きが面倒なので途中で止めた事がある。 そんな暇があったら、前向きに新しい商売に精を出した方がいいという気になる)

因みに、回収率の高い消費者金融業者は、電話や訪問による督促が殆で、強制執行など殆しない。

●債権回収方法8 <究極の回収方法!?>
→ これは私の持論だが、何をやっても債権回収できそうにない場合、いっそのこと 「債権放棄」 してしまって、以後、その相手と気持ちよくお付き合いを再開してしまうのがベストではないかと思う。 (あるいは完全な債権放棄ではなく、無期限に猶予するというのもいい。)

なぜなら、このようなケースの場合、まず間違いなく、他の複数の債権者からも追いかけられているので、そんな中で、気持ちよく債権放棄してくれるような債権者が現われたら、まるで神様のように感謝される事。 「この人にだけはいつか恩返ししよう」 という気になるはず。

そうやって、相手がピンチの時に良い人間関係を築きあげて、後で完全に生き返ったら、その時に初めて回収する。やんわりと、人間的に。

回収までに長い年月がかかると思うが、元を取れるばかりか、思わぬ副産物が得られるかも。 世知辛い世の中だからこそ、これは価値ある選択だと思う。

余談ですが、漫画「サラリーマン金太郎」の中で、主人公の金太郎が、パチンコ屋で見知らぬ薄汚い婆さんに「若いの、1000円貸してくれんかの」と頼まれて、金太郎が 「1000円じゃ勝てないだろ。1万円貸してやるから思い切ってやってみろ」 といって、見ず知らずの婆さんに、笑顔で1万円貸してやるシーンがある。 以後、その婆さんと金太郎はすっかり仲良しになるのだが、実は彼女は日本の実業界を影で牛耳るものすごい資産家で、後で金太郎の勤める会社が経営危機に瀕した時に、ポンと200億円もの大金を投資してやり、倒産の危機から救っている。 マンガチックだが、なかなか良い話だと思いませんか?(メールマガジン25号より抜粋)

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