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■■■ 借金で思い詰めている人へ、気持ちの切り替えのすすめ ■■■ みなさんは、商売や買い物で、値引き交渉というものをしたことがあるでしょう。 八百屋でダイコンを値切ったり、パソコンショップでおまけをつけさせたり・・・。 また、買った物に不満があれば、店にクレームをつけたりすることもあるでしょう。日常生活ではよくある行為ですよね? しかし、借金しているアナタ。 あなたは借金を「値引き」しようと思ったり、利息が法外に高いことに気づき、「クレーム」をつけようと思ったことはありませんか? ほとんどの人が「ない」と答えますよね。 なにしろ、契約書に サインしてるし、約束破ったらカードが使えなくなったり、ブラックリストに載っ たり、取り立てがきたりと、いろいろ怖いことが待っているので、貸金業者の言い なりになるしかないと思うのが普通でしょう。 同じ経済行為とはいえ、やはり買い物とはちょっと性質が違いますし・・・。 でも、それはちょっと不公平だと思いませんか? あなたは確かに金銭貸し借りの契約を結んだかもしれない。 しかし、相手は義理や人情で貸してくれたのではなく、あくまでも営利目的の商売として貸してくれたんですよ。 なのに、あなたは、自分の生活を犠牲にして、 毎日不安に駆られながら、無理して約束どおり返している。 高い利息までつけて。 私はなにも返すなと言っているわけではありません。 返せる余裕があるなら、 当然約束どおり返すべきです。 ただ、無理を重ねて、他所から借金を重ねてまで、 期日を守って相手に余計な利息まで払う必要があるのでしょうか? (真面目なヒトほど無理を重ねて返そうとする傾向がありますが・・・) あなたは貸金業者と絶対服従の奴隷契約でも結んだんですか? 違いますよね。 だったら、あなたはどんな条件で借金していようとも、それをもっと自分の都合の良い内容に組みなおしてもらえるよう、業者と交渉してもいいはずです。 相手に損させず、自分の負担も軽くなる、そんな妥協点があるはずです。 たとえば、利息25%が払えないから18%にまけてくれ、とか、そういう交渉を もっと堂々としてもいいはずです。 そう思いませんか? これは大きなヒントですよ。 頭の隅に入れておいてくださいね。 (メールマガジン創刊1号 −2001年2月−より抜粋) * 「利息制限法」では、100万円未満の貸金の利息の上限=18%に定めています。 100万円以上なら上限は15%です。 消費者金融や信販会社やその他ノンバンクでは、20−29.2%の利息を取っているところがザラにありますが(消費者金融はほぼ全社そうですよね)、これは「出資法」で定める上限金利29.2%には違反していませんが、利息制限法には明らかに違反しています。 罰則規定がないから、業者は平気で利息制限法をオーバーして貸し付けているのですが、いざ裁判となれば、これはほとんどの場合認められず、利息制限法の上限内に引きなおされます。 29.2%の上限が法律で認められるには、4つも5つもの難しい条件をクリアしていなければなりません。(2003年加筆) |
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「自力で」借金を解決することの重要性 ■■■ 一度破産や債務整理などを経験したことがある人が、また同じ過ちを繰り返すこと がよくあります。 一度痛い目に遭っているハズなのに、また懲りずに借金を重ねて しまう。 なぜでしょう? 私の知人の中にもそういう人が何人か存在するのですが、彼らに共通していえるこ とは、「すぐ他人に頼る」ことです。 たとえば、債務整理は全部弁護士に任せっきりだったとか、借金を誰かに肩代わりしてもらったとか・・・。 こういう人は自分が何故 借金を抱えてしまったのか、その根本的な原因がわかっていないまま誰かに尻ぬぐい してもらっているので、結局あまり懲りていない。だから同じ過ちを繰り返すのですね。 同じ過ちを繰り返さないためにも、自分の借金は(できるかぎり)自分で対策をよく勉強し、自分で決着をつ けることをおすすめします。 多少(かなり?)苦労しますが、後々のことを考えると、これは絶対 やったほうがいいです。 自分で借金解決しようとすることのメリットは、
また、読者の方からよく 「息子の借金をどうにかしたい」とか、「妻の借金を肩代わりして・・」という相談を受けますが、これも賛成できません。 本人が本当に懲りて反省し、「自分で何とかしなければ・・・!」 という気持ちにならないかぎり、また同じ過ちを繰り返してしまうでしょう。 これは大事なことですよ! (メールマガジン 第3号−2001年2月− より抜粋・一部加筆修正) |
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借金を減らす具体的方法いろいろ(基本編) ■■■ * これは2001年に書いたものです。法改正に伴い今ではあまり通用しないものもありますが、そんなに大きな変化はないですし、普遍的に通用することも半分以上占めていますので、あえてこのまま書き残しておきます。 方法1.稼いで返す これができれば何もいうことはありませんね。ただ、中には借金返済のために無理に無理を重ねて身体をボロボロにしたり、風俗業や犯罪スレスレの仕事に手を染めたりする人がいますが、ほどほどにしましょう。 心がけとしては大変立派なことですが、生き方としては不器用ともいえます。あなたの不器用な生き方のために、家庭や仕事や健康を犠牲にしたり、親しい人に迷惑をかけたりしていてはバカみたいです。 気持ちを切り替えてみましょう。自分は貸金業者のために働いているのか? 貸金業者の暴利のために無理な返済をしていないか?(返すのは合法的な範囲だけで十分!) 利息が高いところや取引期間が長いところに対しては借金を値切ることはできないか? 真面目な人ほど借金返済のために借金を重ね、多重債務に陥る傾向があります。そんな人は、少しだけずる賢くなったほうがいいと思います。頭を使いましょう。 方法2. 調停で減額する 「特定調停」という制度があります。これは2000年2月に施行したもので、返済に行き詰まった債務者が、事業の再建や生活の立て直しを図るために返済方法などを債権者と話し合う手続きです。 特定調停は従来の民事調停と違い、多重債務者を破産させないで再起させるための意味合いが強く、また調停する相手も「商工ローンだけ」とか「消費者金融だけ」とかいうように、自分で選ぶことができます。 実際、特定調停を申し立てる人のほとんどは、サラ金や商工ローン相手に 「29.2%近い高利を利息制限法の15−18%以内にまけてくれ」とか、「元金も過去に遡って、取引開始から今までに利息制限法以上に払いすぎた金額を全部計算して、その合計過払い金利を元金から引いてくれ」とか、「今後の返済方法についても、将来利息0〜数%にして、長期分割にしてくれ」 というようなものがほとんどです。 そしてほとんどの場合、利息制限法内に組み直され、長期分割返済にも応じてもらえています。 具体的には、商工ローンや消費者金融から長期間借り続けているような人だと、利息制限法と実際の金利との差が大きいため、だいたい5年以上も借りていれば利息制限法再計算で債務が半分かそれ以下(7年以上ならゼロに近い額)に激減するケースが多数です。 調停の手続きは自分でも簡単にできます。 費用も自分でやれば、カード会社5−6社相手で印紙代と切手代あわせて総額1万円以下で収まります。(弁護士に調停を頼んだ場合、債権者1件あたり2−3万 x 件数分、つまりトータル15−30万ぐらいかかるのが普通です。 私は特定調停なら自分でやることをおすすめします。自分でやる自信がなければ調停よりも後述する「任意整理」を選択するといいでしょう。) 裁判所というとなんか恐いイメージがありますが、調停を行う「簡易裁判所」は意外なほど居心地がよく、リラックスして話し合いできます。 調停の話し合いは狭い部屋で調停委員を介して進められます。調停で決まった内容は裁判の判決と同等の効力があります。 調停は破産と違って「借金を踏み倒す」手続きではありません。相手に損させずに、ちゃんと元金も利息も払って、無理のないペースで返していくための手続きです。 ですから何も卑屈になることはありません。 堂々と話し合うべきです。 (但しあまり喧嘩腰になったり強気になったりするのは良くありません。 丁寧にお願いするつもりで臨んだほうが無難です) 「特定調停で商工ローンの債務がゼロになった」 「特定調停でサラ金が半減した」 「特定調停で返済方法が大幅に楽になった」 ・・・という人は大勢います。 多重債務で悩んでいる人はまずこれを検討してみてください。 方法3.任意整理 調停や裁判に頼らず、弁護士に頼んで債権者と直接利息カットや返済方法組み直しなどを交渉してもらうことを任意整理といいます。弁護士が代理人になりますから当然うるさい取り立ても止みます。 利息制限法も認められます。 減額効果という点では特定調停とほぼ同じくらいですが、任意整理のほうがはるかにスピーディに話し合いに決着がつくというメリットがあります。 方法4.債権者とサシで減額交渉する これはかなり根性が要ります。 特にサラ金や商工ローン相手の場合は、多くの試行錯誤や、うるさい取立てを覚悟しなければなりません。 しかしこれは、お金には代えられない数多くのものを得ることができるかもしれません。 半年も業者とやりあっていると、交渉力や知恵が身につくだけでなく、人間としてかなりたくましくなっていきます。この場合、一人で戦うのではなく、仲間をつくって情報交換しあったり、2名以上で交渉に当たれば効果は倍増です。 方法5.民事再生法の個人版(通称「個人再生手続き」) 民事再生法は昨年からスタートしましたが、これの個人版みたいなものが今年(2001年)4月からスタートします。これは破産のような「清算型」手続きとは違い、債務者を「再建」させるための手続きです。 簡単にいうと、個人再生法は、
対象者は、小規模事業者やサラリーマンなど。 無担保の借金が総額3000万円を超えてないこと(担保つき債務は3000万円以上あってもかまわない)。継続的・安定的収入が見込めること。 破産寸前の人(破産の恐れがあることが認められないと適用されない。 ただ単に「返済が苦しい」というだけではダメ) これをうまく利用すれば、自宅を差し押さえられずに、借金を大幅に棒引きできるわけですが、手続きが厳格で難しいことや(綿密な再生計画案や予納金、収入、資産、債権者一覧などを提出)、ある程度の収入がないと認められないこと、余納金の額が比較的高いことなどを考えると、利用できる人は少ないように思います。 申立てにもかなりの手間を要し、再生委員などもマンツーマンで選任されますから、調停のように簡単にはいきません。 「とりあえずやってみよう」なんて軽い気持ちでやると、結果的に大損になりかねません。 また破産と同じように官報に載りますから(調停は載らない)、その点も考慮する必要があります。 再生決定後の返済先や支払いにも様々な制約を受け、「この債権者だけは裁判所に黙っておいて、こっそり返していこう」なんていうのも通用しません。 いずれにしても、これから始まる制度ですから、慌てて申立てしないで、しばらく様子を見てからにしたほうがよさそうです。 (注)上記文章は2001年の春に書いたものです。あれから5年が経ち、この個人再生手続きもすっかり定着しました。上限も「住宅ローンを除く5000万円まで」と拡大しました。利用価値大です。 方法6.自己破産 弁護士やクレサラ相談機関に多重債務の相談をすると、多くの場合「自己破産」をすすめられます。なぜでしょうか? 「多重債務を強引に断ち切るには破産が一番確実で早い」 「破産して全てリセットしたほうが、より早く再起できる」などといった考え方によるものです(ダラダラと交渉が長引くよりも、サッサと破産してしまったほうが弁護士さんとしても効率よく仕事しやすいという側面もあるにはあります)。 私も破産そのものには否定的ではありません。 破産は法律でちゃんと認められた制度ですから、今後収入の目処がまったく立たない人や、致し方ない事情で借金が増えてしまって、早く借金苦から開放されたいと思う人などは、大いに利用すべきと思います。 破産したからといってあまり極度に卑屈になる必要はありません。 破産によって被るペナルティーも意外なほど少ないものです。 しかし、ある程度収入のある人や、資産を持っている人、高利の借金を何年も抱えている人などは、慌てて破産しないほうがよいと思います。 高利の借金なら利息制限法で元金を大幅に減らせますし(うまくいけばゼロになったり、払い過ぎた利息を取り戻せることもあるので)、また不動産担保の銀行の借金なら担保を取られて実質チャラになることも多いからです(また、不動産競売にはとても時間がかかりますから、その間ゆっくり住み続けることができます)。 調停にしても裁判にしても強制執行にしても、手続きにはとても時間がかかります。 その間は、しつこい取り立ては来ませんし、あわてて返済を再開する必要もありませんので、この法的手続きをやっている期間をフルに利用して、じっくりと自分の生活や仕事を立て直せば、うまくいけば仕事も急ピッチで回復し、返済能力が回復するかもしれません。そして返済をもとどおりに再開すれば、競売を取り下げてくれることも十分可能です。実際そういうケースは多数あります。 強制執行や法的手続きを恐れず、じっくり向き合いましょう。 自己破産はその後で考えても遅くありません(最終的にはアナタの判断しだいですが・・・)。 方法7. 夜逃げ これは最悪の選択です。かえって高くつきます。労力も半端じゃありません。 一生気持ちが安らぎません。家族にも不安を与えます。 住民票も健康保険もうかつに動かせません。絶対やめましょう。 借金取りというのは犬みたいなもので、逃げれば逃げるほど執拗に追いかけてきます。逆に、開き直るとおとなしくなります。 借金そのものは犯罪でも何でもないのですから、逃げたりせず、ちゃんと堂々と話し合いましょう。 方法8.踏み倒し・放置・開き直り 世の中には何億円、何十億円もの借金を抱えていても、破産もせずに堂々と開き直っている人が結構います。 道義的にみれば最低の行為に見えなくもありませんが、真面目に悩んでいる多重債務者から見れば、少し見習うべき点があると思います。 どうして何億円もの負債を抱えても平気でいられるのでしょうか? こういう人種は、マイペースで、時としてルーズで、人目を気にせず、執着心がなく、何かを失うことをあまり恐れません。 これをこのままマネしたのではただのアウトローで終わってしまいますが、このうち良い部分(人目を気にしない、物に執着しない、マイペース)だけを見習ってみるのはどうでしょうか? 「借りたものは約束どおりに何が何でも返さなければならない」という既成概念を、少しだけ変えてみて下さい。 利息=相手の儲けです。 高利=ボロ儲けです。 貸金業者のボロ儲けのために、あなたが無茶な金策に走り回ったり、夜逃げしたり、夜の商売に手を出したり、自殺したりする必要があるのですか? 方法9. 借り換え、一本化(おまとめローン) これは慎重を要します。一歩間違えば、取り返しのつかないほど多重債務が膨れ上がります。 多くの人がこれで失敗しています。 他所から借りて、それをまるごと返済に充てても、また貸金業者から執拗な勧誘(増枠しました、利息を下げます、等…)が来るので、よほど意志の強い人でなければ、またすぐに借金が増えてしまいます。 もし運良く多重債務のアナタにどこかの銀行が低金利でお金を貸してくれたとしても、それをそのまま高利の返済にあてないでください。利息制限法で圧縮してから返済し、残りは生活立て直しのために大事に使うとか、いちど完済した高利の借金はカードにハサミを入れて返却し解約するとか、徹底した断ち切りが必要です。 あなたは既に重度な借金依存体質なのですから。 (メールマガジン 2001年第9号から抜粋) |
■■■ 借金して良かった!
と思うこと ■■■ 私は20代半ばまでは、借金なんて一度もしたことのない潔癖青年?でした。 まあ厳密にいえば、車をローンで買ったり、カードで買い物をしたりしたことはあるので、借金経験ゼロとは言い切れませんが、キャッシングのような、いわゆる現金を借りる行為は一度もしたことがありませんでした。 高給サラリーマンで、ギャンブルも派手な遊びもやらなかったので、貯金もそこそこありました。 あまり挫折らしい挫折をしたこともなく、たいていの場合、努力が報われて、勉強でも仕事でも、頑張ればそれなりの成果を得ることができたので、周囲で仕事や受験や結婚などに失敗した人を見ると、「失敗者=だらしない奴」と決めつけてしまうような、とても傲慢な面もありました。 しかし、ホームページの体験記に書いたように、ちょっとしたきっかけで借金ができてしまい、あれよあれよという間に貯金もなくなり、借金が膨れ上がり、気がついたら何千万もの高利の借金を抱え、誰がどう見ても破産か夜逃げしかない状態まで追い込まれました。 そして、とにかく悩み苦しみ、卑屈になり、一時は精神状態もかなりおかしくなり、思い詰めて自殺まで考えたことも何度かありました。自殺マニュアルや生命保険の契約書などもよく熟読したものです。 しかし、一人で悩むのをやめて、恥をしのんで周囲のいろいろな人にオープンに相談するようになってから、しだいに自分の悩みを冷静に分析できるようになってきました。また同時に、恥をさらすことで、性格的にもだんだん図太くなってきました。今では、お金の悩みぐらいで自殺するなんて考えられません。 (自分が死んだって、債権者も誰も喜んでくれませんしね…) その後、とにかくがむしゃらに働き、同時に借金解決のための情報収集と勉強を猛烈にしました。 借金解決のヒントになりそうな本(経営・財務・法律などの実務書から聖書や論語まで)を片っ端から読み漁り、借金の無料相談や法律相談のコーナーがあれば片っ端から出まくり、そうこうしているうちに、自分のおかれている状況を冷静に分析できるようになり、何をどうすれば改善できるかがわかるようになってきました。 そしてそれを実行に移しました。 こうした経験が、現在の私にとって、かけがえのない財産になっています。 まだ借金は残っていますし、改善しなくてはならない仕事上の問題も山積みですが、現在では胸を張って、「俺はこうやって借金の問題と正面から取り組み、自力で解決しようとしているんだ。この姿勢を見てくれ!」と、堂々と自分の生き様を見せることができます。 借金地獄を体験し、それと戦う努力をしてきたことで、本当に多くのものを得ることができたと思っています。 人間、失敗は誰にでもあります。 成功をおさめたエライ人でも、多くは過去に何度もの失敗を重ねています。 大事なのは、「失敗しないこと」ではなく、「失敗したときに、それとどう向き合うか」 ではないでしょうか!? (メールマガジン12号より抜粋。2001年) |
■■■ 借金は排除するものではない ■■■ あなたは、自分の子供が成長したとき、 「借金はコワイものだから、大人になっても絶対にするな!」と言いますか? 私が親だったら、そんなことは言いません。 借金に対して全く免疫のない人間に育ってしまうほうが怖いからです。 それよりも、「借金といかに共存するか」を、じっくり教えます。 私は借金そのものは「悪」だと思っていません。 ただ、業界のあり方や消費者の利用の仕方に大きな問題があると思っているだけです。 「借金」は、我々の日常生活にとって、切っても切れないものです。 住宅ローン、クレジットカード、店の開業資金、会社の運転資金など、必要不可欠な借金は いっぱいあります。 しかしその割りには、我々はあまりにも借金という行為に対して無知、無防備すぎます。 借り手が無知、無防備だから、安易にテレビCMに出ているようにキャッシングして多重債務に なったり、利息制限法と出資法の間のグレーゾーン金利なんてものがまかり通ったり、株式上場している金融会社が奴隷みたいな契約を当たり前のように顧客に要求したり、借金苦で自殺 や犯罪に走ったりする人が後を絶たないのです。 残念ながら、今の日本には借金の悩みを解決に導いてくれる専門家の数も圧倒的に少なく、 マスコミでもまともに取り上げてくれる事はごくわずかです。 今、我々にとって一番大事なことは、「借金といかに上手く共存し、賢い利用者になるか」 を自ら学習することと、それを子供たちにも教えることだと思います。 たとえば、 「安易にキャッシングに走ってはいけない」
といった基本的なことから、「連帯保証人にはなるな」 「契約書 の文面は隅々まで目を通せ」 「返せるあてのない借金はするな」 「利息の高いところからは借 りるな」 「収入と支出のバランスを長期・短期的によく考えて、計画的に借りろ」 「信頼でき る業者から借りろ」 「怪しい業者とは関わるな」 「借りたものは返す強い意志を持て」 「止むを得ない理由で返せなくなったらどういう手を講じるべきか」
等といったサバイバル術まで、学ぶべきことはいっぱいあります。「返せないとどういう目に遭うか」 「弁護士、貸金業協会、裁判所などの利用方法」 「取り立てで禁じられている行為」 「返さなくてもいいグレーゾーンな部分」 我々ひとりひとりが賢くなれば、業者もやりたい放題では通用しなくなり、しだいに自然淘汰 されていくことと思います。 (メルマガ14号 2001年夏 より抜粋) |
■■■ カードのない生活
■■■ 私は現在なぜか2枚のクレジットカードを保有していますが、ここ1年間全く使っておりません。(そのうち解約しようかと思っています) 昨年から約1年間、カードを封印して、カード無しでどこまでやっていけるかチャレンジ中ですが、今のところ、全く不便は感じていません。 以下、私なりに試した結果を報告します。 プロバイダー: 銀行引き落としできるところが山ほどあるので全く問題なし。 ネット通販 : 銀行振込みか代引きのどちらかで全く問題なし。 コンサートチケット予約: 一部人気アーティストの先行予約などで、カードが必要な場合もあるらしいが、私の場合、音楽の趣味がマニアックなので必要なし(笑) 安い電話回線: 市外通話の安い電話会社が、クレジットカード決済しか受け付けていないので、それにどうしても入りたい人は不便かもしれないが、私には関係なし。 海外通販 : カード決済を要求してくるところが多いが、メールで交渉してみると、意外にも外貨送金でもOKですよと返事をもらえることが多い。 日本から海外の銀行口座へ送金する場合、一番安上がりなのは郵便局の国際送金サービス。これだと、たとえば10万円以下の金額をアメリカへ送金しても、手数料700円−1000円しかかからない。 (送金回数が多い場合は、やはりカード決済のほうが安上がりだけどね) 海外ホテル : アメリカでもヨーロッパでも、チェックイン時にパスポートを提示して前金を支払えばほとんど問題なし。 中には外国人にはカードがないと泊めてくれないホテルもあるようだが、少なくとも私はそんなホテルには泊まったことが無く、現金だけで全く不自由していない。 (ちなみに私は輸出入に携わる仕事をしているので、結構頻繁に海外出張に出ている) 海外レストラン: これも全く問題なし。 海外レンタカー: これだけはカードがないとちょっと不便。 カードを持っていない人は、同行者にカードで車を借りてもらうしかない。 でも、日本人が海外でレンタカーをどうしても必要とする場面って、まずほとんどないでしょう!? …というわけで、どうしてもカードが必要な場面なんて、ほとんどありません。 無ければ無いで、どうにかなるものばかりです。 確かに一枚もカードがないと不安だと思いますが、 べつに無くても、まったく何の不自由も無く、普通どおりの生活ができますし、 海外でも(海外出張ぐらいなら)カードが無くても思ったほど不自由しません。 また、海外に長期滞在する人だったら、海外で銀行口座を開設して、そこに何十万か 預金を積んでおけば、わりと簡単にクレジットカードを作ってもらうことができます。 (この場合、日本のブラックリストは全く影響しません) カードが無いと社会的信用を失うという強迫観念がある方や、いつまでたっても自転車操業を繰り返している方は、ちょっと冷静に考えてみてください。 (メールマガジン17号 2001年 より抜粋) (注) 以上はあくまでも私の個人的データですので、もし読者の方で、カードが無いとどうしても不便だという方がいましたら、ご意見をおきかせください。 → これを書いてから10年以上になりますが、今まで一度も反論をもらったことはありません。やっぱりカードなんてなくても平気です。 |
■■■ ブラックリスト
■■■ よくブラックリストという言葉が使われますが、厳密に言うと、ブラックリストなるものは存在しません。 日本国内の金融機関や貸金業者や信販会社等(=金融系)が加盟しているいくつかの個人信用情報機関があるのですが、これらに登録されている個人情報の中の、おもに長期延滞者や自己破産者、債務整理者などの記録を業界内で「事故情報」とか「異動情報」と呼んでおり、これが我々シロウトの間で俗称として「ブラックリスト」と呼ばれているにすぎません。 また、よくブラックリストを前科者のように思っている人がいますが、とんでもありません。 日本国内の加盟している金融業者が与信審査をするときに見るだけですので、クレジットやローンの世話になるとき以外は、実生活上ほとんど何も影響はありません。 国内の主要な信用情報機関には下記のようなものがあります。 シー・アイ・シー(CIC) : http://www.cic.co.jp/ カード系信用情報機関の最大手。銀行系、信販会社計、流通系などを問わず、クレジットカードはまずCICを使っていると思って間違いない。(カードの入会申込書を読むと、どこの信用情報機関に加盟しているか詳細に書かれていますが、CICは必ず入っています。) CICの情報は、1ヶ月単位でかなり細かく記録されている。毎月の返済状況が、$マークやAマークなどで小刻みに記録されている。事故情報は「異動情報」と呼んでいる。異動情報は、登録されてから通常5年ほどで消える。 但し、異動情報の保有期間や登録の基準が時々変わることがあるので、詳しくはCICのホームページを定期的にチェックするほか、心配なら自分自身の個人情報を開示請求して確認したほうがいいかもしれない。 開示は本人(または本人が認めた代理人)に限り、請求できる。本人が認めない限り、第三者が開示請求することはできない(これは他の信用情報機関でも同じ) 銀行系や消費者金融系とは、CRINというシステムをを用いて、「事故情報のみ」を3者間で交換しあっている。(尚、2009年6月以降は事故以外の情報も部分的に交換しあう可能性が濃厚となりつつある) 全国銀行個人信用情報センター : http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/ 銀行系。銀行のほか、政府系金融機関、農協、信金、一部のカード会社なども加盟している。 事故情報の登録の基準は、CICとよく似ている。詳しくはホームページで研究されたし。 ひとつ特徴的なのは、他の信用情報機関は事故情報が載ってもいちいち知らせてくれないが、ここだけは、事故情報が登録されるとご丁寧に本人宛てにハガキを送ってくれること。 だから銀行系だけは、自分がブラックになったかどうか、いちいち照会しなくてもわかる。 CICとはCRINで事故情報を交換しあっている。 日本信用情報機構(JIC) =旧・全情連 : http://www.jicc.co.jp/ 消費者金融・商工ローン系。 全情連とテラネットが統合して、2009年4月からこの名前になった。 クレジットカードや信販や預金業務などを扱わないいわゆる「貸金業者」が主に加盟している。 加盟業者数ではどの信用情報機関よりも多い。 事故情報の基準は、CICや銀行系と比べるとやや変わっている。たとえば、もし債務整理しても、完済しさえすれば、完済後1年で事故情報が消えるとか、逆に自己破産の場合はCIC等よりも幾分長く残るとか・・・。但しこれは今後も変わる可能性があるので、詳しくはホームページで研究されたし。 CICと全国銀行個人信用情報センターとは、3者間でCRINというシステムを用いて事故情報を交換しあっている。 CCB : http://www.ccbinc.co.jp/ どちらかというとクレジットカード系だが、銀行系や外資系、消費者金融系も幅広く加盟している。(但し加盟業者数自体はCICよりも少ない) 。クレジットカードの多くがやはり使用している。外資系や信販系が多い。一部の消費者金融も使っている。 CCBだけは独立系で、どこにも属さず一匹狼的に運営している。CRINで他所の信用情報機関と交流することもない。 事故情報を登録する際の基準は、CICのそれとよく似ている。詳しくはホームページ参照。 テラネット : 今はない。もともと全情連の系列だったが、2009年4月に統合されて日本信用情報機構となった。 以前はこれらの情報機関は、相互の情報交換を、長期延滞者や自己破産者などのいわゆるブラック情報のみに限定して共有しあっていました。 (これをCRINと呼ぶ) このため、事故のない顧客については、相互の情報が全くわからず、例えばサラ金から借りていても銀行にはなかなかバレずに済みました。 しかし・・・、2007年より段階的に施行されている改正貸金業法にあわせて、信用情報機関への加盟の義務付けや、貸付上限金額を徹底させるための信用情報機関の機能強化が求められるようになったこと等もあり、2009年春ごろからは、金融事故のない人の借入情報(ホワイト情報)までもが、銀行系・クレジット系・サラ金系の垣根なく情報交換されようとしています。 このため、たとえ事故がなくても、消費者金融をつまんでいる人は住宅ローンが組みにくくなったり、クレジットカードを作りにくくなる恐れがあります。 また、そうでなくても、もともと銀行には、消費者金融等からの借入情報をうまく引き出す方法があります。 たとえば、銀行がよくやっている無担保の小口ローンは、銀行が100%リスクを負っているわけではなく、信販会社や大手消費者金融が「保証」していることが多いことはあまり知られていません。表面上は銀行が貸していますが、実質的な審査は保証している信販会社や消費者金融が行っているので、うっかり申し込むと、その銀行にあなたのサラ金情報がばれてしまうこともあります。(これは申込書を見れば容易にわかります) 信用情報機関に載っている情報は、本人にかぎり、無料で自分の情報を閲覧させてもらうことができます。 気になる方は、CIC、CCB、JIC、全銀協の各ホームページがありますので、そちらへ飛んで自分で調べてみてください。面白いですよ。 借入先名、融資枠、残高、事故の有無だけでなく、カード申し込みの有無(申込情報)も記録に残るので、短期間に沢山カード申し込みをして落とされたなんていうのもわかってしまいます。 私のまわりにはブラックリストに載っている人が大勢いますが、みなさん「実生活には全く不便していない」「会社経営上も問題ない」と口を揃えて言っています。 それどころか、「ブラックになってしまったおかげで吹っ切れた。 おかげで借金に依存しない体質になれた」 と喜んでいる人のほうが私の周りでは多いのが現実です。 また、これはあまり大声では言えませんが、ブラックになって1−2年でクレジットカードが作れたという人も結構います。 カード会社にとっては、信用情報というのは数ある審査項目の一つに過ぎず、その他の審査項目である収入や職業や資産などと合わせて「総合判断」しているので、ブラックだからといって100%審査NGになるわけではありません。(住宅ローンも同様です) いずれにせよ、ブラックリストにはあまり神経質になることはありません。 それよりも、借金に縛られない生活を目指すことのほうが大切です。 (以上、原文はメルマガ2001年第26号ですが、以後、時代の変遷とともに何度かにわたって修正しました。) 追記1: ブラックリストについてはその後も研究を進め、2005年4月には宝島社から「ブラックリストなんて怖くない」という本を出すに至りました。これはおそらく日本で唯一のブラックリスト研究書です。(但し2009年までに完売し、現在では古本市場でしか入手できなくなっています。また、2005年と2009年以降では市場環境も法制度も何もかも大きく変わってしまいましたので、今ではこの本に書いた内容は7−8割しか通用しなくなっています。2009年秋頃に新しい本を出す予定がありますので、そちらをご期待下さい。 追記2: 2009年6月発売の新刊本『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)という本の3章と5章でも、ブラックになっても「車」や「住むところ」や「子供の進学費用」や「生活資金」や「ETCカード」「VISAカード」等は全く不自由なく使えることを詳しく書きました。ご興味ある方はどうぞお読み下さい。 追記3: 2005年1月から2009年6月まで開設していた「ブラックリスト徹底研究のページ」(掲示板つき)は、掲示板の管理が大変なことと、内容が古くなってしまったことなどの事情により、一旦閉鎖することにしました。 また機会があればリニューアルしたいと思います。 |
■■■ 自己破産について
■■■ 昨年(平成12年)の自己破産申し立て件数は、なんと14万人を突破しました。 これは平成11年の12万人、平成10年の10万人を大きく上回る、過去最高の件数であることは言うまでもありません。 バブル期は年間2万人にも満たなかったそうですので、ここ2−3年がいかに異常な事態かわかりますね。 今年(平成13年)はさらに増え、15−16万人を軽く越えることが予想されています。 自己破産は借金に悩む人たちにとって最後の手段であり、大変便利な制度です。 なにしろ、全ての借金を合法的にチャラにできるのですから、今まで地獄の苦しみを味わっていたのがまるでウソのように、一気に借金生活から開放され楽になります。 私は自己破産には決して肯定的なほうではありませんが、かといって否定的でもありません。 弁護士さんが多重債務者にしきりに自己破産を勧めたがる理由もよくわかります。 しかし、どちらかというと、私は自己破産にやや否定的な態度をとっています。 私が自己破産にやや否定的な理由は、
少なくとも、ある程度安定収入のある人や、将来性のある商売を持っている人、高利の借り入れ年数が5年以上ある人は、安易に自己破産を決めず、いろいろ情報収集して、他の方法も考えるべきだと思います。 一方、私が自己破産に肯定的になる場合もあるのですが、それは、
自己破産は法的に認められた立派な制度ですから、何も卑屈になることはありません。 どうしようもないと判断した場合は、堂々とやってください。 全てを犠牲にして、無理に無理を重ねてまで返す必要はありません。 自己破産は生活をリセットするには最強の方法です。 全くゼロからの再出発をすることができます。 これはこれで、ひとつの選択肢として良い方法だと思います。 しかしそれでも、「自分には本当に自己破産しかないのか!?」 と、とことん考え抜く必要はあると思います。 (注) 私は自己破産手続きの専門家ではありません。 逆に、自己破産しないで借金地獄から脱出するための知恵を日々探究する、極めてあきらめの悪い人間です。したがって、自己破産の手続きに関する細かい質問は受け付けられません。 自己破産に関する資料は、書店や図書館などで簡単に手に入りますので、御自分で研究してみてください。あるいは最寄の弁護士会や司法書士会に相談予約を入れてください。 (メールマガジン27号より抜粋) |
■■■ 借金の国際比較
■■■ 前回メルマガで紹介した『新潮45』2002年9月号の「銀行をギャフンと言わせる方法」(加治さんが執筆したもの)について、さっそく多くの方から感想を頂きました。 「痛快」「読んでゾクゾクした」「興奮した」「希望が湧いてきた」など大反響でした。 さて今回は、上記の『新潮45』に書かれていた日本とアメリカの借金比較に感化されて、私も日本と海外の借金に対する比較を書いてみたいと思います。 本を読みかじって身に付けた断片的な知識にすぎませんが、読者の方の意識改革にお役に立てれば幸いです。 【金利】 ドイツでは市場金利の2倍を超える利息の受け取りを禁止されているという。(このためドイツには消費者金融のようなものはなく、概して非常にお金を借りにくい。) フランスでは市場金利の3分の4倍まで。 アメリカでは州によって法律が違い、消費者金融やクレジットカードでも年利4%台から45%まで幅が広いが、だいたい銀行金利の4倍ぐらいが小口金融の相場のようだ。 日本でも、江戸時代は年利20%くらいが上限だったようだ。(参考文献:『金貸しの日本史』) 明治時代も現在よりは低利の水準だった模様。戦後の高度成長期になって、資金需要がひときわ旺盛になった頃から、どうやら高利が定着してしまったようだ。 韓国は、IMFの勧告により利息の上限を撤廃したが(1998年)、たちまち暴利金融とその被害者が増大したため、2002年に上限金利を66%までと定める法律を施行した。勧告での多重債務問題は日本並みに深刻で、自殺者も日本ほどではないが多いという。 超高利(10日で1−3割)のヤミ金融がこれほど多くのさばっているのは現在では日本だけ。アメリカではそんな高金利に借りるのは不合理だからさっさと諦めて自己破産するだろうし(自己破産は救済制度として積極的にとらえられている)、フランスでは高利貸しのような公序良俗に反する業者がいると世間や近隣の人たちがそれを許さず追い出してしまうという。 【多重債務救済】 アメリカでは弁護士の数が100万人以上いる。(日本は弁護士が2万人程度。) また、アメリカでは非営利組織の多重債務救済団体が多数あり、消費生活全般におよぶカウンセリングから貸金業者との減額和解交渉や返済代行までやってくれる。 アメリカ最大手の非営利組織"CCCS"は全米に4500箇所もの拠点がある。 カウンセリングから業者との交渉、はては高校の家庭科の授業に派遣されてクレジットの講義などもしている。 一方、日本では弁護士以外の消費者救済組織はまだまだ未発達で、安心して頼れるところはほんのわずかしかない。(司法書士が今後権限拡大されて期待されるが・・・) また日本では、経済的失敗を未然に防ぐための家計アドバイザーはいるが(リスクマネジメントやファイナンシャルプランナー等)、しかし、「失敗したらどう対処するか?」について明確にアドバイスできる人は非常に少ない。 しかし最近では、「失敗学」がマスメディアで脚光を浴びつつあるので、これは非常に良い傾向だと思う。 今後に期待したい。 (私もその一端を担いたい) 【ブラックリスト】 日本では自己破産後7年間は信用情報機関に記録が残り、多くのクレジット会社がこの期間のカード発行を拒む。つまり破産したら7年間カードが作れない。 アメリカでは自己破産者が年間100万人以上もいるが、破産直後のカード発行にも意外と寛容な(というか硬直的でない)場合が多い。 破産後のカード発行にあたっては、最初はデビットカードのように銀行残高の範囲内でVISAやMasterカードが使え、徐々に実績を積みながら(クレジットヒストリーの積み上げ)、信用枠が拡大するものが多いようだ。合理的。 【自己破産】 アメリカでは早めに諦めて自己破産する傾向が強い。 2万ドルぐらいの負債総額で自己破産するケースが多いとか…。アメリカの自己破産者数は年間140万人。(日本は15万人位)単純計算すると、10年間で1400万人が自己破産していることになるから、全国民の何割かは自己破産経験者ということになる!? ドイツではアメリカや日本のように簡単に自己破産/免責はできない。免責に至るまでの過程で、任意整理のような弁済手続きを試みる必要があるという。また免責になっても7年間は債権者に支払わねばならないという。厳しい。 日本ではアメリカ並みに簡単に自己破産−免責ができるが、ギリギリまで頑張って多重債務がパンパンに膨れ上がってから自己破産する人が多い。 また自己破産に対する考え方も、アメリカのように「借金チャラにしてゼロからやりなおす! 踏み倒した借金はこれからガンガン稼いで社会に還元することで償う!」という前向きなものではなく、どちらかというと、「人生の落伍者」のレッテルを貼られたような、悲壮感いっぱいの気持ちでいる人が多い。 【連帯保証人】 アメリカでは連帯保証人制度などという、「連帯」して借金の「全」責任を負うようなバカげた制度はないという。 (昨年夏のメルマガにも書きましたね・・・) せいぜいCo-Signerという、いわば身元保証のようなものや、会社経営者の個人保証(連帯保証ではなく普通保証)程度しかないようだ。 アメリカは民主主義=自己責任が徹底された社会なので、貸し手の審査能力が厳しく問われるし、貸し手が借り手を不幸にさせるようなアンフェアな契約を締結させることも許されないし、ましてや第三者に債務を無条件に連帯保証させるなんてことは道義的に考えられないということだろうか。(ソニーがアメリカで株式上場したときも、役員が個人保証しているのを厳しく指摘されて、個人保証を外すよう強く求められたとか・・・) たとえば極端な例え話だが、「医者のA氏が心臓移植手術を成功させられなかったらA医師の友人のB氏にも連帯責任をとってオトシマエをつけてもらう」 なんていう誓約書があったとしたら、B氏はそれにサインするだろうか? まずしないだろう。 だってB氏にはA医師の心臓移植手術の腕前なんかわからないし、手術する患者の容態や手術の難易度もわからないのだから。 わからないものに闇雲に連帯責任を負うほどバカなものはない。 それと同じことを強要しているのが日本の金融機関であり、そんな不条理な連帯保証契約に署名捺印している愚か者が私たちなのだ。(私もそんなオロカモノの一人だった。) 【担保】 日本では、借金返済が不能になって担保を押さえられその担保の価値が下がって残債に満たなかった場合、残債が無担保債権として残って、しつこく残債を請求される。(これをリコースローンという) 一方アメリカその他欧米諸国では、たとえ担保価値が下がっても、差額は請求されずチャラになる。 こういうのを「ノンリコース」と呼び、グローバルスタンダードなのはこちらのほうであるという。 言うまでもなく、ノンリコースは貸し手のリスクが高いので、担保評価の目が厳しくなり、おのずと貸付審査が厳しくなるが、不良債権が発生しにくい。 回収不能な案件は担保を処理してそれでオシマイとなり、大変健全な会計処理となる。 これだと借り手も貸し手も大変前向きな経済活動ができる。 日本のような習慣は貸金業者にとっては良いかもしれないが、国の経済全体を考えた場合、言うまでもなくノンリコースのほうが優れているはず。新陳代謝が活発になるから。 【借金を返せないときの債務者の気持ち】 日本人の多くは借金を返せないと、まるでこの世の終わりのように失望し自分を責めてしまう。 また社会的にも、借りたものを返さない奴は罪人に等しいというような意識が根強く残っており、たとえトイチの高利貸し(=出資法違反の刑事事件です)に被害に遭って警察に行っても、借りたものを返せない債務者側のほうが悪いと一蹴されてしまう始末だし、またたとえば、新規事業に失敗して返済不能に陥った場合、そのチャレンジ精神は評価されず、債権者からドロボー扱いされ、債権者からも家族親戚からもひどい罵倒を受ける。 一方、アメリカでは、「金を返したい、しかし返せない」という状態は、特に不道徳なことではないという。「返さない」のと「返せない」のは違う。「返さない」のは社会道徳に反するだろうが、「返せない」というのは経済活動を営んでいれば誰にでも起こりうることである。真面目に事業にチャレンジしていても失敗することもある。むしろ、返済能力を失った者から強引にむしり取る貸し手のほうが道徳に反するし、人権侵害もはなはだしいと考える。 「返せないのにどうしても返せと言うのか?そしたら、おれの生活はどうなるんだ?」と、堂々と自己主張しているようである。 債権者が勝手に債務者の家に押しかけてきたら住居侵入でピストルで撃たれてしまうこともあるとか? (メールマガジン38号 −2002年8月28日発行−より抜粋、一部加筆修正) |
■■■ 住宅ローン、競売、不良債権処理… ■■■ まず、ハンドルネーム・陽水さん(30代・男性)からの投稿を紹介します。 (本人承諾済み) 陽水さんは元・信用金庫の社員でありながら、お父様が莫大な借金をつくり、自宅を競売にかけられたことのある方ですが、その後見事に立ち直りました。いろいろ応用のきく実例ですので、まずは陽水さんからのメールをお読みください。 > はじめまして。なんとなく検索してたらあなたのホームページにつながりました。 > このホームページをみてあなたはすごい、神様のように思いました。 > 独学で勉強されてここまでやられるとは、本当に頭が下がります。 > > 実は私の父も事業で失敗?というよりも主に株でやられて、12億円程の負債を作り、 > 株を処分、自宅等の不動産も競売にかけられ、最終的に5億円程の負債が残りました。 > 債権者は銀行だけでした。 > 知り合いの紹介で弁護士に相談したのですが(競売になる前)、 > お決まりの一言、破産しなさい、でした。 > > 破産はいいけど破産するのに6〜700万円もかかるのです。金がなくてどうしよう > もないのに、そんな金が用意できるわけがありません。 > > 私は大学卒業後、信金5年、不動産業8年の勤務経験があり、多少の知識があったので、 > 破産なんかしなくていい、銀行なんて競売にかけて残った借金は償却して終わりだから > と思い、案の定その通りになりました。 > 競売後は多少の督促があった程度で、その後は賃貸住宅で普通に生活しています。 > 銀行なんてそんなものです。 > ただ、私も自宅が競売になったときは多少感情的になり、落札者に対して執行異議1回、 > 執行抗告2回、特別抗告1回と、いやがらせをしましたけどね。 > (中略) > 猫次郎さんの意にそわないことかもしれませんが、銀行は意外と回収については > 甘いところがあるので、本当に無いソデはふれないひとは(債権者が銀行だけの方) > 破産もせずにやり直せることもあるよということを報告させていただき、失礼いたします。 > > 陽水 どうでしょうか? 以下、なるべく専門用語を使わずに、わかりやすく解説します。 陽水さんのようなケース(=競売されたら残債務は事実上チャラ)は、実は決して珍しくありません。それどころか、全国そこらじゅうにいると言っても過言ではないほどです。 銀行は、住宅ローン返済を延滞している顧客に対して、「競売で安く処分されても、借金は残って、あなたにとってメリットは一つもありませんよ」とプレッシャーをかけて返済を求めてきますが、これはあくまでも銀行マンの回収トークに過ぎません。 実際には、競売で家を処分された人は、これといった資産がなくなるわけですから、残った借金はすべて無担保と化しますので、銀行にしてみれば「強制執行しますよ」といった脅しが通用しなくなります。つまり、借り手の気持ち次第、やり方次第で、債権放棄(悪い言い方をすれば踏み倒し)に至らせることも可能になるわけです。(但し請求は来ますので楽観視しないように。 請求が来てからの交渉次第で放棄に至らせることも可能という意味です。 もちろん、こんな駆け引きが嫌いな潔癖症の方は無理して払い続けても構いませんが…) 銀行側としても、担保を競売にかけるというのは債権回収の最終手段ともいえますから、ここまでやって残債が回収困難になったら、「この債権は競売までやって回収したが、残債回収は困難なので償却したい」と国税や金融庁に対して言い訳がたちます。不良債権処理がしやすくなるわけです。 このようにして、残った不良債権は遅かれ早かれ償却、つまり帳簿から消して、あきらめてしまいます。そのほうが税制上有利な場合も多々ありますし、不良債権のない綺麗な決算ができるので、金融庁や株主や世間に対して健全経営に見せられるからです。 新聞に毎日書かれているように、不良債権を早急に処理することは、国の政策でもあり、金融庁からも厳しく指導されていますので、銀行はこれを守らなくてはなりません。 したがって、住宅ローンが返済できず競売にかかるほどの返済能力のない客は、たとえ損失覚悟でも、早く縁を切らなければならないということです。 言い方を変えれば、住宅ローンが払えないで競売されてしまったアナタは、国の方針に忠実に従って処理されたともいえます。テレビや新聞で小泉総理がよく口にしている「痛みをともなう構造改革」を実践しているともいえます。自信をもってください。 バブル期に高い金額で買った家が、今では半分以下の「時価」に下がってしまった。よくある話ですね。しかしバブル期に組んだ住宅ローンのお金(簿価)は、時価のように上がったり下がったりしません。したがって、買った不動産の時価が下がれば下がるほど、組んだローンは相対的に重くなるわけです。みんなそれで苦しんでいます。なんとも不条理な話ですね。 これに打ち勝つには、国の政策(不良債権処理・痛みをともなう構造改革)を、我々消費者側も個人レベルで積極的に進めていくしかありません。今ならそのチャンスはいくらでもあります。これを実行するのはテクニック的にはさほど難しくありません。知識10%、知恵10%、行動力10%、そしてあなたの意識改革70%といったところです。 知恵と知識を身につけていく過程で、自然に意識改革がなされていきますので、まずは必要な知識と知恵を身につけることです。情報はそこらじゅうに転がっています。たとえば、新聞やインターネットで、「不良債権処理」「サービサー」「簿価」「時価」などといったキーワードでいろいろ調べてみてください。それだけでも具体的な道が見えてきます。 また、過去の既成概念(「借りた金は、無条件に、全て、何が何でも返す」という考え方)を変えることも必要です。不良債権処理を国が奨励しているというのは、誤解を恐れず極端な言い方をすれば、「返せない借金は無理して返さんでもよろしい。それよりも、過去のしがらみを捨てて、早く社会復帰して、明るく前向きに働いて、納税できるようになってください」 と国が奨励しているようなものです。もちろんこれは極端な表現であり、鵜呑みにしてはいけませんが、このような考え方が浸透することは、大きな視点で見れば、国家レベルでも個人レベルでも、どちらにおいても経済の活性化につながるはずです。だからこそ国が不良債権処理を押し進めているのです。 (メールマガジン 2002年第39号から抜粋、一部加筆修正) たとえば資本主義、法治国家、憲法。 これらの用語は、中学生でも知っています。 さすがに中身まで詳しく知っている中学生はそんなにいないと思いますが、「資本主義 = 自由経済、競争原理、貧富の差を認めている」 ことぐらいは、子供でもなんとなくわかることだと思います。 また法治国家というとやや難しく聞こえますが、「人を殺したらケイサツに逮捕されて裁判にかけられて死刑か無期懲役」「スピード違反するとキップを切られて罰金を課せられる」 というふうに法律で決められているのも、子供でも知っているでしょう。 我々はそういう国に暮らしています。 大人になると、凝り固まった既成概念にとらわれて、柔軟な思考ができなくなりがちです。また情報過多のため、基本を忘れがちです。 複雑な問題に直面すると、とかく複雑に考えてしまいがち。これではいけません。 複雑な問題を解決するコツは、なるべく単純化して考えることです。 たとえば、あなたがいま、サラ金への返済が遅れそうで、自殺まで思いつめているとします。 一体なぜ、自殺まで思いつめる必要があるのですか? 冷静に自己分析してみてください。 サラ金とはいえ、お金の貸し借りは「契約」です。 契約行為は法律行為と言い換えることもできます。 我々は法治国家に暮らしています。法治国家では、何か過ちを犯してしまった場合の罰もキチンと定められています。殺人を犯したなら死刑か無期懲役というふうに。 その法治国家日本において、「借金の返済を遅れた者は死刑に処す」 という法律がありますか? ないでしょう? なのに、なぜ死ぬ必要があるんですか? こう考えれば、借金ごときで死ぬ必要などないことは、子供でもわかります。 もし返したいけど返せない状況に陥ったら、ジタバタせず、返せなくなった自分が悪いのだと潔く認めて、しかるべきペナルティを甘んじて受ければいいのです。せいぜいそのペナルティは、合法的な範囲で督促の電話や手紙が来たり、裁判所の民事部で訴訟を起こされたり(刑事ではないので逮捕や拘留は当然ありません)、あるいは訴訟で負けたら強制執行で金目の財産を差し押さえられたり、最悪の場合でもそこまでです。それ以上の非合法な行為は受けません。死刑や懲役刑にもなりません。いいじゃないですかそのくらいなら。 また、法治国家たる日本において、法律のピラミッドの頂点に立つのが「憲法」です。その憲法の中に、これは中学生でもまず知っていることですが、「基本的人権」や「健康で文化的な最低限の生活」が「保障」されています。保障ですよ! 先ほど、「最悪でも差し押さえ程度です」と書きましたが、差し押さえを定めているのは民事執行法です。契約行為を定めているのは民法です。でもそれらは、憲法よりも下の位置にあります。 たとえば、差し押さえをされても、生きていくうえでの最低限のカネやモノは守られます。身ぐるみはがされると思ったら大間違いです。生活はじゅうぶんできます。 また、たとえば、双方の合意で「借金を返せなくなったら丸裸にして全財産を取り上げて娘をソープに売り飛ばす」 というようなメチャクチャな約束しても、そのような約束は許されません。無効です。そんな不条理な約束を押し付けた債権者側のほうが罪に問われます。 こういうことは、べつに民事執行法や民法の勉強をしていなくても、憲法をちょっとだけ知っていれば、少し頭を柔らかくすれば誰でもわかることです。 (テレビドラマの借金取立てのシーンなんかを見過ぎていると、無意識のうちに刷り込まれて、こういう柔軟な思考ができなくなるのかもしれませんが・・・) 最後に資本主義ですが、これも子供レベルの知識で考えれば、いろいろ解決のヒントになります。 たとえば、競争原理のもとにいるわけですから、勝ちもあれば負けもあって当然です。我々はみんな例外なく、負けと隣り合わせなのです。だとしたら、負けの一度や二度味わったっていいじゃないですか。勝ちと負けを繰り返して切磋琢磨しながら成長していくのが、資本主義のひとつのあり方だと思います。 また、自由経済で貧富の差を認めていますので、儲かれば豪邸に住めます。儲からなければ借家住まいです。それもそれでいいじゃありませんか。(ちなみに私も借家住まいです。) 冷静に考えれば、不景気やリストラで収入が下がっているのにマイホームに固執して、ローンの返済に悩みながら家を守ろうとするのは間違っています。 収入が下がったら持ち家はあきらめて借家に引っ越すのがホントの正解です。 家なんて、また儲かったら買えばいいのです。 資本主義的に柔軟に考えれば、そういう結論に行き着くと思います。 また、法治国家、憲法に照らし合わせて考えれば、事業に失敗しても何度でもやり直せるし、人間らしい生活もずっと続けられることがわかります。 そういう素晴らしい国に我々は暮らしているのです。 それをフル活用しない手はありません。 難しい知識がなくても、こういうふうに考えれば、活路が見えてくるでしょう? (2008年5月3日 書き下ろし) |
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