本文へスキップ

株式会社NEKO-KENは「中小企業・零細企業の倒産を防ぐ為のコンサルタント会社」です。

TEL. (03)5342-9488

〒164-0011 東京都中野区中央5-39-13

【合法的に借金を減らすためのヒント(グレーゾーン金利)】HEADLINE

■■■ その1. 利息制限法で再計算して借金を減らす ■■■

(注: これは2001年春に書いたものです。今読むと、古さを感じさせますね・・・。)

 私は法律の専門家ではないので、「〜法」という言葉を引き合いに出して説明 するのはチョット抵抗がありますが、実際、私も弁護士を使わないで自力で裁判や調停をいくつも経験し、自分で作った計算式や弁論も法廷で認められましたし、 過去にボランティアで市民団体のクレサラ相談を受けていたときにも、随分この計算を手伝いました。したがって信憑性は高いと思ってくださって結構です。 商工ローンやサラ金の場合、この方法で債務圧縮できる確率はきわめて高く、 私以外にも、何千万も借金をかかえて破産寸前だった人が、この方法で再計算して 調停を申し立てて一気に半額以下になったという例は数知れず存在します。 (取引の長かった人は、借金ゼロになった人も多いです)

 サラ金や商工ローンの金利は一般的に25-29%というところが多いですよね。 2000年6月までは40%近くの利息を取っている業者もザラでした。 しかし、これは「出資法(上限金利29.2%、2000年6月までは40.004%だった)」 には違反してませんが、「利息制限法(上限金利15−20% サラ金なら18%)」 には違反しています。出資法の上限金利を超すと罰則が厳しいので出資法はみんな守りますが、利息制限法は上限を超えても罰則がなく、また債務者が利息制限法以上の金利を「任意に払う」分にはかまわないというヘンな規定があるため、この 利息制限法と出資法の間の金利は俗に「グレーゾーン」と呼ばれ、サラ金をはじめ、信販会社も銀行系カード会社も平気で利息制限法以上の金利を設定しているのです。

 しかしこれは、裁判や調停に持ち込んで、「利息制限法以下の金利に引きなおして債務を確定してくれ」 といえば、たとえどんな契約を結んでいようとも、ほとんどの場合減額が認められます。 特にあなたが「利息制限法を知らないで契約した」と主張した場合、まず認められます。 (昔は認められない場合も結構あったが、現在裁判所に持ち込まれている案件ではほとんど認められています) 尚、利息制限法以上の借金は、過去の取引開始時にさかのぼって利息制限法内 に再計算されることも認められていますので、過去に利息制限法以上に払っていた金利(以後「過払い利息」と呼びます)を現在までどんどん積み重ねて、現在請求 されている債務から差し引くことができます。

実例をあげましょう。

わかりやすくするために、ごく単純な計算式でいきます。

 あなたが日栄から1000万円返せ!と取り立てられていたとします。 取引年数は5年。金利は出資法改正前と現在とで違うでしょうから、仮に30%で ずっと借りつづけていたものとします。 その場合どうなるでしょうか?

 金利計算の基本は、
 (借りてる金額)x(利率%)x(日数)÷(365または366日)=(金利額)です。

 上記の日栄の場合、1年分の金利は、
 (1000万円)x(0.3)X(365)÷(365)=(300万円)
 つまり、年間300万円の金利を払ってきたことになります。

 これが5年続くと、 (300万円)x(5年)=(1500万円)
 そう、5年で1500万円もの金利を払っていた計算になります。
 (これは極単純な計算方法で、実際はもっと多く払っている場合も多い)

 一方、利息制限法で計算すると、100万円以上の上限金利は15%ですから、
 (1000万円)x(0.15)x(365)÷(365)=(150万円)
 つまり、年間150万円の金利でいいという計算です。

 これが5年続くと、 (150万円)x(5年)=(750万円)ですね。

 この、(実際に5年間支払った金利1500万円)から(利息制限法の5年分金利750万) を引くと、
 (1500万)−(750万)= (750万円)

 この750万円が、いわゆる「過払い利息」になります。

 この5年分の「過払い利息」を、現在請求されている1000万円から差し引くと、

 (1000万円)−(750万円)=(250万円)

 そう。 1000万円請求されていたのが、250万円だけ払えば借金は合法的に終わり!!ということになります。
 1000万円も払う必要は全くないのです。

 実際には、借りて返して・・・を繰り返していることが多く、また金利も過去の出資法改正前は39%ぐらい取っている業者がザラにありましたので、1000万円を 5年も借りていると、5年分の過払い利息が1000万円前後になり、調停を立てたら 完全に債務ゼロとして認められた、という例が多いです。

中には以前メルマガで紹介したように、信販会社から28%で10年間借り続けていた 人が、信販会社に金返せと訴えられ、ひとりで法廷へ出向き、「過去10年分の金利 計算を利息制限法に引きなおしてやってくれ」といって反論し、最終的には金を返すどころか、逆に信販会社から何十万円もの過払い金を返還してもらったツワモノも います。

 ちなみに、リボ払いや利息先取りのような一見ややこしそうな金利計算でも、 基本は同じです。「いつ、いくら借りて」「いつ、いくら返したか」をひとつ ひとつ集計して、その1回1回を利息制限法に引きなおせばよいのです。 またそれらの「借りて返して・・・」に、明らかな連続性が認められれば、各回の過払い利息を次回の元本に充当していく作業をくりかえすことが認められますので、 より短い期間で貸し借りゼロになることができます(ちょっと難しいかな?)

 たとえば私も知っている実例では、サラ金50万円、年利39%で4年間借りていたのが、弁護士に頼んで債務不存在訴訟をやってもらって借金ゼロで和解できた人がいます。
 (一銭も返済しないで和解できたわけですが、これは決して「踏み倒した」ことにはなりません。 それまでに法外な利息をさんざん払い続けてきたわけですから、合法的な利息と元金分はもう十分に返してきたわけです。 それが裁判所で認められたのです。)

 過去の「いつ、いくら借りた」記録が手元になくても大丈夫です。 借りている業者に頼んで過去の明細表を出してもらえばいいのです。 こういうものを請求すると、嫌な顔をして出し渋る業者も結構いますが、客から 要求されたら開示しなければならない決まりがありますので、もしどうしても出してくれなければ管轄の財務局に事情を話して指導してもらうようお願いすれば大丈夫です。 あるいは明細のないまま裁判や調停をやって、裁判所で相手方に過去の明細を要求してもかまいません。

 最後に、調停について補足。 裁判所で配布している「特定調停」に関するパンフレットには、

 『特定調停は、このままでは返済続行が難しい方が、債権者と返済方法等について話し合って、再建を図るための手続きです』
 『費用も安く』
 『難しい 法律知識もいりません』

 などといったことが書かれています。 実際、自分でやれば費用は数千円で済み(弁護士に頼むと1件2−3万x借入件数+αぐらい かかる)、難しい法律知識がなくてもでき、うるさい取り立てもパタリと止み、 数ヶ月かけてじっくり話し合いができるので、その間に生活の立て直しができます。 地元の都道府県の簡易裁判所(民事)へ行くと調停相談窓口がありますので、そこへ行けば申し立て方法について丁寧に教えてくれます。

注: 当たり前ですが、特定調停がベストとは言い切れない場合もあります。 また、特定調停をやるとCICやCCB等といった個人信用情報機関にリストが載りますし(これはしょうがないですね)、また、いくら特定調停が自分でできるといっても、最低限、自分の債務状況が把握できていないと話しになりませんし、予備知識も、最低でもネットや本で数日かけて情報収集するくらいのことは必要です。 また調停委員の中には債権者に味方するタイプの人もいるので、強い意志が必要です。 自分で安くできるのは事実ですが、あまりナメてかからないほうがいいでしょう。 借金減額にラクな方法なんてありません。 何かを失う覚悟がいります。


(メールマガジン2001年第6号から抜粋)
■■その2. 信販会社から過払い利息数十万円を取り戻した男の話 ■■

(注: これも2001年に書いた古い記事ですが、そのまま残しておきます。当時としてはまだ珍しい出来事でした・・・)

 ウソのような本当の話です。彼は私のごく親しい人なので、私もその一部始終を 見てきました。

 彼(Kさん・東京在住・自営業)は10年以上前から、ある信販会社のカードのキャッシングを続けていました。 借入れ枠は50万円。年利28‐29%のリボ払いです。これを10年以上続けていたのです。 妻子持ちで低収入だったので、生活費の不足分を埋めるために慢性的に借りて返してを 繰り返していました。(意外とよくある話ですね)

 しかし不景気が続き、昨年とうとう返済が滞ってしまいました。 約2ヶ月間一銭も払えない日が続き、この間、毎日のように電話で催促を受け、その後一括請求の内容証明が来て、それでも払えないので、最後には法的手続きに入るとの通知が来ました。 その後、電話催促はぱったりと止みましたが、数週間後、東京簡易裁判所から支払い督促の通知が来ました。文面には、「Kは○○信販会社に50万円支払え」というようなことが書いてありました。

 普通、裁判所からこんな書面が特別送達で来たらビビりますよね? しかしKさんは多少機転のきく人だったので、すぐにその書面にオマケのように付いていた答弁書に、「一括で払う金 は無い。減額と分割払いを求める」 とだけ書いて、裁判所に郵送で返信しました。 (これを異議申し立てといいます)

 約1ヵ月後(この間も取立ては来ない)、こんどは裁判所から「呼び出し」がありました。 Kさんは1人で裁判所へ行きました。信販会社の訴えの内容は、「50万円全額すぐ に支払え」というものでしたが、Kさんは、「どうしても払えというなら、まず過去10年分の借入返済の明細表を出してくれ。10年も借りてるんだ。もう十分モトは取れている だろ」というようなことを主張しました。 すると信販会社側は「そんな昔の資料は無い」 と言い出しました。株式上場している大手の信販会社がこれです。 Kさんはさらに、 「そちらが無いというならこちらに証拠があるから次回見せてやる」といい、この日は ここで裁判が終わりました。

 翌月(裁判はだいたい月1回のペースだったそうです)、Kさんは過去10年分の借入及び返済の明細書と(几帳面な人なので10年分捨てずに取っていたそうです)、自分で作ったという返済一覧表を持参して裁判所に行きました。 しかしそのときは、信販会社側は「調査中につき」ということで欠席しました。 自分から訴えてきて、都合の悪い展開になると欠席とは、な んと無責任なことでしょう。 訴訟は単なるおどしだったのでしょうか!?

 さらに翌月。 このときKさんはさらに一歩進み、自分で作ったという2種類の利息計算表を持参しました。 ひとつは実際の(年利28%ベースの)10年間の借入返済の一覧表、 もうひとつは、それを利息制限法(50万の場合年利18%が上限)に再計算した場合のシ ミュレーション表です。 その差は100万円以上ありました(注:過去に100万近く借りていた時期もあったし、利息が30%以上の時期もあった)。 Kさんは裁判官に「利息制限法の金利を認めてください。 そして差額を現在相手から請求されている50万円から差し引いて、余りが出たらそれを返してください!」 と強く主張しました。 信販会社側はこのときも「調査中につき欠席」していました。

 しかし、 Kさんにこうも主張されたら、信販会社側としてもそのまま黙っているわけにはいきません。 次回、やっと信販会社側が法廷に出てきました。まず裁判官に「10年間の取引があったことを認めますか?」ときかれ、信販会社はそれにしぶしぶ「認めます」と答えました。 次に、利息の話になりました。 法廷の場ではほとんどの場合、利息制限法(10万以上100万未満の場合は年利 18%が上限)を前提に話を進めなければいけません。相手が主張している28%は通用しません。 したがって、信販会社側も、金利を18%に下げて (これでも法定の上限ギリギリですよ)、それを過去10年分にさかのぼって、払いすぎた分を返さなければなりません。 信販会社側はこの一覧表をしぶしぶ提出しました。 結果、Kさんは今までの利息の払いすぎが認められました。

 そして最終回。 その一覧表の細かい部分をひとつひとつチェックして、細かい間違いを修正され、最後に出た判決が、「○○信販会社はKに利息過払い金50万を支払え」とい うものでした。

 Kさんは「50万円払え!」と訴えられたのに、逆に50万円取り戻すことに成功したの です。その差100万。 しかも弁護士を立てず、自分からも訴えを起こさず。 すべて受け身で。

 翌月、Kさんの指定した口座に、信販会社から50万円の振込みがありましたとさ。 めでたしめでたし。



注 : これは全て実話ですが、人物特定を防ぎプライバシーを保護するため、金額や相手方の会社名などを多少いじくっています。


(メールマガジン2001年第2号より抜粋)
■■■その3. 「特定調停」 は難しいか?それとも簡単か? ■■■

(注:これは2003年に書いた記事です。現在でも通用します。)

 「特定調停」と書いて、「とくていちょうてい」と読みます。 (特別調停とか特定調整などと間違えて呼ぶ方が非常に多いですが、しっかり覚えて くださいね)

 この「特定調停」は、2000年の2月から始まった比較的新しい制度で、自己破産せず借金 を返済していきたいという気持ちを持った多重債務者を中心に広く利用されています。 特に今年に入ってからは、週刊誌や新刊本などで特定調停のことが大きくクローズアップ されることが増えてきたためか、全国どこの簡易裁判所でも、特定調停申立の件数が爆発的に 増えているそうです。 実際、特定調停は費用も安く、利用価値もバツグンにあります。

 多重債務者が特定調停を申立てると、だいたい次のような効果が期待できます。

  1. 利息制限法に引きなおされて、借金(元金)がその分だけ減る。 (私の著書の「体験記」にあるとおり。取引年月が長いと、かなり劇的に減ることもある。)
  2. 将来利息0%で、3−4年の分割払いにしてもらうことが可能である。消費者金融やカード会社が相手の場合、かなりの確率でこうなる。 したがって、今まで毎月高い利息を払っていつまでも元金が減らなかったのと比べて、毎月の返済金額も減るし、返済した分だけ元金も減るので、数年後には晴れて借金を完済、借りたカネは返したことになる。債権者に極力損をさせずに、自分も再起できるわけだ。
  3. 特定調停を申し立ててから調停が成立するまでの間(平均すると2−3ヶ月間)、返済を暫定的にストップしても、債権者からの取立てが来ないので、金銭的にも精神的にも非常に楽になり、今後の生活立て直しのために自分を見つめ直すことができる。
  4. 以上のようなメリットがあります。
 一方、デメリットは、以下の通り、さほど多くありません。
  1. 信用情報機関に事故情報が5年間ほど残る。 このため、約5年間ほどは、新しくカードを作ることや住宅ローンを組むことができにくくなる。 (但しこれはメリットとして捉えるべき。5年間というリハビリ期間のうちに、借金体質を断ち切って、貯金体質をつくり、家を買いたければ頭金を貯めればよい。5年後には事故情報はだいたい消える。)
  2. 調停で決まったことは裁判の判決と同等の強制力があるので、万一、調停で決まった通りに返済できなくなると、強制執行される可能性がある。
  3. 特定調停でも解決しないような重度の多重債務者は、調停が不成立になるか、あるいはムリして成立させてもかえって苦しい思いをすることになる。
 次に、特定調停を選択する際の注意点(というか、私が常々感じていること)を挙げてみましょう。

  1. 特定調停を過信するな! どんな多重債務者でも特定調停で救済できるわけではない。 たとえば、利息制限法に引き直して元金がその分減っても、その総額が3−4年の分割で返せないほどの大きな金額だったら、特定調停だけで再起を図るのは難しい。 この場合、法的な債務整理方法で残された選択肢は、「個人再生手続き」か「自己破産」 しかなってくる。(注:法的整理にこだわらなければ、まだあと何通りか選択肢が出てくるが、ややマニアックな方法なのでここでは省略。) いずれにしても、特定調停だけにしがみつくのは危険。広く選択肢を検討するところから始めよう。
  2. 特定調停をナメるな! 確かに訴訟や個人再生などと比べればはるかに簡単に手続きでき、弁護士さんや司法書士さんに頼らず自分ひとりで十分できるが、あまりにも予備知識のないまま簡易裁判所へ行くのは良くない。最低限、特定調停関連の本を読むか、専門家に相談するか、猫次郎塾 や他の専門家のHPなどで情報収集して、予備知識を蓄えてから行ったほうがいい。
  3. 過剰に心配するな!神経質になるな! 案ずるより生むが易し。 ある程度予備知識を身に付けて、自分には特定調停が向いていると判断したら、あれこれ細かいことは心配し過ぎずに、早めに行動に移ることも大切。 でないと、いつまでたっても利息の支払いに追われ、借金(元金)がいつまでたっても減らず、何も改善されない。
  4. 変な情報に振り回されるな! たとえば、「過去の取引経過を証明する領収書などが残っていないと、利息制限法の引き直しは絶対にできない」とか、「弁護士を立てないと特定調停できない」とか、「調停が不調になるとすぐに強制執行される」とか、「調停するとブラックリストに載って一生社会復帰できない」とかいう話を聞くことがあるが、これらはすべてデマ情報。 振り回されないように。
  5. ちょっとしたハードルがあることを知ろう。 「特定調停」はあくまで裁判所を使った「話し合い」なので、かならずしも「裁判」のようにきちっと利息制限法を主張できるとは限らない。かなり妥協させられることもある。 また分割払いや将来利息カットについても、法で義務付けられているわけではないので、100%うまくいくとは限らない。また、債権者から取引経過の明細を出し渋られることもよくある。
 このように、いくつかハードルがあるのだが、どれも上手い対処法はあるので、専門家に相談すればさほど怖くありません。

 特定調停は決して簡単ではありませんが、特別難しくもありません。 利用価値は大変高いですが、決して万能ではありません。 自力でじゅうぶんできますが、専門家に相談するか専門書を読むかして、自分が特定調停に 合っているかどうかや、実務上の流れや注意点などを、よく吟味しておく必要があるでしょう。

(メルマガ2003年4月より抜粋)

■■■ その4.■■■
弁護士さんや認定司法書士さんに、代理人になってもらう=任意整理


 特定調停のことばかり書きましたが、本当は、もっと確実な方法があります。
それは、弁護士さんや認定司法書士さんに代理人になってもらって、あなたの代わりに、貸金業者と利息制限法引き直しの交渉をしてもらうことです。 これを通常、 任意整理 (にんいせいり)と呼びます。

 任意整理に興味のある方は、一度、弁護士事務所か司法書士事務所に相談に行ってみてください。相談に行くだけでも構いません。その場で着手金や委任契約書へのサインをせかされても、応じる必要はありません。相談は相談、契約は契約と区別するのがあなたのためです。良心的な先生だったらそうやって考える時間を与えてくれます。良心的な先生じゃないとその場で感じたら、ハンコを押さずに時間分の相談料金だけを払って帰ってくればいいのです。とにかく相談だけは一度行ってみましょう。任意整理で減額可能かどうか、任意整理で解決可能かどうかを知るために。

 弁護士の相談料金は、ふつう、30分あたり5,250円程度です。 但し弁護士報酬は自由化されているので、相談無料のところもあれば、1回3万円の相談料金を取る弁護士もいます。 これは安い高いだけでは良し悪しを判断できません。大事なのは中身です。一見高そうにみえても、確実に依頼人の利益になってくれるなら、あなたにとって経済的にも精神的にもプラスになるはずです。逆に、相談無料で整理の報酬も格安だけど、手抜きやミスリードばかりするような弁護士には、不安で依頼できないでしょう?

 司法書士も、認定司法書士と呼ばれる司法書士に限り、あなたの代理人になれる権限があります。但しその代理権は、簡易裁判所の民事で扱う程度のものに限られます。(目安としては、問題となっている金額が、140万円を超えないこと。これにはいろいろな解釈がありますが、債務総額で140万という人もいれば、債務総額がいくらあろうと借入先1軒あたりの経済的利益が140万を超してなければOKという人もいます。後者を基準にすると、たとえば残債1000万円の商工ローンでも、利息制限法に引き直して計算上の債務が140万以下になる場合は代理人として受任できるということになりますね。ただ、これはどっちが正しいのか私にはわかりません。弁護士さんに聞いても司法書士さんに聞いても、意見がバラバラ過ぎてわからないのです。まあ、相談してみて受任してくれればそれでいいんじゃないでしょうか。)

 任意整理のメリットは、

1.利息制限法に引き直される。(但しもちろん、利息制限法を上回る利率で借りていた場合のみ。) まあこれは、特定調停でも同じ効果が得られますね。

2.過払いが発生していれば、過払い金の返還請求交渉もしてくれる。 これは特定調停ではなかなか得られないメリットです。特定調停の場合、過払いが発生していたら、別途、過払い金返還請求訴訟を起こさなければ、なかなか確実には取り返せません。

3.あなたのところへ、取立ての電話や訪問が全く来ない。(代理人がカベになってくれる) まあこれも、特定調停でも同様の効果が得られますね。

4.引き直しても借金が残った場合、その残った借金を、将来利息ゼロの長期分割払いにしてくれるよう、交渉してくれる。(分割の目安はだいたい3−4年。これも特定調停とほぼ同じですね)

5.代理人になってくれるから、あなたは何もしなくていい。会社を休んで裁判所へ行く必要もない。(これが任意整理と特定調停の決定的な違い!)

6.その道のプロに代理人になってもらう分、特定調停に比べて、確実性が高い。

7.守秘義務。近隣にはもちろんのこと、職場や身内にも知られずに整理できる可能性が高い。(特定調停でも知られずにできるが、書類送達先を現住所と違う場所に指定するなど、ちょっとしたコツがいる。)

いっぽう、デメリットは、

1.当たり前だが、特定調停よりも費用が高い。弁護士の場合で、サラ金1件あたり、4万円前後の基本料金と、圧縮された金額の5%前後の報酬が加わることが多い。7件も8件も借りている多重債務者だと、総額で50万円以上の報酬を払わなくてはならないことも多い。但しこれは分割払い可のところが多い。(それでも最低限の着手金は要る)
また、過払い金を取り戻してもらう場合、成功報酬として、取れた過払い金の20%前後を請求されることが多い。(着手金や手間などによって前後するようです・・・) 
ちなみに、認定司法書士だと、これより幾分安い傾向がある。

2.代理人として全てやってもらえるので、実感が沸かない。 ほとんど労力をかけず精神的苦痛も伴わないで整理できてしまうので、ともすれば、多重債務に陥ってしまった自分を反省することもせず、近い将来、また同じ過ちを繰り返してしまうかもしれない。 その点においては、多少苦労が伴うが、特定調停などのほうがおすすめである。

3.地域差。 大都市では弁護士も司法書士もいっぱいいて、いくらでも選択することができるが、法律専門職は過疎過密化が激しい。過疎地では、町に一人も弁護士がいないところも多い。司法書士が数名いても、登記ばっかりでクレサラ債務整理の経験のある司法書士がいないことも多い。 東京など遠方の弁護士にお願いするという手もあるにはあるが、遠方のためどうしてもコミュニケーション不足で不安が残るし、また費用も割高になる。 こういう場合、やはり、任意整理はあきらめて、自分で勉強して、特定調停などで解決を図ったほうが良いという結論になると思う。


あとは、あなたの「好み」や「適性」や「置かれている環境」で決めれば良いと思います。
サラリーマンで休みがどうしても取れない場合は任意整理がいいでしょう。
過疎地に住む自営業者で、時間はいくらでもあるけどカネがなく近くに法律家もいないような場合は、任意整理ではなく特定調停のほうがいいでしょう。

尚、人によっては、任意整理も特定調停もどちらも向かない場合があります。
それは、特定調停や任意整理で圧縮しても、返しきれない場合です。

たとえば、利息制限法に引き直しても借金が総額500万円以上はあり、月収はパートで15万円しか入らなくて、返済どころか生活するだけでも一杯一杯・・・というような場合、いくら任意整理しても特定調停しても返せないのは明らかですから、別の方法を考える必要があります。 なに、まだまだ選択肢は豊富にありますから心配は無用です。 自己破産で一気にチャラにしても良し、個人再生手続きで5分の1ぐらいに減らせないかどうか弁護士に相談してみるもよし、あるいはその他の裏ワザ(このホームページを隅々まで読めばおぼろげながらわかってくるはず)を駆使するもよし。

柔軟に、柔軟に考えてみてください。


(2008年5月5日 書き下ろし)


■■その5.利息制限法でどのくらい借金が減るか? 大まかな目安■■

そのうち暇を見つけて、計算表(by Excel)をアップしたいと思いますが、よその司法書士さんのサイトなどでも、利息制限法引き直しの計算式がダウンロードできるところが幾つかありますので、欲しい方はネット検索で「利息制限法 計算 ダウンロード」 といったキーワードで探してみて下さい。

ごく大雑把にいって、年数が長ければ長いほど、利率が高ければ高いほど、借金は、激減します。利息制限法引き直しで。

たとえば、

◆ 「年利29.2%で、50万円の枠で、リボ払いのキャッシングで、かれこれ10年間、絶え間なく、借りたり返したりを繰り返していた。今も50万円借金が残っている。」
 → ほぼ間違いなく、引き直しで借金ゼロになります。わかりやすくいえば、利息制限法(18%)よりも、毎年11.2%の余計に払いすぎているのですから、11.2%の10年分ということは、ものすごく単純に計算しても、112%の払い過ぎになりますよね?それどころか、実際には元本充当計算といって、もっと大幅に減る計算になりますから、たとえ現在50万円の借金が残っていても、過払いの金額が軽く60万、いや下手すると100万以上発生していても不思議じゃないですから、借金50万から過払い60〜100万を引けば、少なくとも借金ゼロ、いやゼロどころか、10万〜50万程度の過払い金が返還されてくる可能性もじゅうぶんあります。よって、こういう場合、費用をけちって特定調停などで片付けようとせず、できれば弁護士か認定司法書士に任意整理をお願いしたほうが、おそらくあなたの利益につながるでしょう。

◆ 「年利20%で、5年間、キャッシングの借りたり返したりを繰り返していた。今も枠いっぱいの50万円の借金が残っている。」
 → 残念ながら、ちょっとしか減りません。 年利18%までは法律で認められていますから、その差は年2%。 細かいことは省略してわかりやすく言えば、2%x5年分し過払いが発生していませんから、残債の50万円からそれを引いても、たぶん45万円以上は残るでしょう。 

◆ 「年利29.2%で、1年前から借りはじめた。枠は50万。残債も50万。」
 → 残念ながら、1年分しか減らないので、44万程度にしか減らないでしょう。

◆ 「よく憶えていないが、15年ほど前に40%の利率で100万ほど借りて、8年前に一度完済して、以後しばらくブランク空いて、6年前にまた100万円借りて、このときは年利23%で、2年前に完済して、また最近100万円借りて、現在は18%だ。」
 → ブランクが空いていても、取引開始初期に遡って計算・請求できます。ブランクが空いていて、金利にも変動があるため、計算がやや難しくなりますが、一連の経過を見た限りでは、100万円の残債がゼロになる可能性も少なくありません。もしかしてもしかしたら、過払い金返還請求権も少し発生しているかもしれません。こういう場合、借入先に取引経過の開示請求をして、全部開示してくれるまで下手な妥協はしないで、訴訟も辞さない覚悟で臨むといいでしょう。

◆ 「ヤミ金から、10日で2割の利息で、1ヶ月前に100万円借りた。この30日間で60万の利息を払っている。ヤミ金からは100万円の元金を請求されている」
 → この場合、利息制限法の話には向きません。利息制限法引き直しの話は忘れてください。もっと劇的なやり方があります。
 この場合、出資法違反ですから(出資法5条では、業者の場合年29.2%まで、業者でない場合でも年109.5%までと定めている。これ以上の金利は「無効」になる。実際に取ってなくても、取ろうとしただけで無効になる!)、「約束した10日で2割の利息は無効だ!」と主張してください。今まで払った60万の利息が無効だとすると、それは元金として充当されますので、「100万円借りた」−「60万円返した」=「あと40万だけ返せばいい」という計算になります。
 このように、ヤミ金のような出資法違反の高利の場合、利息制限法引き直しよりもずっと計算が単純なのです。
 付け加えるなら、民法708条不法原因給付に照らし合わせて考えると、残りの40万円も返さなくていいという解釈になります。まあこれは難しくなるので別項であらためて解説したいと思います。

(2008年5月5日 書き下ろし)


■■■ その6. 過払い金返還請求は、お早めに。 ■■■
もし、あなたが20%台後半以上の高い金利で7年も8年も10年も借りたり返したりを続けているのなら、利息制限法引き直しで「借金ゼロ」どころか「過払い」が発生している可能性があるので、できるだけ早く、情報を集めて、行動を起こすべきでしょう。

なぜ早めに行動したほうがいいかというと、一般的な理由のほかに、次のような特殊な理由もあるからです。

1.過払い金返還請求にも「時効」がある − 判例では、完済してから10年が時効とみなされているようです。(いや、これは法律家の先生によって見解が違うようです。ある弁護士さんからは完済後10年と聞きましたし、別の弁護士さんからは5年と聞きました。また、時効は関係ない、請求するのは自由だという先生もいます・・・)  まあ、単に時効で判断するだけでなく、過払い金返還請求には、取引経過の開示請求も伴わなければならない場合も多いので(証拠書類を借主が紛失していることが多いため)、開示請求のことも考えると、時間が経過すればするほど不利になることは言うまでもありません。

2.貸金業者の倒産 − 2007年にはクレディアが、2008年にはアエル(旧日立信販)が、2009年2月にはSFCGが民事再生法を申請しました。(SFCGは同年3月に破産申立)  上限金利が下がって、これからますます、貸金業者の倒産が増えることが予想されます。過払い金を請求すると、あなたが債権者、貸金業者が債務者というように立場が逆転しますが、倒産したら回収できないのは立場が変わっても同じです。 

3.鉄は熱いうちに打て − さいわい、2006-2008年現在は、大手消費者金融の多くは、過払い金返還のための引当金を積んでいるところが多く、また2006年に起きたシティズ最高裁判決やアイフルの重い行政処分なども相まって、比較的素直に、取引経過の開示や過払い金返還に応じてくれているようです。(複数の弁護士、司法書士さんからそういう生の声を頂きました)  しかし、上記2に書いたように、貸金業者の経営環境が非常に厳しいことは確かで、中にはここ1年ほど、過払い金の返還には応じるが、その支払方法を「苦しいから分割払いにしてほしい」と、もっとひどい場合はのらりくらりとかわされて払ってもらえないという話もチラホラ聞くようになりました。 まったく、債権者と債務者の立場逆転ですね。

尚、過払いが発生している場合は、弁護士さんも認定司法書士さんも、比較的安い着手金で受任してくれる傾向があります。(取れた過払い金で報酬がキチンともらえる見込みが高いから)  手元にお金がなくても、遠慮せず、相談に行ってみるといいでしょう。

(2008年5月7日 書き下ろし)

■■グレーゾーン金利がなくなる日(1)−平成18年1月13日最高裁判決■■

◆ 利息制限法で定める上限金利は、100万円以上の借金の場合、年15%です。 (100万円未満10万円以上の場合は年18%)  出資法で定める貸金業者の上限金利は、年29.2%です。 ややこしいことに、我が国では利息の上限を定める法律が2つもあり、 この利息制限法と出資法の間の部分は、長年、可もなく不可もない、 罰則なしのグレーゾーンとされてきました。  法解釈では、貸金業法43条で定めている非常に厳しい条件を全て満たした場合に のみ、特例として、このグレーゾーンが認められるというものでした。 (=この43条を別名「みなし弁済規定」と呼びます。)

◆ にもかかわらず、消費者金融も商工ローンも、 はては大手クレジットカードのキャッシングに至るまで、実際に貸し付けている 利率は、25%とか28%とか29.2%とか、グレーゾーンで貸し付けている場合のほうが 多いのが現実です。J イメージの良いクレジットカードでさえ、2008年春現在はキャッシングではグレーゾーンで貸し付けているところが多いのが現状です。

◆ 彼等は「43条で定める厳しい条件」を全て満たしているから決してグレーでは ない、正当だと主張します。しかし、いざ裁判で、そのグレーゾーン金利は無効か 否かを争えば、近年では多くの場合、「43条を満たしているとは言い難い」と 判示され、結果、グレーゾーン分は無効となり、今までに払い過ぎていた超過金利 は元金に充当される(=残っている借金と相殺して残元金を減額してくれる)、 または元金が残ってなければ過払い金として返してもらえるという解釈のほうが 主流を占めていました。

◆ それでもなお、現在でも彼等は、グレーゾーンで貸し付けています。 テレビCMや配布ティッシュや各社ホームページ等を見ればそれは一目瞭然です。  理由は簡単です。利息制限法以上のグレーゾーンな金利を取ることに対しては、 罰則が全くないからです。罰則がなく、グレーとはいえ違法性があるとは言い難い とすれば、利益追求を目的とする企業は、多少のクレームには目をつぶって、 グレーゾーン金利で積極的に貸し付けても不思議ではないでしょう。

◆ 彼等はどうやら割り切っているようです。 「顧客全体の中で、裁判所や弁護士を使ってグレーゾーン金利の引き直しを 主張する顧客はほんの数%しかいない。これはこれで個々に対応すればよい。 基本的な貸付金利は従来どおりのままでよい。」と・・・。  まあ、法治国家の中にある営利企業なのだから、このように、 法の目を縫うようにして営利を追求するのもアリかもしれませんね。 我々もこのハングリーさ「だけは」見習わなければならないかもしれませんね。


・・・と、旧来の基礎的知識を前置きしたうえで、本題に進みます。  (以下、本題です)

◆ 準大手の商工ローンで、「シティズ」という会社があります。 シティズはもともと熊本に本社を置いていましたが、何年か前に アイフルの傘下入りし、京都に本社移転して現在に至っています。  このシティズさん、債務整理に強い弁護士さんや司法書士さんの間では、 大変手強い相手として有名でした。 前述した「43条(みなし弁済規定)で定める厳しい条件」をほぼ完全に整え、 裁判でもよく勝ち、グレーゾーン金利を認めさせていたようです。  武○士もア○ムも日本○販もセ○ンカードも○井も○栄も、キリのいいところで 和解もしくは実質的には負けを認めることが多い中で、シティズだけは、 なかなか負けを認めず、43条を主張するために完璧に証拠を完備し、理論武装 していました。  利息制限法引き直しの争いにおいては、数ある消費者金融や商工ローンの中で、 最も手強い会社だったことは間違い有りません。

◆ そのシティズが、今年の1月13日に、最高裁で敗けました。  訴訟そのものは、主に期限の利益喪失後の一括請求時における超過利息支払いの 任意性を争ったものですが(って書くとちょっと難しいかな?)、 その内容は、43条の存在意義および有効性の限界を示すことにつながっており、 この最高裁判決によって、43条をめぐる長年の論争がほぼ完全決着し、 43条みなし弁済規定という特例が、実質的に死文化したと言っても過言では ありません。(←法律の専門家さん、これは私の言葉ですが、こういう解釈で 間違いないですか?間違っていたらご指摘下さい。)

最高裁判決文はこちら。
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/
dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/2a8687cd5f626b38492570f500249c95?OpenDocument


◆ この件は新聞でも大きく取り上げられました。
・日本経済新聞「利息制限法の超過金利、支払いは原則無効・最高裁が初判断」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060114AT1G1303213012006.html
・朝日新聞「法の上限超すが罰則ない灰色金利、最高裁が実質否定」
http://www.asahi.com/national/update/0113/TKY200601130355.html
・毎日新聞「みなし弁済訴訟:最高裁判決−天と地がひっくり返るほど− 弁護士ら評価」
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/01/14/
20060114ddm012040082000c.html

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060114k0000m040097000c.html

◆ これは貸金業界を震撼させる大変なニュースです。 この判例により、貸金業者がいくら完璧に書類を完備して、 「強制的に高金利を定めたわけじゃない。顧客の同意の上だ。強制じゃなく任意だ! だから有効だ!」と主張しても、法解釈的には、その金利は無効である (=だから払い過ぎた金利は戻せ)ということが、ほぼ全ての契約で通用すること になります。完全武装を誇っていたシティズですら最高裁で認められなかったのですから。

◆ ここまで来れたのは、長年にわたって多重債務者の救済に全力で取り組み、 理論を構築し、実績を積み上げてきた、全国のクレジット・サラ金問題に関心の高い 弁護士さんや司法書士さんのおかげです。特に、その最前線で活躍してこられた クレサラ系の弁護士さんや司法書士さんは、「借りたものは返さなければならない」 という既成概念や一種の偏見や構造矛盾等と戦いながらの運動でしたでしょうから、 その苦労たるや、想像を絶するものだったと思います。

◆ しかし、多重債務の皆さん。喜ぶのはまだ早い!!  今回の判決は、何もグレーゾーン金利での貸付を禁止し処罰しろというものでは ありません。よって、現行法のままでは、貸金業者が今までどおり20数%の金利 を要求すること自体は止められないのです。  (前述のとおり、貸金業者は「訴訟に至るケースは少数に過ぎない」と 割り切っているフシがありますから、たぶん契約金利は当分グレーゾーンのまま ではないかと私は思います。)  よって、裁判や債務整理を敬遠する人は、従来のまま、高い利息を取られ続ける ことになるでしょう。  あなたが積極的に動かなければ、事態は何も変わらないのです。  自動的に利息制限法に引き直されるわけでもなければ、無条件に15%〜20% 以下でキャッシングできるわけでもないのです。  あなたの道を切り開くのはあなた自身です。 そのあたりを勘違いしないようにしましょう。
 

(2006年1月 メルマガ110号より抜粋)

追記: ここまでは「古い情報」です。ここから大きく大きく動きます。詳しくは下をお読み下さい!


■■■グレーゾーン金利がなくなる日(2) − 法改正■■■
 利息制限法の上限は、もう何十年も前から年利15%(元金100万円以上の場合)でしたが、いっぽう、出資法の上限は、1992年4月まではなんと年54.75%でした。以後、改正が続き、2000年6月までは年40.004%、2000年6月以降は29.2%でした。まったく、利息の上限が2つもありつづけるなんて、紛らわしいことこのうえありませんね。
 
 これが、ようやっと、一本にまとまろうとしています。

 「貸金業の規制等に関する法律」の改正案が、平成18年10月31日の第165回臨時国会に提出され、12月13日に成立、12月20日に公布されました。そして、翌年平成19年12月19日に本体部分が施行されました。 
 それまで、「貸金業の規制等に関する法律」という名前だったのが、この日から、「貸金業法」という名前に変わりました。

 「貸金業法」の改正内容は、おもに次のとおりです。(わかりやすく、重要な部分だけに絞って書きます)
 
  • 貸金業の適正化
    • 開業の条件が厳しくなった(純資産額5000万円以上!に順次引き上げ)
    • 取立て行為の規制を、より強化
    • 借主の自殺による生命保険金による弁済禁止(2007年頃までは貸金業者は債務者に保険をかけていて、債務者が死ぬと保険金で貸付金相当額を回収できることが少なくなかった)
    • 公正証書作成のための委任状取得の禁止
  • 過剰貸付けの抑制(総量規制)
    • 指定信用情報機関制度の創設 (ちなみに既存のCIC、CCB、JICなどが指定信用情報機関になるべく申請準備していると各HPに書かれています))
    • 1社で50万円、又は他社と合わせて100万円を超える貸付けを行う場合には、源泉徴収票等の提出を受けることを義務付け、年収等の3分の1を超える貸付けを原則として禁止する(2010年6月までに施行)。
  • グレーゾーン金利の廃止
    • みなし弁済制度の廃止(2010年6月までに施行)
    • 利息制限法の上限(15%〜20%)と出資法の上限(29.2%)の間の金利(グレーゾーン金利)での貸付けについては、行政処分の対象とする。(要するに上限金利が最大20%までになります)
    • 日賦貸金業者及び電話担保金融の特例の廃止
  • ヤミ金融対策の強化
ヤミ金融に対する罰則最高刑を、懲役5年から懲役10年に強化する。

* 参考文献: wikipedia 「貸金業法」houko.com『貸金業法』 など。(← ぜひお読み下さい)


読んでおわかりのとおり、この法律は既に施行されていますが、グレーゾーン廃止や総量規制については、「2年半以内に施行」というように、段階施行の特例が与えられています。 ということはつまり、2010年6月までには、グレーゾーン金利がなくなるということになりますね。

これでグレーゾーンをめぐる争いは終わったといっていいでしょう。高利に泣く人や、借り過ぎて多重債務に陥る人は2009年以降少しずつ減っていくはずです。

(2008年5月追記)



■■■ 最後に ■■■

1. グレーゾーン金利が撤廃されたといっても、過去にグレーゾーン金利で借りていた人は、今からでも利息制限法引き直しによる元本減額や過払い金返還請求ができますので、たとえば2009年以前に年利29.2%近い利率で通算3〜5年以上借りていた人はおそらく元金が半分近くは減ると思います。5〜10年以上なら債務ゼロもしくは過払いが発生している可能性もあります。このような方は、案ずるより生むが易し、早めに弁護士か司法書士に相談しましょう。本当に劇的に変わりますから。

2. 2009年以降は、もう「多重債務」を問題視する時代ではなくなるかもしれません。すぐにはそうならないでしょうが、たぶん貸金業法が完全施行される2010年6月以降は徐々にそうなり、2012年頃にはかなり「多重債務者」が減るのではないかと(私は)予想しています。

3. しかし・・・!、 借金で苦しんでいる人は、なにも「多重債務者」だけではありません。 「多重」じゃなくても死にたいほど苦しんでいる人も多いでしょう。 住宅ローンの数千万円の借金や、自営業の銀行からの運転資金、低利の大口のカードローン、など・・・。 また、借金はごく僅かしかないけど、収入もごく僅かしかなく、生活そのものがガタガタになっている人もいるでしょう。

4. よって、これから注目すべきは、「多重債務問題」 というよりも、「借金問題(全般)」や「信用収縮」、「住宅ローン」、「貧困問題」、それに 「中小零細企業の倒産危機」 等ではないかと(私は)思います。 (ちなみに、私が2009年6月に出した最新刊でも、このあたりのことを意識して書いたため、「多重債務」という言葉はあまり出てきません。)

以上、ご参考になれば幸いです。

(2009年6月23日 書き下ろし)

 
「ヒント集」目次へ戻る
トップページへ戻る

バナースペース

株式会社NEKO-KEN

〒164-0011
東京都中野区中央5-39-13
シャトレ・ソレイユ305号

TEL(03)5342-9488