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信用保証協会に代位弁済されるとどうなるか?HEADLINE

 
 以下、吉田猫次郎のメールマガジン(←定期購読無料。おすすめです)、第154号 2010年2月24日発行より抜粋、加筆修正。 大好評だったため、このたびホームページにも掲載することにしました。

(1)信用保証協会とは?

≪「信用保証協会」は、信用保証協会法(昭和28年8月10日法律第196号)に基づき、中小企業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。 事業を営んでいる方が、金融機関から事業資金を調達されるときに、信用保証協会の「信用保証制度」をご利用いただくことで、資金の調達がスムーズになります。 現在、信用保証協会は、各都道府県を単位として47法人、市を単位として5法人 (横浜、川崎、名古屋、岐阜、大阪)、全国であわせて52の法人が設けられています。≫ (以上、全国信用保証協会連合会のHPより抜粋) 

 さて、ここからは全て私の文章です。

1−1 信用保証協会とは、わかりやすくいえば、「あなたの保証人代わりになってくれる公的機関」のことです。 担保力が不十分で、そのままでは金融機関から円滑な融資が受けられない中小企業は、昔から数多く存在しますよね。 そんな中小零細自営業者のために存在している心強い味方といっていいでしょう。

1−2 保証人代わりになってもらう対価として、借主であるあなたは、保証協会に「保証料」を支払います。

1−3 小規模な事業者の多くは、銀行や信金から融資を受けるときに、この信用保証協会を利用しています。 ちなみに、保証協会の保証がついた銀行借入のことを通称「保証協会付き」とか「マル保」と呼び、これに対して、保証協会の保証がついていない銀行借入は一般的に「プロパー」と呼ばれていますが、プロパーだけで十分な融資を受けられる中小零細企業は、おそらく非常に少ないでしょう。 多くの中小零細企業は、財務体質も担保力も弱く、銀行にとって「安全に貸すことができない相手先」であるため、「保証協会つき」でなければ怖くてなかなか貸せないと見られているのが現実です。

1−4 融資してくれるのは、あくまで銀行や信金や信組です。信用保証協会が直接あなたに融資してくれるわけではありません。  


  (2)代位弁済とは!?

 2−1 もし、あなたが返済できなくなると、貸主である銀行は、その残債を全額(但し契約内容によっては8割だけ)、信用保証協会に肩代わりしてもらいます。これを「代位弁済」(だいい・べんさい)と呼びます。

2−2 但し、ここで勘違いしてはいけないのが、保証協会は保険会社ではないので、「代位弁済してハイ終わり」ではない!ということです。

2−3 保証協会は代位弁済の手続きを終えた後、必ず、借主であるあなたに全額請求します。これを「求償権(きゅうしょうけん)請求」といいます。なぜなら、冒頭で書いたように保証協会は「あなたの保証人代わり」として機能しているので、民法の求償権の項で定められているとおり、「うちが保証人として肩代わりした分を、全額返せ!」と請求する権利があるのです。

2−4 代位弁済後の求償権請求は、先ず「一括請求」で来ます。怖いですね。そりゃそうです。保証協会はあなたと分割払いの契約をしたわけではないのですから。

2−5 また、「利息」は一銭もつきませんが、そのかわりに「遅延損害金」が最大で年14.6%加算されます。怖いですね。

2−6 代位弁済の通知は、多くの場合、内容証明郵便で来ます。怖いですね。

2−7 まとめると、代位弁済になると、求償権として残債全額を一括請求され、年14.6%の遅延損害金がつきます。それは内容証明郵便で来ます。これを額面どおりにとらえたら、きっと生きた心地がしないでしょうね・・・。

2−8 信用保証協会は公的機関です。税金を直接または間接的に使っているという一面があります。 このため、回収は何年かかっても諦めません。自己破産したような場合は諦めざるを得ませんが、そうでない場合は、何年、いや何十年かかっても残元金を全額回収しようとします。怖いですね。

2−9 保証協会債権回収株式会社(通称・保証協会サービサー)という会社がありますが、これも同様です。保証協会サービサーは他の民間サービサーと違い、不良債権を二束三文で譲り受けているわけではありません。督促状の手紙を読む機会があったら一度熟読してみて下さい。どこにも「債権譲渡」とは書かれていないはずです。そう、債権者はいつまでも信用保証協会のままなのです。保証協会サービサーは、ただ単に「回収の委託」を受けているだけなのです。よって、傾向と対策は信用保証協会のそれと何ら変わりません。「サービサーに移ったから安く減額交渉できる」と思ったら大間違いです。怖いですね。 


(3)代位弁済された後の対処法 

  以上、怖いことばかり書きましたが、逆にやさしい面も沢山ありますので安心して下さい。以下。

3−1 信用保証協会はサラ金ではありません。また、前述のように債務免除には原則応じられず、「長い時間がかかっても残元金を全額回収しようとする」傾向が強くあります。だけど、逆の見方をすれば、「一括で払えなくても、長期分割で払っていける交渉の余地がある」といえます。  そうです、保証協会は私たちからの相談をよく聞いてくれるのです。

3−2 また、元金は滅多に免除してくれませんが、遅延損害金のほうは、「元金を完済した後にお願いしたら免除してくれた」 との事例を聞くことがあります。少しずつでも返すと、そのお金はまず元金に充当されます。最後に天文学的な遅延損害金だけが残る計算になりますが、そちらは交渉の余地があると言っていいでしょう。(但しこれは元金を完済する前に交渉してもたぶん効き目がありません。まずは頑張って元金を完済して、元金完済間近になってから交渉するのがいいと思います。)

3−3 保証協会さんはあなたの敵ではありません。返済困難な状況にあるのなら、それを包み隠さず告げ相談すれば、無理のない小額分割払いのお願いでも十分聴いてくれる余地があります。

3−4 ちなみに、私がこれまでに見聞きした中では、銀行の返済が遅れて保証協会に代位弁済されるまでの延滞期間は平均6ヶ月前後といったところです。(思ったより遅いでしょう?)「銀行の返済を遅れたら直ちに代位弁済になり、恐ろしいことが起こる」というのは間違いです。現場はもっと柔軟に運用されているのです。

3−5 また、代位弁済後の分割払いは、残元金が5000万円以上あるような人でも、話し合いで、なんと、月々1万円以下にさせてもらっている人が結構います。(但しこれは、半年〜1年おきに返済能力を隠さずオープンに見せたうえで話し合って暫定的に決められているのであり、固定的に永久に1万円ずつで済むわけではないので誤解なきように!)

3−6 「代位弁済になってもチョロいもんだぜ。月々1万円ずつも払えば十分!利息はかからないし!」 などと都合のいい部分だけを鵜呑みにして解釈するのはもちろん危険ですが、ここまで熟読して頂ければきっとお分かり頂けるでしょう、そう、保証協会に代位弁済されても、一時猶予や負担軽減の話し合いの余地は十分あるのです。怖がる必要はありません。大丈夫です。


吉田猫次郎


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