01 / 吉田猫次郎
基本 ― 意識と知識の両輪
[意識と知識の両輪さえあれば、どんな逆境も乗り越えられる!]
借金苦や倒産危機は、「知識」さえあれば、その解決方法に辿り着けます。しかし、知識を身につけようとする「意識」がなければ、いつまでもその「知識」には辿り着けません。また、解決方法に辿り着いても、「行動」が伴わなければ解決しません。行動もまた、意識が大切になってきます。
よって、最も大事なのは「意識」と言えましょう。
意識さえしっかりすれば、知識に辿り着きます。
「意識と知識の両輪」が備われば、行動も伴うようになり、絶望的な状況であってもきっ
と乗り越えることができるでしょう。
[ここでいう「意識」とは?]
大したことではありません。あなたがこれまでの人生で培ってきた考え方や価値観を 100としたら、そのうちの 10 か 20 を意識改革しましょう。その程度です。
例えば、あなたが経営危機に瀕して、5000 万円の借金が返済困難になったとします。普通の常識的な人なら、その 5000 万円を「返す」ことしか考えられないですよね。
「どんな無理をしてでも返済しなきゃ・・・」
「でも足りない。もはや返せない・・・」
「盗みを働いてでも返す?・・・いや、それは人としてやっちゃダメだ」
「かくなる上は、この命で償うしかない。生命保険で・・・」
などと考え、自ら命を絶ってしまう経営者も少なくありません。(国の統計では 1998 年の年間自殺者数が 32,863 人に達して以来、14 年間連続で、年間 3 万人を超えました。そのうち約 3 割が、借金苦や経営難や経済的原因だと推定されています。近年では自殺者は 2 万人台に減少しましたが、それは全体の話であり、私が日々相談を受けているいわば「倒産危機に瀕した中小零細自営業」の現場では、自殺まで思い詰めている経営者が今なお少なくありません。仮に 2 万人の 3 割だとしても 6000 人になります。1 日あたり 16 人という事
になります・・・)
このため、私は相談を受ける際、「この人に死んでほしくない」と真っ先に考えます。何とか元気になってもらおうと、私自身の恥ずかしい借金地獄体験談を話したり、他社のサバイバルエピソードを話したり、最新の情報を提供したり。また「笑う者には福来る」といいますから、「笑わなきゃ幸せはやってきませんよ」と、なるべく面白く話すようにも務めています。
ここでもやはり「意識」なのです。たとえば前述の「返す事しか考えられません」という意識を、少しでも方向転換できれば、それだけで命が救われるはずなのです。
(例)先ほどの 5000 万円返済困難なケース
「どんな無理をしてでも返さなきゃ」
「でも足りない。もはや返せない」
「万策尽きた」
「・・・・・(悩みぬく)
」
「よし、この現実を受け入れよう」
「ただ、全額踏み倒したくはない」
「5 年の約束だったものを 10 年かけて返すとか、20 年かけて返すとか」
「利息だけまけてもらうとか、それでもダメなら元金も頭を下げて何割か免除してもらう
とか」
「そういった中間的な道を探ってみよう」
「それでもダメなら自己破産かも」
「そのときはしょうがない。受け入れよう」
「とにかく、命で償うなどと考えるのはやめよう」
「日本は法治国家だ。借金が返せなくなった者は死刑に処すという法律はない。死ぬ必要
などないのだ」
「それどころか、最悪、破産で借金を全額踏み倒すことになったとしても、その後の社会
復帰は認められている。何度でもやり直せるのだ」
「人は生きていれば、必ず、他人に迷惑かけるものだ」
「迷惑をかけてしまったのは猛省しなければならないが、だからこそ社会復帰すべきでな
いか」
「社会復帰して、何らかの形で社会還元するなり、お返しするなりしよう」
といったように。
「ちょっとした意識改革」とは、この程度のことなのです。
あなたにもできないはずがありません。
[知識とは?]
これも大したことはありません。六法全書の全てを暗記する必要もなければ、簿記 1 級並みの会計スキルが必要というわけでもありません。法律や会計の知識はたしかに必要ですが、部分的で大丈夫です。読書やネット検索や AI から得た情報でも十分に「ヒント」くらいは掴めるでしょう。(専門家になるには、もっと多くの知識が必要ですが)
ただ、
「これだけは絶対欠かせない」「知らなければ何もできない」という知識もあります。
例えば、年商ウン千万円を超える会社法人の経営者ならば、「決算書の読み方」です。簿記の知識はなくても構いませんが、決算書の読み方(貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、販売費一般管理費、申告書の別表、内訳書、それらの 2 期比較、3 期比較など)は是非とも押さえてほしいものです。これもまた、「意識」がその気持ちに向かわないと進まないでしょうが。
悪徳金融業者から借入しているような場合は、会計よりも、法律の知識が欠かせなくなります。利息制限法、出資法、民法の公序良俗(不条理な契約が無効になる場合がある)、不法原因給付、貸金業法の取り立て規制、憲法の基本的人権など。これらを知っていれば毅然とした態度で悪徳金融と戦えますが、知らなければいつまでも生き血を吸われ続けます。自力解決も不可能ではありません。弁護士に相談すればもっと確実ですが、その際にも、知識があった上で相談したほうが伝わります。
その他、「神は細部に宿る」といいますが、意外と細かい知識(マメ知識、Tips のようなもの)が、いろいろな場面で役立ちます。たとえば借金の相続と生命保険。「父が癌で亡くなった。これといった相続財産はないが、借金は 5000 万円あった。生命保険も死亡時5000 万円のものに加入していた」というような場合、最も損するのは遺族がその借金を相続し、その上で、生命保険の受取金で借金を返してしまうことです。もったいなさすぎる。「生命保険は相続放棄しても受け取れる」というちょっとした知識さえあれば、遺族は、相続放棄によって 5000 万円の借金から逃れることができるのです。しかも、生命保険の5000 万円は相続放棄しても受け取ることが可能です。こういう情報は、書籍でも雑誌でもネットでも、よく見ればどこにでも転がっています。普段からアンテナを張って情報収集
に努めたいものですね。
[両輪によって生還した事例]
次項の「壮絶 私の体験記」を、そのような視点で読んでみてください。私はビジネスとして金持ちになることはできませんでしたが(そういう志がないので)、ほとんど誰も経験したことがないような絶望的な状況から自力で生還することはできました。その経験が、お金に代えられないほどの「一生の財産」になりました。
「資産」と「財産」の違いを、あなたは知っていますか?
「健康は、私にとって、かけがえのない資産(しさん)だ」とは言いませんよね?
健康はお金に代えられない財産です。
資産とは、貨幣価値に換算できるものです。土地、有価証券、在庫、宝飾品、車など。いっぽう財産とは、もっと幅広いものも含みます。かけがえのない友情とか、健康とか、資格とか、生きるための知恵とか。これらはたとえ破産しても失いません。
倒産危機サバイバルの過程では、失う物も多いですが(覚悟してください)
、
得るものも多いのです。
失った物は後から取り戻せばいいのです。たとえ家でも。
絶望的な状況に追い込まれたあなたは、ドラマの主人公のようなものです。ドラマには起承転結がつきものです。波乱万丈が待ち受けていることでしょう。ハッピーエンドでない場合もあります。でも、続編でハッピーエンドに転ずるような壮大なドラマもありますよね。
人間万事塞翁が馬。
災い転じて福となす。
窮すれば通ず。
陰極まって陽となる。
さあ、平常心を取り戻して、一歩前へ進みましょう。